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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第三章【半年後の三人の話編】

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64 国の情勢は

(ルーク)


「ルーク様じゃねぇですかい!ご無沙汰しております!」


「あぁ、相変わらず良い商売をしている様で何よりだ。」


店主が声を掛けてくると、他にもこの店の商品を見ていた客達まで「あ、ルーク様だ!」「こんにちは、ルーク様。」と頭を深々と下げてくるので、困った様に片手を振って止めさせた。


実は【ヘビネロ商会】をぶっ潰してから、商売をしている店に対する徴収料(領主が収めている土地で商売をする際に治めてもらう税金の事)の一斉見直しをしたのだが、なんとその商会以外にも多くの悪徳商会が色んな店に手を伸ばしている事が判明したのだ。


そのため、俺はセブンに命じ、直ちにその料金の見直しを開始。

それぞれの売上と土地の価格に見合う設定の、徴収料金に変えてもらった。

すると、今までそれに苦しめられてきたらしい商会や商売をしている個人店の店主達は、揃って俺にお礼を言いにやってきて、それからあっという間にその話が尾ひれ、背びれどころか、とんでもない黄金の巨大角までついたくらい、とても良い噂として広がる。


『グリード家のルーク様が、重税の見直しをしてくださったぞ!』


『ルーク様は、もしかして我々を助けに来た精霊神様の御使い様なのでは?』


『そうに違いない!ルーク様こそ、この街を救ってくれた御使い様だ!』


そんな頭が痛くなるような崇拝は、とりあえず『止めて欲しい』と伝えたが、未だに街の人達はキラキラとした羨望の眼差しを向けてくる様になってしまった。


マジで大した事してないんだよな〜……。

アホ親父と色ボケ女が、アホアホ経営していたのを、普通に戻しただけだから!


しかし、それを伝えた所で、焼け石に水(?)。

『またまた謙遜を〜!』『我々が気にしない様に、配慮してくださっている!』などと物凄いポジティブな考えへと向かってしまう。


挙句の果てには、やる気満々になった商人達は、今まで不当に取り立てられていたお金を使い、どんどん新商品の開発、取引先の新規開拓などなど……意欲的に動き出し、グリード家の治めている領自体のとんでもない利益上昇に繋がったのだ


「……なんだか、獲物を横取りするハイエナとかになった気分。」


思わず顔を引きつらせてしまったが、慌てて表情を引き締めて、引き下げた直後の事を考える。


徴収料金の引き下げにより、絶対に茶々を入れてくるゴロツキ上がりの商会が現れると、俺は予想した。

大体ろくでもない連中の考える事は、一つ。

『旨味を奪おうとするヤツを消せば、元通りになる』だ。


そのため、それ相応の復讐を目論んでくると思っていたが、結果は随分アッサリしたものだった。

何があったのかは知らないが、一番文句を言ってくると思われていた、ここいらで大きな商会組織、【ブロッセン商会】が、何者かによって消されたからだ。


「拠点は焼失。焼け落ちた建物内からは、組織の組員らしき奴らの死体がゴロゴロでてきたらしいが、死人に口なし……更に証拠まで全部燃えちまって灰になっちまえば、殺されたヤツが相当な要人がいない限りは、詳しく調査はされないと。

真実まで消されちまったか。」


聞くに全員ろくでもないハイレベルの悪人だったらしいから、俺的には正直片付ける手間が省けてラッキー。

まぁ、あんなきな臭い商売してれば、そりゃ〜恨みもめちゃくちゃ買っていただろうし、完全なる自業自得であるため、俺としても調査なんざするつもりはなかった。


「要は人生は結局、清く正しく真面目〜に生きた方がいいって事よ。」


ダークサイドチックな笑みを浮かべていると、店の店主が怪訝そうな顔をしたので、慌てて表情を引き締める。


「そのリボンなんだが、随分と質が良さそうな商品だな。」


「流石はルーク様!お目が高い!

こちらは、ものづくりで有名な種族、【ドワーフ族】の作品です。

ついこの間、新規の商売相手として上手く契約できまして……これからはこういった質が良い商品を仕入れる事ができそうなんですよ。」



【ドワーフ族】は、他国である<シリアル王国>に住む人族ではない種族の事だ。

人族より小さな体を持つドワーフ族は、とにかく器用さが高くモノづくりに関しては飛び抜けた能力を持っている。

剣や防具から日常品まで……その全ての質が高く、商品価値も高い。

そんな彼らと商売をしたいと願う人族は多いが、ドワーフ族は非常に偏屈で頑固なことでも有名であるため、そんな彼らと契約が取れるのは、中々凄い事だ。


「凄いじゃないか。」


「いえいえ〜運が良かっただけですよ!これもルーク様が滅茶苦茶な輸入税を減税してくれたお陰です。本当にありがとうございます!」


店主はウルウルし始めた目をハンカチで押さえ、おーいおーい!と泣き出した。

この輸入税も、あの無能な父と愛人女が決めた税らしいのだが、何かの商品を入手し売り出す際には、そこに税金が掛かる様になっていて、商人達は売上の半分くらいがそれで取られてしまう。

更に厄介な事に、人族以外では増税するというとんでもない法律まで作っていたので、今まで我が領の商人達は、他国の商品を入手できない様になっていたのだ。


『そもそも、なぜ他国の商品を入らない様に制限するのか?』


実はそこには、非常に複雑な事情が絡んでいる。

俺はセレンが見ていたリボンを手に取ると、う〜ん……と考え込む。


現在高い身分の奴らは、『人族こそが最上種族、それ以外は下種族である』というかなり偏った人族至上主義を掲げていて、つまり他種族が活躍すると気に入らない。

そのため、平民達に普及するのが気に入らないという、ちょっと子供の意地悪レベルの考えを持っているようなのだ。

しかし、物はかなり良いので、欲しい。

だから商人に無理やり仕入れさせ、自分達に売る際は税金は取らないが、他は多額の税金を毟り取るという商人としての旨味が少ない状態にしている。

つまりそこがネックとなっていて、いまいち商人たちのモチベーションアップに繋がらなかったというわけだ。


どうしようもない法律に汗を掻くと、店主も色々と苦労した事を思い出しているのか、大きなため息をついた。


「貴族達の横暴な態度や、めちゃくちゃな法律を勝手に自領で作るのには困ったモンですわ。

アース王が中立派だからこそ、他種族との関係は今の所良好ですが……やはり他国としてもこの国の次世代の王によっては完全な鎖国状態になるだろうと警戒してますね。

商人としても、このまま差別化が悪化すれば、恐らく今の様に自由な商売はできなくなるでしょう。」


「そうだろうな。なんとも頭が痛くなる問題が沢山あるな。」



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