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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第三章 出会いと共に
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第27話 干渉する力

カガミの秘密に大きく迫る回です。

しかし、まだ謎も残されています。


干渉する力


どうぞ。

『——ほらカガミさん。早く早く』


 ある朝、俺はマリラに連れられるまま、ギルバディアの空を飛び進んでいた。

 彼女曰く、この国には週に二日、兵士や魔法使いが体を休める日が存在するらしい。


(——こっちの世界にも、休日なんてものがあるんだな。それより、ルミナは元気にやっているのか?)


 寮への出入りを止められていた俺は、ふとルミナの顔を思い出す。


『ええ、もうバッチリよ——歪みあって子もいたけど、今は仲良くやっているわ』


(ニーテの事か——それならよかった)


 彼女の心の傷が、また痛んでるのではないかと懸念していたが、嬉しそうにするマリラを見て安心した。

 そして、ある事を確かめたかった俺は、さらに先を急ぐ。


* * *


 ——談笑するマリラと共にやってきたのは、魔法使い達を育てる施設、魔導院。

 その学舎の扉の前に着いた俺は、いよいよかと胸を高鳴らせる。


(やっと、ここまで来たか……おそらくは——こっちだな)


 ()()の気配を確認した俺は、一呼吸を置いて——その壁を、ゆっくりとすり抜けた。


 ——そこには、いつもの杖を立てかけて、山積みになった書物の前に腰掛ける、ヨヨの姿。


「——おやぁ?」


 俺とマリラが部屋に入るなり、彼女は開いていた魔導書をそっと閉じ、小さく呟いた。


「ようやく来たね……アリステラ」


 振り返った彼女の瞳には——マナの光が映る。

 やはり、このヨヨという人物は——俺の存在を理解し視認できていた。


(……数日振りだな)


 女神族と、密接な関係にあったヨヨ。

 この世の魔法をよく知り、アリステラの師であった彼女こそ、転生者の秘密に最も近いと俺は踏んでいた。

 

(また、会いたかったよ——ヨヨでいいかな?)


「ひっひ……()()()()()で構わないさ。私も——アリステラと呼ばせてもらうよ」


(……ああ)


 ……未だに違和感のある呼び名だが、彼女にとってはそれがしっくりくるらしい。


(——俺から、聞いてもいいかな?)


 開口一番、早速疑問をぶつけようとした俺に——ヨヨは優しく頷いてくれた。


(なぜ俺の事を、アリステラと呼ぶんだ? それに、この世界における“転生者”って、一体何なんだ?)


 それは、()()()()()を知り尽くしていると思っていた俺が、最も引っかかっていた事。

 さらに俺自身が、既に亡くなっていたアリステラだと誤認されている、謎の事実だった。


「それこそ、あんたの力じゃないか——“女神の力”を忘れたのかい?」


 女神の力——俺の知る物語ではこう使われていた。


(死者に生命を与え、蘇らせる転生魔法——。俺には、そのぐらいしか……)


 答えることができなかった俺に、彼女は少し困惑の色を見せる。


「……それを知ってるなら、もうわかるはずだよ。転生魔法——他への“干渉”を許された女神の一族が持つ、力の一つさ」


 ヨヨが言うには、俺の求めていた答えにはもう辿り着いているらしい。

 しかし、彼女の発した言葉の中には、俺の知らないものがあった。


(他への干渉——それだ……それについて、俺に教えてくれ)


 おそらく、俺が今知るべき力の正体。

 これこそが、この存在の鍵になっていると、俺は()で直観する。

 そして、その疑問に対し——何故か残念そうに顔を顰めたヨヨは、徐に口を動かした。


「——この世における人間が持つ生命“エギル”。魔法の源である“マナ”。女神の一族は、これらの二つを肌で感じ取り、自由に触れ、扱う事ができる。まさに、奇跡の力と言えるね」


 その力は、どれも心当たりのあるものばかりであった。

 ここにきてようやく、女神の力の一部を知った俺は、自分がアリステラと誤認される事に、少しだけ納得がいった。


『ヨヨ婆様が言った力……それって、全部カガミさんの——』


 隣にいたマリラも、抱いていた謎を徐々に確信に変えていく。

 今まで日常的に使っていた——人の気配を察知する力や、死者の魂をこの世に留める力。

 彼女も見てきたこの力の正体こそ——干渉の力だったのだ。

 

(ありがとう……ようやく理解できたよ。俺が転生者(アリステラ)と呼ばれる訳が。つまり——)


「そう——転生者っていうのは、自分の魂のみをこの世に残した者の名前さ。“転生魔法”を使ってね……」


 声をかすかに震わせながら、こちらを指差すヨヨ——。

 

 ——この瞬間、俺は頭の中の点と点が、やっと一つに繋がった。

 きっと女神の力を恐れていた皇帝も、何らかの方法で転生者の存在を知ったのだろう。だからあの時、奴は俺の存在に気がついたんだ。


 そして俺は——ヨヨに、ある真実を伝え始める。


(ヨヨ……がっかりさせるかもしれないけど、聞いて欲しい——)


 彼女は涙を滲ませて頷いていた。

 きっと、俺が何を言おうとしているのか、察していたのだろう。


 この点だけは、俺が転生者と呼ばれる事にどうしても繋がらなかった。

 それは——。


(俺は、アリステラなんかじゃない。俺の名は——白銀鏡(しろがねかがみ)と言うんだ)


 ——今こうして話している俺は、間違いなくアリステラのものではない。

 白銀鏡……俺自身だ。


 気の毒だとは思ったが、俺はヨヨが求めていた転生者の()()が、既にここにはない事を、彼女に伝えた。

ついに生きている人間に、その名を名乗るカガミでした。

彼は心のどこかで、ヨヨを信頼している……?

今後も彼女との出会いの中で、秘密が明かされていきます。


お次は金曜日!



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