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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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24 正義の味方ではないんで

(ルーク)


「「「────っ!!!?」」」


突然現れた俺を見て、セレンや子供達は勿論、黒マントの男も驚いた様子を見せた。

そんな張り詰めた空気の中────俺は黒マントの男に向かいニヤッと笑いながら手を振る。


「よう。随分と楽しそうに遊んでいるみたいだったから、窓から『こんにちは』しちまったわ〜。俺も、混〜ぜ〜て☆」


「…………。」


ニコニコ笑顔でキャッチしたものを床に落とし、飛び込んできた窓を指差した。

すると、黒マントの男は俺を警戒したのか雰囲気を硬くしたが、直ぐにさっき同様、軽い感じで返事を返してくる。

                                    

「別にいいけど、随分グットタイミングで入ってきたね。────あ、一緒に()()で遊ぶ? 」

        

「────グッ……!!」


黒マントの男はセレンの頭を更に強く踏みつけ、セレンは苦痛の声を漏らす。

その姿を見て、俺はため息をつきながら手をブラブラと振った。


「勝負はもうきっちりついたんだろ?だったら、もうそれ以上やる必要はない。

あ〜もしかして、お前って、加虐趣味でもあんの?

それとも、『僕、凄いんでちゅ〜!褒めて褒めて!』っていう青臭いアピール?やめろって!恥ずかしい。」


「…………ふ〜ん?アンタ、結構言うね。地味で弱そうな見かけに反して。」


ゲラゲラ笑ってやると、黒マントの男はセレンの頭に乗せていた足をどかし、俺と真正面に向かい合う。

こうして対峙すると、まだ少年とは思えない威圧感や攻撃的オーラが滲み出ていて、常に俺にそれがぶっ刺さってくる。


コイツ、多分かなりの場数を踏んでる。────本物だ。


命と命のやり取り。

それを経験すればするほど、内面は静かになるのだが、コイツの中身は恐ろしい程静かだ。


「……お前さ、さっき妙な事言ってたな。『この教会を適度に追い詰めろって命令されてる』って。────誰に命令されたのかな〜?」


黒マントの男は、僅かに指を動かしたが、特に動揺も見せずにそれに答えた。


「そんな事言ったっけ?ちょっと覚えてないな。────あれ?ってことは、アンタさ。もしかして、この女がこんなになるまで見てたって事?

俺が言うのもなんだけど、女が殴られているのを見たら普通止めるもんじゃないの?もしかして、怖くて震えていた?」


黒マントの男は笑いながら、顎や頬を大きく腫らしダラダラ血を流しているセレンを指差す。

セレンは悔しげに顔を袖の部分で乱暴に拭い、黒マントの男を睨みつけながら、なんとか立ち上がろうとしていた。

俺はそれを見て、わっはっは!と大声で笑う。


「バ〜カ!そいつは立派な戦人だろうが。それに女も男も関係ないさ。

守るべきものを背に、それを脅かすお前達と戦ったその子には敬意を。

だから、その戦いの勝敗がつくまで外野の俺は邪魔しなかった、それだけだ。」


「────っ!!」


セレンは驚いた様子で目を大きく見開いたが、直ぐに駆け寄ってきた子供たちに囲まれてしまい、オロオロしている様だった。

更にしがみついてセレンの顔をハンカチで拭こうとしている子供たちを見て、フッと笑うと、あからさまに黒マントの男は不快そうな雰囲気になる。


「……あ、そう。そういう信念みたいなの、ウザいからもういいや。

じゃあ、別に今更出てこなくていいんじゃない?────正直邪魔なんだけど?」


「そうはいかねぇだろう。だってさ、お前待ってたんだろ?

()()()()()()()()()()()()。 」


「 …………。 」


図星を刺されたのに驚いたのか、黒マントの男は一瞬言葉がでなくなった様だった。


戦う者達の中には、ある一定のルールを持つ者達がいて、その中で最も多かったのは、『武器を持たない非戦闘員とは戦わない』だ。


無抵抗の相手を害するのは、戦人としてのプライドが許さない。

だから、わざと子供たちに武器を持たせて、全員始末しようとしていたのだ。


何が逆鱗に触れたのかは分からないが……とりあえず、コイツは幼い子供を手に掛ける事に対し躊躇的な感情はないらしい。

自分のルールを持っているヤツは嫌いじゃないが……まぁ、コイツは少なくとも100%善人とは言えないな。


ふぅ……とため息をつくと、俺はセレンが落とした木刀を拾い、黒マントの男に向けて構えた。


「ほら、お前の土俵に上がってやるから来いよ。」


「……へぇ?それはどう────もっ!!」


黒マントの男は一瞬で、俺の前へ。

そして、そのまま俺の胴体目掛けて横蹴りをしてきたが……俺は木刀を横に持ってきて、難なくそれを受け止める。


「────っ!!」


離れた所でセレンの息を飲む音が聞こえたが、そのまま黒マントの男は連続キックを俺に放ってきた。

しかし、全てを木刀で受け止めていなしてやると、黒マントの男は一旦大きく距離を取る。


「……っ??あれ〜?アンタ……もしかして強い?」


「 ん〜?どうかな〜?ま、まだまだガキには負けねぇ自信はあるけどねぇ〜。」


木刀で軽く自分の肩を叩くと、黒マントの男は準備運動する様にトントンッと足のつま先で数回床を叩いた。


「……よくよく探れば、アンタから研ぎ澄まされた魔力を感じる。纏う空気が清らかじゃないから、もしかして同業者かな?

────でも随分みすぼらしく痩せてるね。ダイエットでも頑張っちゃった?」


「さぁ?それはどうかな〜?体型の事は、これからブクブク太るつもりなんでぇ〜お構いなく。」


軽口を叩いた後は、ピンッ……と空気が張り詰める。

そして、先に動いたのは────黒マントの方だった。



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