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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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55 おはようございます〜

(ルーク)


「…………。」


「あれ?アンタの顔、どっかで見たような……まぁ、忘れちゃったからいいや。

おはようございます、どっかの誰かさん?で、なんか用?」


無言でアッシュを睨みつけるセレンと、失礼すぎる挨拶を笑顔でするアッシュ……そんな対照的な二人の顔を見て、俺はため息をつきながらアッシュに拳骨を落とす。


今日の明け方突然我が家に来たアッシュは、突然俺に『雇ってほしい』と頼み込んできた。

正直攻略対象様だし、序盤でヒッソリ死ぬ予定のモブが関わるべきではないかな?とも思ったんだが……まぁ、放っておけなかったと言う事だ。


「……仕方ないもんな。」


『僕を拾ってくれニャン!』

『ご主人様に捨てられて、ちょっとぶっ殺してきちゃったから居場所がないにゃん!』


そんな気まぐれおすまし猫ちゃんから、捨てられて行く所がないないワンワンへとイメージチェンジしたアッシュを、つい捨てておけずに拾ってしまったのだ。


まぁ、強いし餌も散歩も自分でできるし……。


昔飼っていたドーベルマンを思い出し────……直ぐに首を横に振る。

冗談はさておき、若者たちの背中を押し出す場所を作ってやるのは、大人の役目って事。

俺はパンパンと手を叩き、戯れ始めそうな二人の注目を集めた。


「ハイハイ、護衛一号に護衛二号、顔合わせはすんだな。

とりあえず、今日はこれからの事をちゃんと話すから、ついてこい。まずは住む所から。」


「は、はい!」


直ぐに跪いて返事をするセレンとは、またしても対象的に、アッシュはダラ〜としながら「俺、一番いい部屋で。」とか言ってセレンに無言で睨まれている。

また微妙な雰囲気になりそうだったので、俺は手招きしながらさっさと歩き出した。


「とりあえず、アッシュには言ったが、従業員達が半分くらいやめちまってな。部屋はわんさか余っているから、好きな部屋を使ってくれ。」


「あ、あの……本当によろしいのですか?一人部屋なんて……正直破格の待遇では……?」


歩きながら説明していると、セレンがオロオロしながら聞いてきたので、俺は手を横に振る。


「いいのいいの、アホみたいに沢山部屋あっから。

他の従業員達は、家族やら恋人やらがいて外で暮らしてるから、殆どの部屋がただの空き部屋になっててさ、寧ろ使ってくれると有り難い。」


「しかし……。」


「じゃあ遠慮なく。でも、なんでそんなに一気に辞めたの?」


遠慮するセレンとまたしても対照的に、アッシュがラッキーと言わんばかりに喜んだので、セレンからは鋭い睨みが飛んだ。

最初から印象最悪なセレンにしてみれば、仕方ない。

とりあえずド直球で言うのはどうかと思ったので、俺は曖昧にぼやかしながら、現状を伝えた。


「厳しい世の中に疲れちゃったみたいでな。

俺の両親と兄たちも人生の壁みたいなモンにぶつかって、外れの屋敷に籠もっているから気にしなくていい。」


「なるほど……。ゆっくり休んで良い答えが出るといいですね。」


「……へぇ〜?人生の壁ねぇ?」


セレンが『くっ!』と痛みに耐える様な仕草をしている横で、アッシュは外れの屋敷がある方向を見つめ、小さく笑っている。

俺はそれ以上深く突っ込まれない様に、近くにある部屋の扉を手当たり次第に開けてやった。


「────って事で、とりあえず部屋の主はいないから、中を覗いて好きな部屋を探してくれ。

それぞれの従業員達の趣味に合わせた内装のまま残してるから、気に入ったらそこにすればいいさ。

多分持っていけない荷物は置いていったみたいだから、そのまま使っても捨てても構わないぞ。」


「お……おおぉぉ〜……。」


「うわ〜これは凄いね。」


二人は開けられた部屋を覗き込んで目を丸くしている。

それもそのはず、大体の個室は全て(多分)両親の愛人達の部屋で、非常に贅を尽くした作りになっていたからだ。


俺も最初見た時はぶっ飛んだが、お姫様が住む様なフリルやピンク満載の部屋や、金銀財宝を表現したの?という部屋、他にも色にやたらこだわっているカラフルな部屋や、宝石店や洋裁店なの?といいたくなるくらいアクセサリーや服が並んでいる部屋まで、とにかく多彩!

愛人達が根こそぎ出ていった後、そりゃ〜予算が大幅に余るだろうよと誰が見ても分かる程だった。


「……何やってんだか。」


興味津々で部屋を覗いていく二人を見ながら、頭を抱えてしまうのは仕方がないと思う。

そんな頭空っぽ、下半身はやる気満々な両親も、そろそろ本格的に追い出さないとと考えていると、フロア内の全ての部屋を見終わったアッシュが、首をコテンッと横に倒して聞いてきた。


「アンタはどの部屋使ってるの?」


「えっ?俺?そりゃ〜一番のお偉いご当主様の部屋だよ。」


フンスっ!と鼻息を勢いよく吹き出し、口を大きく歪めて笑う。


俺の父であるルストン様。

伯爵家に相応しいそれはそれは豪勢で広い部屋を使っていたので、フルボッコにした後に早速奪ってやった。

まるでトランポリンの様な弾力を持つ巨大ベッドに、金や宝石をふんだんに使った家具などなど、素人目で見てもお宝の山々の様な広〜い部屋!

まさにお偉いさんのイメージを表現した様な部屋で……まぁ、割と質素な生活をしてきた俺としては、ちょっと興味があったのだ。


せっかくだから、そこで暮らそ〜♬

そんな軽いノリで選び、現在もそこを使っている。

ちなみに隣には俺の正妻であった母親の部屋と、義理母兼元愛人であったフルート用の部屋があり、俺の部屋と扉一枚で繋がっていた。


「……っつーか、今考えるととんでもねぇ間取りだな、こりゃ。」


今夜はどちらにしようかな〜♬……という、ある意味男の夢が詰まった部屋達に、本気でドン引く。

痛む頭を労る様に揉み込んでいると、アッシュがニヤ〜とイタズラを思いついた子供の様に笑った。


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