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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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53 ど、どういう事??

(ルーク)


◇◇

「……随分早い再会だったな。」


俺は自分の屋敷の正面扉の前で、折れた肋を押さえて立っている黒マント……いや、血でグチャグチャに染まった赤マント?の男にそう言った。


先程この黒マントの男と戦い、勝負がついた後は一眠りして、現在は朝日が登る前くらい。

随分と弱々しい……でも、かなりの強さを持っている見知った魔力反応を感じ、起きて屋敷の正面扉を開けると、コイツが満身創痍の状態で立っていたのだ。

ポタポタとマント足元に落ちている血は、自分のモノか誰かのモノか……よく状況は分からないが、俺に会いに来たのは確からしい。


黒マントの男は、俺の姿を見るなりフッと小さく吹き出した。


「そうだね。でも、俺って仕事できる男なんで。早速会いに来てやったよ。さっきと違う場所で。」


「あ〜……そうね。うん。」


確かに違う場所でまた会おうって言ったけどさ、ここさっき戦った場所と同じ敷地内なんだけど……?


相変わらず軽い感じで話をされて、同じく軽い感じで答えてやると、黒マントの男はまた笑ったが、突然その軽い感じを消す。


「────ねぇ、俺、沢山人を殺してきたよ。碌でもないヤツらばっかりだったけど、それでも俺は大罪人ってやつだ。

そんな悪いヤツを、アンタはどうする? 

これって世で言う悪い事でしょ? 

裁く?諭す?一緒にどうすればいいか考えてくれる?……それとも一緒にこの罪を背負ってくれる?」


「ハァ??」


突然ペラペラと意味不明な話をされて、ちょっと驚いたが、俺はウンザリしながらそれに答えた。


「嫌に決まってんだろうが。自分のケツは自分で拭け。赤ちゃんじゃねぇんだから。」


「……ふ〜ん?それって、目の前に犯罪者がいるのに見逃すって事?アンタ、酷いヤツだね。

俺、一応父親だと思っていたヤツと家族だと思っていた奴らを全員ぶっ殺してきたんだけど?……人殺しって問答無用で『悪』じゃないの?」


今度はニヤニヤと誂う様な口調で話をしてきたが、黒マントの男の手は小さく震えていて……それを見た俺は、フゥと大きなため息をつく。

そして、今度は俺が軽い感じを潜めてそれに答えた。


「確かにそれは大罪だな。人はそれを『悪』と呼んで裁くだろう。」


「……そう。じゃあ、俺は裁かれるね。────まぁ、どうでもいいけど。」


無感情に答える黒マントの男に、俺は心底馬鹿にする様に笑ってやった。


「でも、それってよ、『平和』があってのモノだろう?

人を害し、全てを奪い、最後は命までも持っていこうとする存在を、お前は『人』と呼ぶのか?

もしそうなら、お前の命とお前の大事なモンは、その『人もどき』達に全部どうぞと差し出す覚悟をしろ。

正しさは、その時代や環境によって姿を変えるモンだ。お前のいた場所は『平和』だったのか?」


「────っ!!!」


黒マントの男は狼狽えたのか、ビクッと肩を揺らしたが、俺はそれを見てみぬフリをする。


コイツがどんな人生を送ってきたかは分からないし、一体どうして父親?やら家族??やらに手を掛けたのかは知らない。

だが、孤児院での戦いを見れば分かるが、コイツのルールは『自分に危害を加えられた時に攻撃する』事。

それに俺のせいではなさそうな、新たな怪我をしている所を見ると────大体の理由は察する。


黒マントの男は、必死に動揺を隠し大きく息を吸い込む。

そして何故か、自分の手のひらをコチラに向けてきた。


「『復讐』を遂げたヤツは、これからどうしたらいいと思う?

復讐も悪い事なんでしょ?

後には虚しさだけが残るとか?何も変わらないとか……色々言うよね、大抵のヤツらはさ。……アンタなら、どう生きていくの?」


黒マントの男の言い方はやっぱり軽いモノだったが、手はずっと震えていて……きっと救いを求めているのかもしれないと思う。

しかし、器用な方ではない自分は、相手のほしい言葉を察して与えるなんてできない。

だから俺は、悪役さながらの凶悪な笑みを浮かべて言ってやった。


「復讐は悪い事?んっなわけあるか、ば〜か!

そんなモン最初に攻撃してきたヤツが一番悪いに決まってんだからぶっ飛ばしてよし!

ちなみに俺はそんな奴に一ミリたりとも手加減はしないし、逃さない。

地獄の果てまで追いかけて、生まれてきた事を後悔させてやる。」


キョトンとしている様子の黒マントに向かい指を一本立てて見せると、そのまま天を指す。


「ただし、関係ねぇヤツを使って復讐は絶対にしない。

だから俺の復讐は、自分が相手を完璧に叩き潰せるくらいぶっちぎりに強くなってからが、条件だ。

怒りと憎しみを『力』に。

それだけ貰ったら、後は元凶をぶっ飛ばして……俺なら新しい世界を探しに行くね。

俺は聖人じゃねぇからさ、復讐は前へ進むために使う道具の一つだと思ってる。」


何も喋らない黒マントの男。

やっぱり何を考えているのかは分からないし、どんな答えを出すかも個人の自由だから好きにすればいいと思う。

ただ、それが周りを傷つけるモノなら、きっと俺はぶっ飛ばす。


迷惑だから。それだけ。


俺はきっと、これからも誰がなんと言おうと、自分の心の思うがままに行動するだろう。

だから、黒マントの男が俺がぶっ飛ばしたいと思わないヤツになったらいいなと願いながら、天を指していた指の先を黒マントの男の胸辺りへ向けた。


「でも、これは俺の人生の中で出した答えだ。

だから俺の意見は頭の隅にでも置いておいて、これから沢山のモノを見て回って、自分の納得する答えを見つけてけばいい。

勿論、今までの人生で得たモノだって、これから見つけていく答えに必要なモノかもしれないし、一応持ってけ。

全部自由なんだから、それをどう扱うかも好きにすればいいさ。」


「…………。」


最後は向けていた指を引っ込め、いないいないばぁ!するように両手を広げて舌を出してやると、黒マントの男からは小さく吹き出す音が聞こえた。


「……フッ……クっ……ククッ……っな、なに……それ……。

神様が聞いていたら……アンタ、とんでもない天罰が下るんじゃない?フッ……フククッ……っ。」


そのまま笑い出してしまった黒マントの男は、ひとしきり笑った後、おもむろに頭に被っていたフードを取る。

すると、そこから飛び出た顔に────……目を見開いた。


光が一切入らぬ様な漆黒色の髪に、腫れて血で汚れているが信じられないくらいお綺麗な顔。


【攻略対象その1】無気力サイコ野郎 <アッシュ>!


目玉が宇宙へ発射!くらい驚いた俺は、咄嗟にスキルを発動し、アッシュらしき少年を見た。



【アッシュ】


<レベル50>


体力:7500

攻撃:6500

魔力:5000

知力:4800

物理防御力:3500

魔法防御力:3200

精神力:5500

俊敏:6200


現在の状態:瀕死


(才能ギフト)


【王魔人】

天性の物理攻撃&全魔法適正を持つ戦闘系の才能ギフト、特に闇属性魔力に優れているSランクギフト



『はぁぁぁぁぁぁぁ!!!???』


心の中で絶叫しながら、汗をダラダラと流す。


やっぱり、紛うことなきアッシュ!

更に、ステータスがとんでもない化物級!


とりあえず顔面と才能値は、流石は攻略対象と言わざるを得ないチート仕様だが、レベルもべらぼうに高い。

確かに、アッシュは最初から他のキャラ達を押しのけて戦闘能力なら逸脱している存在だったが……まさかこんな過去があったとは知らなかった。


「ど、どういう事……???」


「?」


ついボソッと疑問を口にするとアッシュが不思議そうな顔を見せたので、慌てて口を閉じたが動揺は続く。


いやいや、だっておかしいだろ!


モワモワ〜と思い出すのは、アッシュルートでの様々なイベントについてだ。


アッシュは学院にて、主人公リリスの前にフラッと現れては気まぐれに助けてくれる、いわゆる野生の猫の様なキャラだった。

困っていたら意味深な情報を言ってきたり、時には戦闘中ピンチな時には手助けしてくれたり……。

そんなアッシュに対し、リリスは必死にアッシュと接触し続け、その孤独を知っていく。


『辛かったよね……。でも、これからは私がずっとアッシュの味方になる!だから、一緒に辛いのを乗り越えよう。』


リリスのそんな優しさは、アッシュの孤独を照らし、やがて二人は────……的な?


共感こそが、アッシュ攻略のキーポイント!

だから、多分学院に通い始めればリリスとそんな感じでストーリーが進むと思うんだけど……?


きょ、共感……???


今までのアッシュという人間を想えば、本当にそれが心にクリティカル・ヒットするのかは疑問だ。

もしかしてただのソックリさんじゃ……?とまで疑い始めた俺の前で、アッシュはそれはそれは綺麗な顔で笑う。


「ねぇ、アンタさ、俺を雇わない……?

自分で言うのもなんだけど……俺、役に立つよ……?

特攻、諜報、囮、暗殺、なんでもあれ。……メンタルも強いしさ、どう?」


軽い感じで言う割に、なんとなく瞳の奥には怯えの様なモノを感じた。

俺はその正体を察し、何がなんだか分からないが仕方ないと腹を括る。


「あ〜……うん、うん。実はさ、今この屋敷従業員が半分もいなくなって、ちょうど人不足だったんだよな〜。だから、護衛二号として雇ってやるよ。

ただし、勘違いするなよ?

俺の方が強いし、特攻は誰にも負けない俺の特技なんで〜!

死ぬ時は俺がダントツ先になるから!だから、まぁ……気負わず好きに働け、若者よ。」


アッシュは目を見開いて驚いた様子だったが、直ぐに息を詰まらせ咳き込み始めたので、俺は、何事かと起きてきたセブンに命じて回復薬を持ってこさせた。

そして、それをアッシュに投げて渡すと、アッシュはそれを飲み干し、今までで一番綺麗な顔で笑う。


すると、先程まであったはずの『孤独』は、その瞳の奥からスッカリと消え去っている様だった


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