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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第五章【入学院テスト編】

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124 悪役令嬢?

(ルーク)


「確かに今って、グリード家が違う街で暮らしているって聞いた様な……?」


「そもそも【交渉人】って……。戦闘系の才能じゃないよね?

なんで受験を考えたんだろう……。座学の試験で相当自信があったのかな?」


「グリード家は、戦闘系の才能で有名なのに?」


ざわざわし始めてしまい、試験官が「静かに!」と言っても目は口ほどに物を言うような……。

とりあえず試験中なのに、別の事に思考が引っ張られている雰囲気が漂い始めてしまった。


「おいおい、お前らいい加減に────……。」


流石にこれ以上はよくないと思い、ギャーギャー煩い悪ガキ共にガツンと言ってやろうとした瞬間────……。


「いい加減にしてくださいますか?試験中ですよ。」


凛とした少女特有の声がその場に響き、全員がはっ!として声がした方へ視線を動かす。

するとそこにいたのは、なんと第一王女様の<エヴァ>様だった。


「し、失礼致しました!」


サミュエル君は慌てて頭を下げて下がり、更に続けてライアーとスティーブも頭を下げて口を閉ざす。

流石に王族相手では逆らう事などできない様だ。

更にエヴァが周りでざわついていた受験生達も一瞬で見回すと、全員が青ざめて視線を下に下げて頭を下げた。

そして静かになった周囲を見て、もう一度口を開く。


「人を導く貴族ならば、いつ如何なる時も、感情はその御心に留めておくべきです。

そうでなければ、沢山の人々の迷いを生み出してしまいますよ。」


「────はっ。以後気をつけます。」


ガツンと怒られ、サミュエルとライアー達は、頭を下げたまま謝罪していた。


「申し訳ありませんでした〜。」


俺も便乗して謝りながら、チラッとエヴァの様子を伺う。


エヴァの顔には表情らしい表情はなく、まるで凍っているかの様。

そのクールな表情からは心の内は読めない。


「……なんだか、めちゃくちゃしっかりしているお嬢さんだな。」


確かに冷たい感じがあるかといえばあるけど、言ってることは真っ当なご意見だ。

悪役令嬢かと言われると……?


それに当てはまらないエヴァに首を傾げながら、リングの上から降りようとしたのだが、そんな俺に殺気混じりの視線を向けたのは、エヴァの隣に立っているオーティスだった。


「グリード家の子息は大病を患っていたと聞いていたが、随分と元気そうだな。

しかし、その実力から見てまともな教育を受けれる程、元気ではなかった様だ。

ならば、自身の実力に見合った場を探す事をオススメするよ。

自分の実力を理解できない事が1番愚かだと、私は思っているからね。決断は早い方がいい。」


チックンチックン!

結構な嫌味を言ってくる王子様に、俺はヘラヘラしながら「ご忠告どうもありがとうございます〜。考慮いたします〜。」と答えると、オーティスの視線は鋭くなる。


もしかして、ルークの両親関係から何か聞いているのかも?


もう顔もおぼろげになっているルークの父親の顔を思い浮かべて、ため息をつくと、今度こそリングを降りてアッシュとセレンの所へと向かった。


「なんだか災難だったね。めんどくさ。

っつーか、どうしていつもできない魔法ができると思ったの?」


「イケるって思った。でも無理だった。」


呆れ果てた目で俺を見ながらヒソヒソと話しかけてくるアッシュに、俺も声を潜めて返事を返し、今にも飛び出そうとしているセレンを慌てて羽交い締めにした。


「セレ〜ン、落ち着けって。」


「ぐぬぬっ!まだルークの悪口を言っている!レイピアの錆にしてやる!」


ムスッ!としているセレンを締め付けながらどうどう……と落ち着かせると、正気を取り戻したセレンは首に巻き付いている俺の腕を見て恥ずかしくなったのか真っ赤になっていったが、後ろにいる俺はそれに気づかない。


「────次!セレン!」


「あ、ほらほら、セレンの番だぞ!」


俺が開放してやると、セレンは心此処にあらずな様子でキュッ!と顔を窄めているが、俺が背中を叩くと正気に戻った様だ。


「……目にもの見せてやる。」


ボソッと呟くセレンの目は、激しく燃えている!


「その意気だ!頑張れ!セレン!」


「……あんまりソイツ、調子に乗らせない方がいいんじゃない?

イノシシなんだから。」


アッシュが汗を一筋垂らしながらそう言うと、セレンがギロッ!と凄い顔でアッシュを睨んだが、今はリングに呼ばれているため、顔を背けるだけに留めて指定された場所へ向かっていった。


「セレンって魔法も結構できるから、今度少し魔法も混ぜてやるとまた強くなりそうだよな。」


「アンタさぁ……。ま、いっか。とりあえず罪な男だね。」


アッシュは一人で納得している様子だったので、それは良し!と俺も納得して的の前に静かに立っているセレンを見守る。

セレンは既に全身に魔力を纏わせており、その魔力の清らかさや均等さに試験官が僅かに目を見開いていた。


魔力には結構個性がある様で、目にハッキリ見えるわけではないが、なんとなくそれが透き通っているとか、濁っているとか、均等、刺々しい、ドロドロしているなどなど……そいういった印象を相手に与えてくる。


多分、人の性格に引っ張られるモノなのかもしれないな。


そう思わせるほど、嫌なヤツの魔力は、結構ドロドロして淀んでいる様な感覚を与えてくるのだ。

ちなみにセレンは、真っ直ぐで真面目な性格が出ているのか、全身を循環する魔力がとても均一でサラサラしているイメージがあり、更にその大きさにも驚かされる。


「あいつ魔法使いでもいけたかもな。剣の才能の方があるけど。」


「魔法だったら、今頃ルークの家爆発してたと思うよ。直ぐに暴走する暴力女だから。」


アッシュは鼻で笑った後、無表情で黙った。

なんだかんだでセレンの暴走を止めているのはアッシュなので、色々と思い出しているのだと思われる。


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