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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
【第二部】 第一章 癒しと共に
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第3話 笑顔にあてられて

暗い前回と違って楽しい楽しい回になります!

ラキちゃん全開でお送りします。


笑顔にあてられて


どうぞ。

『もうっ! ——限界です!』

 

 重苦しい空気に痺れを切らしたラキが、マリラの手を握る。

 

『マリラさん……でしたよね⁉︎ さあ、行きますよ!』

 

(お、おい! 一体どこに?)


 俺は、ラキに引っ張られるがままに飛んでいくマリラの背中を追って行った。


 

 ——やってきたのは街のとある大通り。そこには、ラキが目星をつけておいた出店の数々が並び立っていた。


『ここは……?』


 体が弱く今までほとんど外に出ることのなかったマリラにとっては、人が賑わう街はまるで別世界。


『いたいた! あそこです!』


 ラキが指差した方向には、大きな噴水広場に腰掛け、冷たい氷菓子を食べる子供達の姿があった。


『……綺麗』


 優しく吹き出す水景色、無邪気にお菓子を頬張る子供の姿、微笑ましいその光景にマリラの表情は少しずつ綻んでいた。


 すると、ラキは突然——。


『こんな事も、できるんですよ!』


 吸い込まれるように、子供の中に入っていった。


『消えた……?』

 

(何やってんだぁ⁉︎)


 ラキの奇行に驚いた俺は、すぐに彼女のエギルを剥がそうとするが、その子供はその場を離れこちらを振り返る。


「えへへ、私たちは魂だけになっても、こうやって生きた人間に憑依できるんですよー!」


 マリラは理解した。お菓子を食べながらこちらに話しかける子供の中には今、ラキがいる事を。

 

『こんなことが……』

 

 死んだ身でありながら、生きた人間への干渉を許す不思議な光景に目を輝かせているマリラ。

 俺はすぐに、ラキの魂を引っ張り出すべく、その子供を追いかける。


(早く出てこい、人様の体だぞ!)


「いいじゃないですか少しくらい! もがが——」


 お菓子を頬張りながら逃げる子供を追いかけるが、その小さな足がもつれた。


『危ない——!』


 マリラが叫ぶが、その子供は腕をついて転けてしまった。

 俺はすぐに、ラキを子供から引っ張り出すが、その子の肘からは血が流れ出している。

 

(ああ……お前のせいだぞ!)


『痛たた、走るのはやっぱり慣れませんね——』


 子供の怪我に慌てふためく二人だったが、突然の腕の痛みを確認したその子も、とうとう泣き出してしまった。


「わぁぁぁー‼︎」


 悲痛な叫びと共に辺りはざわつき、噴水広場には次々と人が集まっていく。


(どうすんだよ、これ……)


『そんなぁ。ど、どうしましょう——』


 ——二人が頭を抱えていると、マリラがその間を抜けゆっくりと子供の方へ向かっていった。


『……大丈夫よ』


 彼女はそっとつぶやき、その子供の腕に優しく手を添える。

 すると——マリラの掌からは、なんと緑色の光が溢れ出した。


(あ、あれは⁉︎)


『マナ……でしょうか?』


 二人が目にしたのは、紛れもなく“マナ”の光だった。

 やがて、その緑色の光は傷口を包み込み、みるみるうちに出血は止まり、傷口も塞がっていった。


「あれ……?」


 腕の痛みが突然なくなった事を不思議に思った子供だったが。すぐに元気を取り戻しその場をかけて行った——。


『今のって、ルミナさんの⁉︎』


 俺もラキも、その現象に見覚えがあった。掌からマナを発生させ、触れた者の傷を治す癒しの力。

 かつて、魔法使い“ルミナ”が使用していた治癒魔法だ。


(驚いた……こんな力が、あったなんて)


 駆け出す子供姿を見送り微笑むマリラ、その後ろから歓喜の声が上がった。


『すごいですマリラさん! あんな事ができるなんて!』


『ええ、このぐらいだったら——』


 するとマリラは、少し切なげな表情で語り出す。


『いつか、戦いから帰ってきた友達を癒してあげようと思って、練習していたの。でも、まさかこんなところで——』


 掌から溢れ出すマナの光を、不思議そうに見つめるマリラ。

 輝きを取り戻したその瞳で、彼女はラキへと微笑みかける。


『ありがとう。……ラキさんのおかげで、元気が出たわ』


 真っ暗に沈んでいたはずのマリラの顔に、一縷の笑顔が蘇る。それを見て胸を撫で下ろしたラキは、嬉しそうに返した。


『ラキでいいですよ! 多分、マリラさんの方がお姉さんなので——』

 

 ——今回ばかりはラキにやられたな。

 彼女は自分なりに、マリラを勇気づけたかったのだろう。

 肩を落とし、落ち込んでいる人を放っておけない。

 彼女はそういう子だ。


『——それにしても、あのお菓子とっても美味しかったですよ!』


『本当? 私も、食べたいわ——』


 感心していた俺だったが、今にも子供みたいにはしゃぎ出しそうな二人に割って入った。


(——こらこら、変な遊びを教えるんじゃない)


 その言葉に口を尖らせるラキと、楽しそうに笑うマリラ。その笑顔には、先ほどまでの影が薄れていた。


 それを見た俺は、確信した。


 ——大丈夫だ。

 彼女はまだ、終わってなどいない。


 そう思った俺は、そっと言葉を選びながら口を開いた。


(マリラ——その力、この世界の為に役立ててみないか?)


 俺の問いかけと共に、彼女の瞳がかすかに揺れた。

やはりこういう空気をぶち壊すのはラキの笑顔が一番です。

メタ目線的にも彼女には助けられてます笑


お次は火曜日!

第一章 癒しと共に 完結いたしますm(_ _)m

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