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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第三章【半年後の三人の話編】

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62 酷い未来にしないためには?

(ルーク)


次代の王様の決め方。

それは、単純に一番最初に生まれた王子に……ではなく、なんと投票によって決まるのだとか。

しかし、この投票権の価値が身分によって違い、例えるなら平民なら1投票1ポイントだとしたら貴族は1万ポイント!……と、つまり平民と貴族が同じ投票数にするなら、一万人が投票しないと駄目って事。

なんじゃそりゃ〜!と思ってしまうが、これこそがこの国の絶対的価値観『身分』を尊重した形なのだそうだ。


それでは平民が投票した所で……と思ってしまうかもしれないが、なんといっても数で言えば平民が圧倒的な数がいるので、なんだかんだとそこは平等性を持っている。

とりあえず俺は、独裁政治にさせないように努力したであろう先代の王や官僚達に心の中で拍手を送っておいた。


「その通り!しか〜し!だからと言って適当に投票しては、もっと酷い未来が訪れる可能性だってあるわけだ。

それに騙されては駄目だ。

そして騙されないためには、冷静に考える事ができる頭と柔軟な思考が必要となってくる。つまり────……。」


ゴクッ……と唾を飲み込み話を聞いてくれる素直なセレンと、態度には出さないがちゃんと聞いてくれているアッシュを前に、俺はビシッ!と空に向かってピースサインを出す。


「青春するぞぉぉぉぉ────!!!

沢山学んで、沢山遊んで……目一杯色んな体験をしよう!

聞くのとやるのでは、経験値の獲得ポイントに大きな差があるってもんだ。

その第一歩として、絶対に聖グラウンド学院に合格するぞ!仲良しルーク組ぃ〜ファイッ!」


いやっほ〜!と飛び上がると、セレンが何故か真っ赤な顔でモジモジしていたが、無気力クール少年アッシュだけは冷静だ。


「……本当にそんなに良いものなのかな?

冷静に考えれば、たかが同世代の奴らと騒ぐだけなんだし……。」


「馬鹿野郎!」


ひねくれた事を言う反抗期坊やのアッシュ君。

そのおデコを、ズビシッ!と突き、「いたっ!」と不満げな声を上げたアッシュの首に腕を回した。


「分かってねぇな〜これだからイケメン太郎君は!

(孫娘に聞いた話によると)めちゃくちゃ楽しいぞ〜?学生生活は!

なんかその辺の山とか川とかに集団で遊びに行くイベントとか、皆で走ったり飛んだりする運動イベントとか……お弁当を食べ合ったりしたりどっかに皆で泊まったり……カァ〜!たっのしそ〜!」


「……ふ〜ん?」


ちょっと興味の薄い反応をしてくるアッシュ君に、更に俺はコショコショと内緒話をする様に言ってやる。


「ほらほら〜それに、もしかして運命の出会いとかあったりするかもよ〜?

めちゃくちゃ美人で可愛い同級生とか〜ちょっと揺れるおっぱいとか……お前も好きなんじゃねぇ〜の〜?」


ツツンッ!とホッペを突いてやると、アッシュは俺のセクハラ発言にあからさまに嫌そうな顔をした。


ちなみに俺の学生(?)時代、もう生きるか死ぬかなもんだから、そういう目線で女性を見れた事なし。

ただただ助け合う戦友として存在していただけだった。

そして今、見た目は10代、中身は還暦超えの俺にとって、10代の小娘は保護対象でしかないため、性的な目線はゼロどころかマイナス。

せめて40代は越えてないと、女としてカウントできない。


────あれ?俺、青春できねぇじゃ〜ん!


今更ながらに気付いた事実に、ショックを受けて固まったが、なんのなんの、先生相手なら……イケるかも!


そのまま思考は熟れに熟れたセクシー女教師と乳繰り合いへ────……飛ぼうとしたら、突然全身武装した奥さんの千代が突然飛び込んできて、俺に一発KOレベルのストレートパンチを炸裂!

更にヨロける俺に、怒涛のパンチとキック攻撃をヒットさせ、ボッコボコのフルボッコをかました後は、俺の体はなすすべもなく地面に沈んでいった。


「────ま、まぁ、青春は恋愛だけじゃないから…………。」


「???」


突然ガタガタ震えながらそう言った俺を、アッシュは訝しげな目で見つめてきたが、想像の中の千代が怖すぎて、周りの目など気にしていられない!


まさに浮気しようものなら命がけ!

転生しても浮気ができる気がしない!


俺はゆっくりとアッシュの首から腕を外し、パチンッ!と指を弾く。

すると、直ぐに木の陰に隠れていたセブンが姿を現した。


「セブン、これから旅に必要な物を買いに行ってくるから、お小遣いをくれないか?」


「────ハッ!では、とりあえずこれくらいでどうでしょうか?」


セブンは懐から金貨が入った袋を取り出すと、すかさず俺に差し出す。

中を覗けば、かなりの大金が入っていたので、そこから数枚の金貨を取り出し、セレンとアッシュに一渡した。


「俺は共有の物資を買っておくから、お前たちはそれで好きなモンを買って来ていいぞ。

買い物終わったら帰ってこいよ〜。」


「────えっ!こ、こんなに貰えません!」


「ラッキー♬何買おうかな?」


震えながら金貨を手にするセレンとは正反対に、アッシュは金貨を指で弾きながら鼻歌を歌っている。


ちなみにこの国の通貨は、上から【白銀貨】【金貨】【銀貨】【銅貨】【小銅貨】【灰銅貨】だ。


平和になった前世の日本の円に直すと、白銀貨が100万円くらいで、金貨が一万円、銀貨が千円で、銅貨が100円くらい。

小銀貨は10円で灰銅貨は1円といった所で、物価自体はこの国の方がだいぶ低く、金貨数枚で一般平民の一ヶ月分の給料より高いくらいだった。


それを数枚なら、かなりの大金なわけだが、アッシュは焦るセレンとは逆に素知らぬ顔だ。

また喧嘩が始まる前に、俺はパンパンと手を叩いてその空気を壊す。


「まぁまぁ、この半年間、なんだかんだと修行ばかりだったからな。

楽しむ時は楽しむ!これも重要な修行の一つという事だ。

パァ〜と豪遊してしまうのも良し!貯金しておくのも良し!何に使ってもいいからな〜。」


「は、はい……。」


「ん〜?どうしようかな。」


二人は金貨をまじまじ見て迷っていたが、とりあえず納得した様子だったので、俺は手を振りながら「じゃあ、解散〜!」と言って、さっさと街の方へと歩いていった。


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