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天声だだ漏れ転生〜女神の温もりと共に〜  作者: 白銀鏡
第二章 決意と共に
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第25話 静かなる前夜

第二章 決意と共に

完結でございます!

ここまで読んでくれて本当にありがとうございます!

明日、泣いても笑っても全てが終わってしまいます。


静かなる前夜


どうぞm(_ _)m

 対帝国軍として、皇帝暗殺計画に向け準備を進めていくバルナ王国軍。


 ——とある日、宿屋の一室にて。

 マルク、ルミナ、ルキの三人に、俺は創造主でしか知り得ない情報を共有していた。


「……それ、本当なのかよ?」


(俺が知ってる物語では、間違いない……)


 同盟の儀での帝国の動きを、大まかに説明し疑いの目を向けられるが、マルクは。


「これが本当なら、こんなに心強い情報はないな」


『カガミさんってば詳しいんですね! ここまで知っているのなら楽勝ですよ!』


 マルクとラキはすぐにこの情報に飛びついた。

 

 ……全く、悪い気はしないが少しは疑えよ。


「——でも、お母様の事もあったし……あなたの描いた物語通りになるとは限らないでしょう?」


 疑うそぶりを見せないマルクに対しルミナは、冷静に意見する。


 さすがルミナ、その通りだ。

 俺の物語は、この世界とかなり類似はしているが決定的に違う点も存在している。


 つまり……。


(俺の情報は、あくまで参考程度に考えてほしい)


 帝国軍は俺が思っている通りに襲ってくるとは限らない。

 当日は、帝国の内部情報を軸に作戦を動かしながら、状況に応じて三人に細かい指示を出していくつもりだ。


「だが全面戦争になる前に、僕が皇帝を仕留めてみせる」


(確かに、それが一番手っ取り早く終わらせる方法だな)


 実は俺が考えている作戦は、マルクが皇帝暗殺に失敗した後、王宮内が戦場になった時のものだ。

 マルクが言うように、初めの皇帝暗殺を成功する事が最も理想的だ。


「……無茶は、しないでねマルク」


 大丈夫だ、ルミナ。

 この計画には俺もついているし、今の三人の絆には本来の物語以上のものを感じる。


 ずっと心配性だった俺も、もうすっかりこの計画の成功を信じきっていた。



 ——それから数日が経ち、

 バルナ国王をはじめとした対帝国軍と、それに参列するマルクたち。

 暗殺計画の決行日は着々とせまり、ついにその日に差し掛かろうとした前夜。三人は一緒に食事をとっていた。

 久しぶりに三人で囲む食卓には、穏やかな笑い声と、どこか懐かしいぬくもりが満ちていた。


(……行こう)


 それを見ていた俺はラキを連れ、マルクたちがいる宿屋の一室から離れ、窓の外へと移動し星空を眺めていた。


『おや? 今日は皆さんの元には行かないのですか?』


(決戦前夜だ。そんな野暮な事はしないさ……)


 そう、明日には全てが終わってしまう。

 作戦が成功すれば、この世界を救えるかもしれないし、失敗すればもしかしたらこれが最後の晩餐になってしまうかもしれない。


(向こうは向こう、こっちは死人同士草葉の陰で、見守っていよう……)


 こうしてる間にも、三人の間には楽しげな会話が弾んでいた。


「聞いてよマルク、ルキったら訓練場で——」


「うるせーな! 余計なお世話だよ!」


 そんなやり取りに、ふと口元を緩めるマルク。


(……)


 その光景を横目で見る俺にラキは言った。


『カガミさん。本当は寂しいんじゃないんですか?』


(……寂しくないと言ったら、嘘になるな)


 嘘を見抜くラキに対し、俺は本音で話していた。

 ……するとラキは、言葉を繋いだ。


『カガミさんには、私がいますからね!』


(わかってるよ。じゃあ、おやすみ……)


 明日の計画に備え、俺はラキを早めに休ませた。


 ありがとうな、ラキ。

 お前がいてくれたおかげで俺は、寂しい思いをせずに済んだ。


 ラキに声が漏れていたら照れ臭いから、俺はラキを引っ込めマルクを見守ることに。


 ——三人の楽しいひとときが続く中、マルクの口からある言葉がポツリと溢れた。


「……二人とも、絶対に死なないでくれ」


 その言葉に、空気がふわりと揺れる。


 それは、かつて心を閉ざしていた青年が初めて見せた、素直な願いだった。


「当たり前だろ。俺はマルクを超えるまで死なないぜ」


 ルキは、笑って拳を握る。


「私も……アリヴェルの復興に全力を注ぐ……そしていつか、マルクと……」


 マルクはその続きを、言葉にされずとも感じ取っていた。


 ——二人の視線が重なった。

 炎に照らされたルミナの瞳の奥に、確かに自分が映っていた。

 そのまなざしが、胸を締めつけるように熱い。


「……ルミナ」


 マルクが、微かに微笑む。

 その表情はどこか柔らかく、今までの彼からは想像もつかないほど穏やかだった。


 ルミナの方は、頬をほんのりと染め、視線を逸らさずマルクを見つめる。

 言葉ではなく、ただ静かに手を伸ばし……そっとマルクの手に触れる。


 それに応えるように、マルクもその手を握り返す。

 互いの温もりが、たしかな絆として手のひらから流れ込んでくる。

 言葉はいらなかった。ただ、この瞬間、二人の想いは通じ合っていた。


「マルク……」


 ルミナが小さく名を呼んだ——その時だった。


「おいおいおい、こういうのは全部終わってからにしろよな!」


 突如、茶々を入れる声が横から飛んできた。


 ルキだった。


 ——あらら、人の恋路を邪魔しちゃって……。


「……ほんと、子供って空気読まないんだから」


 ルミナは一人でむくれ、ぼやいている。


 ルキめ、ルミナが怒るのも当然だ。

 ……でも大丈夫だよ、ルミナ。

 二人の幸せは、俺がきっと作ってやるからな。


 ——束の間の平穏に、確かに心を満たす三人を、俺は静かに見守っていた。

皆の決意は、果たして花開くのでしょうか……。

次回はだだ転シリーズ第一部、最終章になります!


第三章 決意と共に


帝国軍との決着、戦闘パートです。

ラストスパートまでお付き合いいただければ幸いでございますm(_ _)m

白銀鏡でした〜

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どうなっちゃうんでしょう…?拙者心配過ぎて煙草が進む侍…
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