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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第二章 目覚めと共に
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第11話 ギルバディア王国

今年の始まりと共に、新しい物語の始まりはこの国からお送りいたします。


ギルバディア王国


どうぞ。

 ——バルナの戦いの敗北により、仲間(マルク)を失った彼らに告げられる共闘の誘い。

 

 アバンのギルバディア軍入りの勧誘に、闘志を燃やすルキだったが、ルミナはまだ動けなかった。


「……少し考えさせて」


 首を縦に振らない彼女を見て、頭に血を上らせるルキ。


「——どうしてだよルミナ! やられっぱなしで……悔しくねーのかよ⁉︎」


 下を向く彼女に詰め寄るルキだったが、その怒れる肩をアバンが止めた。


「待て、これはルミナが決めることだ。——辛いことも、あっただろうからな……」


 強い力に抑えられ我に帰ったルキは、今の彼女の心中を察し、言葉を詰まらせる。

 

 ——しかし、愛する人を失い、心が闇に沈んでいたと思われたルミナだったが——彼女はハッキリと答えた。


「そうじゃないの! 少し、気になることがあって——」


 彼女の心には——何かが引っ掛かっていた。

 ()のことだけでは無い、前に進もうとする気持ちを抑止してしまう、他の何か……。


「なんだよ、それ……」


 ルミナの迷いが、いまいち理解できないルキ。

 これ以上は話が進まないと悟ったアバンは、部屋を後にしようと振り返った。


「——とにかく、今はゆっくり休め。また来る」


 腑に落ちない様子のルキも、彼に続き自分の部屋へと戻っていく。


『ルミナさん……』


『——ラキ。私たちも、カガミさんのところに戻りましょう』


 二人の目覚めの結末を見届けたマリラは、彼女の心配をするラキを連れて、カガミの元へと戻るのだった——。


* * *

 

 ——何気なく街を進む三人、やがて辺りは暗くなり、人の気配はなくなっていく。


『夜の噴水広場も、綺麗ですね!』


『ええ。私も、あまり外を出歩かなかったから——新鮮』


 俺は、噴水のそばに腰掛けるマリラと、その周りを子供のように飛び舞うラキを、ただ眺めていた。


 ——すると、いつまでも黙っていた俺を、呆れるような表情で覗き込むラキ。


『カガミさぁん……いつまでウジウジしてるんですか』


 ルミナに言われた痛烈な言葉が、いつまでも耳に残っていた俺は、ここに来るまでほとんど口を閉じていた。


『カガミさん。さっき言った通り、ルミナさんの事なら大丈夫よ。——ヨヨ婆様って人が、来てくれたから』


(“ヨヨ婆”が? あそこに来たのか……)


 俺は、この世界の要人である彼女の名を聞いて、少しだけ安堵を覚えた。


『カガミさんも——知っているのね?』


(もちろん知っている。物語の中でも、大活躍する人物だからな)


 俺とマリラだけで盛り上がっていると、置き去りにされていたラキが、声を荒げた。


『もう! ヨヨ婆様って誰なんですか? 私にも、教えてくださいよ!』


(あ、ああ。そうだな——)


 ——俺は少し落ち着き、皆の状況を整理することにした。

 

 まず、ルキは以前出会った少女、ナナとの再会も経て立ち直り、ギルバディア軍に入隊することになった。


 次にルミナは、ヨヨ婆の言葉で少し落ち着くが、何故か軍入りは決めあぐねているらしい。


 そして、このヨヨという人物こそが、ルミナの母にして、女王であったアリステラの師匠であり、マリラが生前お世話になった魔法使いのお医者様である。


『それにしても驚きだわ。ルミナさんが、行方不明の女神様、アリシア姫だったなんて——』


 ルミナの秘密を隠していた俺を、ジッと優しく睨むマリラ。


(すまない。人混みの中、あまりペラペラと喋るわけにはいかなかったんだ)


 彼女の状況をよく知るラキは、心配そうに俯いた。


『ルミナさん大丈夫でしょうか。大好きだったマルクさんと、会えなくなっちゃって……』


 ルミナのことを思うと、いたたまれない気持ちになってしまう俺とラキだったが。

 マリラはただ一人、この先の展開を促した。


『今は傷が癒えるまで待つしかないわね。それよりカガミさん——次はどんな物語が始まるのかしら』


(そのうち、バルナ王国で戦っていたレオンが、帰ってくると思うよ。それまで待つことにしよう——)


 ——こうして俺達は、傷ついたレオンが帰ってくるであろう。王宮の近くにある兵舎にて待つことにした。


 * * *


 一日、二日と経ったが、レオン帰還の報告は未だなく、退屈していた俺たちは、兵舎の近くにある訓練場に顔を出していた。


『——おお、バルナでの訓練も迫力がありましたが、ギルバディアの皆さんは、もっとすごい熱気ですね!』


 剣のぶつかる音が無数に飛び交う中、訓練場の脇からそれを眺めていたラキは目を輝かせる。


『もちろん。——ギルバディアは、大陸一の軍事国家と言われているからね』


 俺が説明するよりも先に、マリラの合いの手が入り、彼女は指を立てそのまま続けた。


『それから、この国の兵隊さん達は——主に三つの部隊に配属されているわ。それぞれの隊を、“隊長”と“副隊長”の二人が率いてて、私の友達のレオンは、その隊長の一人なのよ』


 誇らしげに話すマリラの説明を、コクリコクリと聞いていたラキは、やがて俺の方へと目を向けた。


『マリラさんがいれば、カガミさんの役目は、なくなっちゃいますね……』


(うぅ……)


 傷心中に解説役まで奪われようとしていた俺には、中々効く言葉だった。


 ——すると、ふと視線を流した先に何かを見つけたマリラは、細めていた目を大きく見開く。

 

『——あっ! あれ⁉︎』


『……あの方は! 確か、マリラさんの——』


 ラキの記憶にも新しいその人物は、早歩きで訓練場の中心へと向かってくる。


 ——釣り上がった青い瞳に、短く整えた薄い金色の髪。針のように鋭く細身の剣を腰に差したギルバディアの戦士。

 

「遅れてすみません——ジーン、到着致しました」


 何度も見た丁寧な会釈。マリラは親しい友との再会に涙を滲ませていた。

やってきたのはマリラの友人、ジーンでした。

次回は訓練場にて、その実力が明らかに……。


お次は金曜日!

お待ちしております。

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