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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第二章【セレンとアッシュ編】

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22 見つけちゃった

(ルーク)


「…………。」


馬車を止めてソレを見上げて、俺はスンッ……と表情を失くす。


辛うじて木製のその建物は大きさは十分ありだが、まず屋根がボロボロであるため、多分雨風は防げない。

そして庭となっている場所を見ると、畑?らしきモノがあるが、水が不足しているためかカラカラで雑草すらまばらにしか生えていない様だ。

更に孤児院の周りを囲う木の柵は殆ど何も機能できないくらいにガタガタで、まるでお化け屋敷の飾り付けみたいだとも思った。


「これは思ったより酷いな……。周りの建物を見ても、多分街の外れ一帯がスラム化している感じもあるし……。

────でも、どうもおかしいな。一応孤児院には運営費として、ここまでひどくならない程度には支給されていたはずだぞ?」


大体の道のりは記憶したため、馬車の御者には帰る様に指示し、俺は入口?っぽい壊れた柵の場所へと近づくと、散らばっている残骸を見下ろす。

そしてその柵の壊れ方に、少々違和感を感じ首を傾げた。


「経年劣化というより、物理的に壊した様な……?こんな事、ここに住むシスターや子ども達がやったとは思えない。一体誰が??」


その残骸を拾い上げ、更に周りを見渡した瞬間────……。


「うるせぇんだよ、このガキがぁぁぁぁ!!!ふざけてんじゃねぇぞ!!」


男の怒鳴り声と、ガシャン!!という破壊音。

そして子ども達の悲鳴らしきモノが聞こえてきて、俺は顔を上げた。


「……穏やかじゃねぇな。」


嫌な予感をビシビシと感じながら、俺は悲鳴が聞こえる建物の方へと飛んで駆け寄り、窓の一つから中を覗く。

すると、孤児院の中には明らかにカタギじゃなさそうな人相の悪い男が五人、そしてその後ろに黒いマントを被って顔が見えない男?らしき人物が立っていて、その前には身を寄せ合って震えている小さな子ども達の姿と、前に出て木刀を構えている少女がいた。


「ふざけているのはどっちだ!今月分は払ったのに、こうしてシスター達がいない時に乗り込んでくるなんて……一体どういうつもりだ!」


にじり寄ってくる自分より大きな男性5人を前にしているというのに、木刀を構えている少女は勇ましく怒鳴り返す。


俺と同じくらいの歳っぽいのに、中々の度胸!

感心しつつ、『今月分』という言葉が気になった。


「??生活苦で借金でもしている……?でも、そうしたら、ますます運営費はどこに行ったのか分からん。」


ブツブツと呟く俺を置いて、話は進んでいく。


「それはすみませ〜ん♡今月から土地代が上がりましてぇ〜今までの倍必要になりました〜♡」


「今直ぐ残りを払えや、コラァ。」


「はっ?そんな馬鹿な話があってたまるものか!」


疑いようがないくらいに分かりやすいメチャクチャ要求に、なんとな〜く話が見えてきた。

多分あの男たちはココらへん一帯を勝手に仕切っているゴロツキ共。

そんでもって勝手に土地代とか言って金を脅しとっているとみた。


いやいや、仮に土地代とやらが本当に必要なら、領を治めているグリード家に払わないとだめじゃね?


ハァ……とため息をつき、とりあえず男5人をぶっ飛ばそうとした、その時……男の一人が笑いながら少女に向かって近づく。


「ま、どうせ金なんてないだろうから、その体で支払うしかねぇよな〜?お前可愛い顔してるし、そのぐらいの金なんて直ぐ稼げそうじゃん。

俺達が仲介してやっからさ、後ろのガキ共も一緒に……な?」


ニヤ〜と笑う男が、その少女に触ろうとした、その瞬間────……。


────バキッ!!!


その少女が持っている木刀で、その男の伸ばしてきた手を叩き落とした。


「ぎゃっ……ぎゃあぁぁぁ!!!」


「────っ!?こ、このガキッ!!!」


男は折れたらしい手を押さえて叫ぶと、後ろで見ていた別の男が剣を抜いて少女に飛びかかったが、少女は剣をヒラッと軽く避ける。


「────っ?!」


その男は慌てて崩された体勢を整えようとしたが、少女の方が早い。

後ろに大きく引いていた木刀を、そのまま男の胴体へ打ち込み、男はあっけなくふっ飛ばされてしまった。


この少女、精神だけじゃなくて腕っぷしも強い!


心の中で拍手をしながら、俺はスキルを使って、少女を『見た』。



【セレン】


<レベル18>


体力:280

攻撃:38

魔力:15

知力:8

物理防御力:37

魔法防御力:32

精神力:40

俊敏:30


現在の状態:怒り状態


(才能ギフト)

【剣豪人】……剣の攻撃に非常に優れた戦闘系の才能、Bランクギフト



「はぁぁぁ!??」


思わず声が出てしまい、慌てて口元を覆って声を飲み込む。


えっ?セレン??主人公リリスの親友の???


「ま、まじか〜……。セレン見つけちゃったよ……。────っつーか、ライアー達より強いんだけど?あれ?アイツらが弱かっただけ??」


三人目の男と新たに戦い始めたセレンをジッ……と見つめた。


柔らかい印象を持つベビーピンク色の内巻きボブカットに、パッチリお目々の幼気な顔立ちは、確かに可愛らしさを感じる。

しかし、目の奥には闘志がメラメラと燃えていて、纏うオーラは戦士のモノ。

随分と外見と印象がチグハグしている少女だ。


「セレンについての詳しい説明はなかったからな……こんな勇ましい少女だったのか。

まぁ、『リリスと同じく正義感に溢れる少女だった』とは記されていたけど……。

……ん??そういえばリリアは??」


キョロキョロと中を見回したが、それらしい少女はいない。

不思議に思ったが、たまたまどこかに出かけていないのかもしれないので、その疑問は置いておく。

再び戦うセレンへと意識を戻すと、ちょうど掛かってきた三人目を倒した所で、残る二人は殺気を込めてセレンを睨みつけていた。


「てめぇ……ふざけた事しやがってよ〜!こんな事してただで済むと思ってんのか?────あぁ?!」


「ふざけているのはそっちだろう、このドクズっ!!お前達みたいな奴らがいるから……不幸になる子供達がいるんだ!今直ぐ出ていけ!!」


殺気がこもった目にも負けず、凛として言い返すセレン。

いいぞいいぞ〜!と心の中で応援しながら……俺は微動だにしない黒マントの人物へ視線を向けた。


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