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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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(セレン)35 解決方法

(セレン)


ポツリと小さく呟いた声を、シスター達は逃さない。


「そりゃ〜そうよ!幸せに決まっているわ!」


「私なんて貧乏農家に生まれたから、あくせく毎日働かされて、最後は20も年上の爺さんに嫁がされそうになったのよ!身一つで教会に逃げ込んだわよ〜……。 

結局平民で女だと、人生の選択肢ってあまりないのよね……。」


「そうそう。結局女の幸せって、如何に素敵な伴侶と出会えるかに尽きると思うわ〜。

────だから、兵士は止めておきなさいな。

私達は、実際の戦いの場に回復班として派遣されたりするからね……あの悲惨な場所に、皆セレンの様な可愛い女の子を送りたくないのよ。

貴方には幸せになってほしい。それは皆の願いよ。」


茶化すような言い方はわざと。

シスター達は戦いの場の悲惨さを実際に知っているからこそ、私や子供達には安全な場所で幸せを掴んで欲しいと願っているのだ。

その気持ちが痛い程分かっているからこそ……私は口を閉じるしかない。


「……考えてみます。」


「そう……。────あ、あと、昨日の様な事はもうしないでね。

腹が立つのはわかるけど……皆でなんとか耐えましょう。」


無難な返事を返すと、ドルマの言葉にシスター達はお互い頷き合い、別のおしゃべりを始めた。


シスター達の言っている事は間違いではない。

だけど────それが自分の幸せかどうかは分からなかった。


朝ご飯が出来上がると、直ぐに子供達を起こして食堂で食べる準備に取り掛かる。

年長組と呼ばれる10歳以上の子供達は、担当の年少組の子の準備を手伝い、その間にシスター達が出来上がったご飯をテーブルの上に置いていく。

硬いパンが半分と、ジャガイモを蒸して潰したポテトサラダ、野菜がチョロチョロと入った薄味スープ……これが最近の食事だ。


「……それでは、本日も精霊神様に感謝を捧げ、日々の糧を頂きましょう。いただきます。」


「「「いただきま〜す!」」」


全員が一斉に食べ始めたが、勿論全然足りないので、お腹がなる音がそこら中から聞こえてきた。

その音をシスター達は悲しげな顔で聞き、今の孤児院の状況を知っている皆は文句など決して言わずに、お腹を押さえて音を隠す。


毎月の運営費は殆どヘビネロ商会に持っていかれ、こんなにも皆は飢えている。

どうして暴力に訴える悪人が得をし、健気に頑張り続ける善人が耐えなければならないのか?


「────クソっ。アイツらさえいなければ……っ!」


私が思わず悪態をつくと、ドルマとシスター達は静かに首を横に振った。


「セレン、怒る気持ちは分かりますが、相手を排除したいという考えはいけません。それでは彼らと何も変わらない……獣以下になりますよ。」


「ですが────……!!」


あまりに理不尽な状況に、声を上げようとしたのだが……そこで私の行動を止めたのは、涙目で怖がっている数人の子供達の存在であった。


「…………。」


思わず口を閉じる私に、シスター達は泣きそうになっている子供達の頭を撫でて落ち着かせる。


「問題の解決法は、きっと沢山あると思います。

そして、どんな方法を選ぶかは……きっとその人の性質や生き方、環境によるのでしょうね。正しい、正しくないを判断するのは、とても難しいわ。

でもね、ココは……セレンの望む解決法を望まない子が多いの。

そして、セレンが大事だから、皆それをしてほしくないと思っている……。

沢山の人達が集まる場で、物事を決めるのは……すごく難しいわね。」


「……はい。」


そこまで言われては、私は黙るしか無かった。


ここに来る子供達は、私の様に両親が二人とも亡くなってしまった子達だけではない。

育児放棄の末捨てられたり……他にも理不尽な暴力を振るわれ続け、保護されてきた子供達だ。

そんな子供達は暴力というものに酷く怯え、その方法を使って解決する事を極端に怖がる子達が多かった。

皆が私に望むのは、安全な場所で働き、幸せになってもらう事。


でも……そしたら、皆は?

私がその幸せになっている間に、皆が嫌な目に合っている間も……幸せだって思えるのだろうか?


視線を下に下げると、自分の両手が見えた。


この手は……一体何を掴めば幸せだと思う……???


強く拳を握りしめた、その時────……突然、外から馬の蹄の音と荷台者の車輪の音が沢山聞こえてギョッ!とした。

勿論シスターや子供達にも聞こえたため、またヘビネロ商会の奴らかと身を固くしていたが……扉の外に感じたのは、ルークの魔力反応だったため、心臓がドキーン!と大きく跳ねる。


ま、まさか、こんなに早く来るなんて!


私は混乱してしまったせいか、スプーンに映る自分の顔を見て、チョイチョイ……と前髪を弄った。


あ、朝、水を浴びてちょっとグチャッとしてたから!

それ以上の意味はないから!


そのまま前髪と、ついでに跳ねている髪の毛達を必死に撫でて押さえつけとく。

すると、その直後にバンッ!と扉が開く音がして、ルークが姿を現した。


「おはよう諸君!悪いが今日は手伝って欲しい事があるから、ちょっと付き合ってくれないか?そしたら腹いっぱい飯を食わしてやっからさ!」


ニカッ!といい笑顔で入ってきたルークを見て、ドッキドッキと胸は早鳴りを始めてしまい、首を大きく傾げる。


まるで全力疾走したような……?


む〜ん……と考え込んでしまったが、周りにいる子供達はキラキラ輝く目で一斉に立ち上がった。


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