第28話 それぞれの戦場
短いです!
やはり戦闘パートは難しい、切り方が難しい。
今後も短めになってくかもです!
それぞれの戦場
どうぞ。
騎士長の号令と共に、皇帝たちに襲い掛かろうとするバルナ兵だったが、帝国軍も負けてはいない。
すぐに剣を抜き数の力で対抗し、バルナ兵へと向かっていく。
『わわっ! ついに始まりましたね!』
人々は怒号と共に剣戟を交え、合戦を引き起こし、辺りはまさに戦場と化してしまった。
「はぁ——!」
右手には炎を、左手には氷塊を携え、強力な魔法で他を圧倒するルミナ。
「おお!」
「ルミナ殿!」
訓練所では見せなかったルミナの迫力に、頼もしさを覚えるバルナ兵だったが。
『ルミナさん危ない!』
ラキが指差した先には、ルミナの背中に剣を振り上げる帝国兵の姿。
戦場で目立っていた彼女は、格好の的にされてしまう。
そこに——。
「俺を忘れんなぁ!」
襲いかかる帝国兵を切り捨て、ルミナと背中合わせになるルキ。
「やるじゃない、ルキ」
「へへ、いくぜ!」
長い旅の中で、多人数の盗賊を相手にすることが多かった二人の動きには、素晴らしい連携が見て取れた。
『いいわよルキ! 二人とも、息ぴったりですね!』
(流石だな。他の皆も、何とか押してるみたいだ)
二人を初め、敵を圧倒していくバルナ兵。
俺は——次の行動に出た。
(ラキ! 次の作戦だ)
『そうでした! では——』
俺の掛け声と共に、ラキは王宮の外へと飛んでいく。一方俺は、天井に張り付き“あるもの”を探す——。
(いるはずだ……この混乱の裏に必ず。見逃すわけにはいかない)
——その下にはマールが一人、空からの刺客を相手にしていた。
「おっと……ふふふ」
しかし、シュダからはこれといった戦意が感じられず、マールの攻撃をいなしては距離をとってと、繰り返し動き回っていた。
「——くっ、何を企んでいる?」
「さぁ、なんでしょうねぇ? ふふ」
マールがシュダの動向を見張ってる中、ついに俺はあるものを見つけ出す。
(——あれだ!)
探していたのはある四人の魔法使い。俺はすぐに、二人の元へ飛んでいった。
(……やっぱりいた。黒装束の魔法使いが四人、場所は——)
その居場所を二人に伝えると、ルキはすぐさま身を翻し、指定した方向へ駆け出していた。
「わかった! 俺はこっちだ!」
「ルキ! もう、無茶しないでよね!」
(ルミナもな。無事でいてくれ——)
ルミナは頷き、ルキとは反対の方からその場所を目指し進んでいく。
頼んだぞ……無茶でもなんでも、次の作戦を遂行できるのは、二人しかいないからな。
——一方玉座の周りでは。
音もない光が、彼らの喉元を通り過ぎる。
「なに……⁉︎」
「うぐっ!」
その姿に振り返る暇もなく、帝国兵たちが崩れ落ちていく。
「手ぇ出すな! お前らじゃ手も足も出ねえ!」
その原因に、四天王ガンツだけは気づいていた。
光速剣——もはや並の人間では、マルクの動きを捉えることなどできなかった。
「へっ! 安心しな。相手すんのは、俺だけだ!」
——振り向くと同時に、その丸太の様な太い腕に違わぬ一振りをマルクに放つ。
「重い……只者ではないな」
襲いくる剛剣を、巧みな技でいなしていくマルク。
「嬉しいぜっ! お前と戦えるなんてなぁ!」
剛剣、ガンツ——乱戦が起きている中、この男だけは、目の前の男との戦いを純粋に楽しんでいた。
すると彼は、ある言葉を口走る。
「同じアリヴェル出身として、決着をつけようぜ!」
「なに⁉︎」
同郷であり、マルクに妙な執着心を持つ彼に疑問がよぎるが、それを飲み込む暇などなかった。
「……ククク」
——余裕の表情で王の間の乱戦を楽しんでいる皇帝の元に、一つの剣が襲いかかる。
「皇帝様!」
身を挺して皇帝を守った帝国兵に、国王の一撃が見舞われ力無く倒れゆく。
衰えてはいても、そこらの帝国兵など全く相手にならない。百戦錬磨の国王の剣は、いまだ健在だった。
「ほう——見事ですな、国王殿」
一方で、目の前で部下の死を目の当たりにしてもなお、全く笑みを崩さない皇帝。
「次は貴様だ、皇帝。この老いぼれを侮ったこと、後悔させてやろう」
血も涙もない男に剣を向け、怒りをあらわにするバルナ国王。
「そう慌てなさるな国王殿。——舞台は、まだ整っていないのだよ」
国王の怒りですら崩せない皇帝の不気味な笑みが、これから始まろうとする恐怖を物語っている様だった。
開戦しました!
そしてガンツの正体とは……?
お次は金曜日〜




