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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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(アッシュ)52『自由の果て』

(アッシュ)


「街によく買い出しに来る侍女達が、面白話としてよく話していたらしい。

毎日両親や腹違いの兄弟に拷問紛いの暴力を振るわれていて、従業員達もそれに乗って楽しく遊んでいたんだと!

だ、だから、アイツには金も権力もねぇはずだ!そんな奴についたって、一文の得も────……。」


「…………。」


父だったモノの声は段々と遠くなっていき、フッと気づくと、俺はヘドロの様な真っ黒い沼みたいな場所に立っている事に気づく。



《ここは……?》


近くには何もなくて、俺の周囲は真っ暗闇。

でも辛うじて遠くの方に光が見えたから、直ぐに足を動かそうとしたが……足はドロドロに取られて動かなかった。

いや────動かしたくなかったのだ。

だって……。



『寂しい』から。



そう、俺は『寂しかった』。


ココがどんなに汚くて地獄みたいな場所だって……俺にとっては世界で唯一の場所だ。

父という家族の絆こそが、俺にとってはこの世界で生きてていいという証で、愛情が欠片でもほしかった。


《……行きたくない……ここにいたい……。だって俺は…………寂しい……。》


寂しい気持ちが溜まっていく度に、足元のドロドロは濃くなっていき、それはどんどんと広がっていって、遠くで輝いている世界へ向かってゆっくりと忍び寄っていく。


寂しい……寂しい……それは嫌だ。

だから…………寂しくない奴らが憎い……。

キラキラしている世界が憎い……。


全部全部全部っ!!!!憎くて憎くてぶっ壊してやりたい!!!


《綺麗な場所で俺の欲しいものを溢れんばかりに持っている……そんな奴らに、俺の『寂しい』を……思い知らせて────。》


そのまま黒い空間さえも、ドロドロしたものは飲み込もうとしていたその時────……。



『そんなに強いんだから、さっさと動けよ。きっとそこに居続けても、欲しいモンは絶対に手に入らないぞ。』



《────っ!?》


突然聞こえた声に驚き顔を上げると、目の前にはあの野ねずみ野郎の背中があった。

言葉を失い、今まで感じていた怒りも忘れて呆然としていると、その背中は更に語り出す。


『お前には、既にその場所を壊す力がある。今までの人生は、その力を手に入れるために役に立つモノだった────それでいい。』


『……最初は、自分の世界を壊そうとするヤツだけなんだ。そして最終的には、この世界そのものへと憎しみは向く。』


『自分の欲しいモノを与えてくれないのは、世界が悪い。』

『自分の欲しいモノを平然と持って幸せそうに暮らしている人々が悪い。』


『だから────”全部壊そう”。』


『その結果待っているのは……憎しみと怒りが渦巻いた、自分が欲しかったものとは正反対の世界だ。』


野ねずみ野郎が語っている最中も、ドロドロはどんどんと濃くなっていき────……やがて遠くに光り輝いていた世界を飲み込むと、そこは一寸先も何も見えない真っ暗な世界になる。

そこは、俺が欲しかったモノが永遠に手に入らない……孤独で寂しい世界だった。



「──────っ!?」


────ハッ!!と気づけば、目の前には惨めに逃げようとしている、父だったモノの姿が……。

どうやら俺は白昼夢を見ていたらしい。

                

「……俺の守っていた世界の果ては、()()か。」


ボソッと呟くと、父だったモノは体をビクつかせ、這いつくばりながら出口の扉へと手を伸ばしたが……。


────グシャッ!!


「ギッ……っ!?ヒギャァァァァ!!!」


俺がまだ潰れてない方の足を踏み潰してやると、父だったモノが伸ばしていた手は下へと落ちていく。

そして絶望と恐怖で引きつった顔で俺を見上げてきたので、俺は今まで見せた事がないくらいの満面の笑みを見せてやった。


「『弱いヤツは努力をしない怠惰な人間』『それは使って下さいと言っているのと同じだから、好きに使っていい』なんでしょ?

────じゃあ、いいよね?俺がクソ弱いアンタをどう使ったって。」


「は……はっ……そ……そんな……っ!」


父だったモノは、汚い汁を大量に顔から垂れ流して何度も何度も謝罪の言葉を口にしていたが────やがてそれも聞こえなくなっていった。


教えられてきた事をキッチリと。

                    

長く長く楽しく楽しく苦しめて苦しめて……|父だったモノは、最後は「殺してください。」と何度も懇願し、その辛く苦しい生をおえた。


後はとっても簡単なお仕事。

完全防音だった父の自室を出たら、順番に残りを全部始末していった。


ちゃんと教えられたルールを守って消すんだから────いいでしょ?

全員そのルールを忠実に守って、人生を楽しんできたクソ野郎達だったんだから。

                       

最後は、どこもかしこも真っ赤に染まった自分の()()()()()()を見て回り、火を放つ。


証拠は残さず綺麗に。

これも教えられた事だったけど……。


「……あ、でもこれからは、教えられたルールは何も守らなくていいんだ。

これが自由……。

『寂しい』は、『自由』になった……じゃあ、俺は────…?。」


メラメラと燃えていく家を見上げ……俺はおぼつかない足取りで、とある場所を目指して歩き出した。



<スチル2>


未来ブレイク

『憎しみの果て』⇒『自由の果て』



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