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元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!  作者: バナナ男さん
第五章【入学院テスト編】

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(カーター)111 これからも頑張る

(御者の男:カーター)


「これは食べられるヤツですか?」


「あぁ。イナゴは美味いぞ〜?貴重な栄養源として重宝された食料の一つだからな。

草むらを飛び回るヤツラを根こそぎ捕まえて煮込んで〜……。」


「えっ、食べ過ぎじゃない?あの大きさなら一匹で十分だと思うけど……。」


セレンさん、そしてアッシュさんまで屋根に飛び移り、ルーク様の話を聞きながら、イナゴ・スライダーを頭の先から足の先まで見つめた。

セレンさんとアッシュさんはルーク様の護衛として働き始め、色々な意味で話題が絶えないこれまた凄い人達だ。


まずはルックス!

片や可憐な美少女!片や目が覚める様なイケメン!ときたら、そりゃ〜話題にもなるというもの!


『セレンちゃん……可愛すぎるよな〜!』


『うんうん、めちゃくちゃ可愛い〜!あんな美少女連れて来るなんて、ルーク様、やるぅ〜!』


まずは可憐な美少女セレンさん。

その容姿の可愛らしさに、男性使用人達は一気に騒ぎ立て、当初はお側に常に置きたいから護衛という名目で〜?なんて考え、微笑ましく見守ろうとしていたのだが……。


『甘いぞっ!セレン!!!足元をがら空きにするな!!』


『────っは、はいっ!!』


常に『死』と隣合わせな激しい鍛錬の様子に、お昼のお茶でも〜♬とティーセットを持っていった使用人達は、全員白目を剥いて立ち尽くす。


可憐な少女の顔は腫れ上がり、それでも手は抜かずにボッコボコ!

それでもセレンさんは、立ち上がりなりふり構わず剣を振り続けていたそうだ。


「「「…………。」」」


護衛というのは名目上だろうと考えていた使用人達は猛反省し、それからは護衛様としてリスペクトしつつ普通に接する様になった。


対するアッシュさんは、今でもまるでアイドルの様に女性使用人達から絶大な人気を博しているが、特に強引に近づく人はいない。

なんでも、あまりにもかっこよすぎて皆が皆鑑賞するのみ!と暗黙の了解で決めているらしい。

そのため、アッシュさんがいる場所の近くでは、常に『はぁぁぁ〜ん♡』というピンク色のため息が聞こえるが、反対に男性使用人からは非常に怖がられていた。


何故かというと『よくキャラ性が掴めないから』。


主たる原因はコレで、大抵の行動のすべてが面倒くさそうにしている反面、ルーク様に対しては非常に熱くなる所もあって、手合わせの時など殺意満々でめちゃくちゃ怖い。

しかし、それが終わればルーク様に『コレ何?』『なんでこれはこうなるの?』などなど質問しながらカルガモの赤ちゃんの様について回る姿や、セレンさんにわざと意地を突いて笑う姿は、まるで小さい子供の様に見える。

そんな所も、異性から見れば堪らない魅力だというが……なんだかその一貫しないキャラ性が、同性からみると気味が悪い。

だなら同性と異性で、180度違う印象がある人だった。


僕?僕としてはルーク様が側に置くと決めたならきっと、悪い人ではないと思っているけど……僕が片思いしている侍女がアッシュさんにきゃーきゃー言っているのを見て、増悪の対象にはなっているね!


ムッ!としながら憎しみがはみ出た視線をアッシュさんに向けていると、イナゴ・スライダーが馬車から飛び出た三人を見つけてしまった様で、捕食者モード全開の目を光らせた。


《ガガガガガガッ!!!》


イナゴ・スライダーは大きな咆哮をあげながら、羽を広げてコチラへと飛んで向かってきたが、三人はとっても冷静で……ルーク様とアッシュさんがセレンさんを指差す。


「じゃ、セレン1番。」


「俺、二番ね。」


「とりあえず1人分サイズで……。」


ルーク様が親指を立てると、アッシュさんはピースサインで自分の順番を伝え、それに頷いたセレンさんがレイピアに手を伸ばし構えた。


そして────……。


────────…………トッ!


セレンさんは頭上にまで飛んできたイナゴ・スライダーに向かい、重力を感じさせない動きで大きく飛び上がると、レイピアを一瞬抜いて一瞬で戻す。

本当に一瞬だったので、目の前まで迫った牙がセレンさんの頭に突き刺さりそうになった瞬間「危な────い!!」と叫んでしまった────が……。



────ポロッ…………。



………………ポロ……ポロポロポロ〜!!!



なんとイナゴ・スライダーは、あっという間にバラバラになってしまい、ちょうどサッカーポールくらいの大きさの肉塊に姿を変える。


「え…………えぇぇぇぇぇっ!!??」


目玉をポーン!と飛ばす僕の前で、次に飛び上がったのはアッシュさんだ。


「こんがりミディアムかな。俺はウェルダンが好きだけど。」


アッシュさんの足が赤い炎に包まれ、堕ちてくる肉塊達に向かってその足を横に振ると、肉塊達は巨大な炎のトルネードに包まれこんがり焼きに。


「────っ??!!」


香ばしい匂いが漂う中、雨の様に降り注ぐこんがりお肉の塊の塊達を呆然と見上げる。


……あれ?もしかして、この肉の塊達、落ちてくるんじゃ?

結構な大きさの肉の塊……アレが落ちてきたら馬車が破壊される!


直ぐに回避行動に移ろうとしたのだが、なんと一瞬でその肉は消えてしまったのだ。


「……えっ?あ、あれ…………??」


まるで幻でも見ているのかと思ったくらい一瞬で消えてしまったので、『夢だった?』と思った瞬間、馬車の屋根の上に巨大な肉塊の山ができている事に気づく。


「よし、回収完了!食べようぜ〜!」


なんとルーク様が肉塊を一つ手に取り、笑っていて……恐らくさっきの一瞬であんなに沢山あった肉塊をすべて集めて馬車の上に乗せたらしかった。


やっぱりルーク様はダントツで普通じゃない!

外見は1番普通なのにぃ〜!


そのままブルブル震えていると、ルーク様は手に持っている肉塊を僕の方へポンッと投げてよこしてきた。

慌ててそれをキャッチすると、新しいもう一個を手に取り、ニカッと笑う。


「まだ道のりは長いから気楽に行こう。目的地までよろしくな。」


「は、はいっ!!」


普通じゃなくていい!

ルーク様万歳!


美味しそうなお肉の塊を貰った事、信頼して馬車を任せてもらえる事、それがうれしくて目を輝かせた。


僕は頑張る!これからもルーク様の元で!


そう誓い、僕は両手一杯の大きさもある肉塊に齧りつき……恐ろしいはずのイナゴ・スライダー=美味しいご飯というイメージができてしまったのを感じた。



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