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プロローグ

第0話です。

この物語はフィクションであり、実際の人物とは関係ありません。


 俺の名は白銀鏡シロガネカガミ、小説家だ。

 王道ファンタジー小説、ロードオブキングスの著者である。


 ロードオブキングスとは王国騎士である主人公マルクが、ヒロインである女神族ルミナと共に旅をし、大陸に平和をもたらす王道ファンタジーであり、仲間との出会いと別れを通じた友情、恋愛といった誰もが引き込まれる胸熱ストーリーである。


 今やこの作品は第二シリーズの著作が発表され、アニメ化、グッズ販売などと飛ぶ鳥も落とす勢いで人気爆上がり中で、作者の白銀鏡は、街を歩けば誰もが振り向くほどの知名度を持った超有名小説家となる。

 はずだった。


 ——しかし現実は、PVは三桁にも満たない始末、大金をはたいて思い切って自費出版に踏み出したが、全然売れずに6畳一間のボロアパートの隅に山積みとなってしまった。

 おかげで今はうだつの上がらないアルバイト生活に安酒をあおるだけの毎日。

 第二シリーズなど夢のまた夢だった。

 ……こんなはずではなかった。

 税金は日々増すばかりで物価は高騰。俺の努力の結晶である作品も誰にも理解されない。


 付き合っていた彼女もとうとう愛想をつかしついさっき俺の元を去っていった。

 何もかもを忘れるために酒を煽り、ついに酒がつきる。

 そして俺はなけなしの財布を持って酒を買いに出た。


 帰り道——。

 金も希望のすっからかんの抜け殻状態で千鳥足になりながらも俺はさらに酒を流し込んだ。

 どこで間違ったのだろうか?

 幼少期から普通の家庭に生まれ、普通の大学に進学し、普通の会社に就職。

 だが、このまま普通の結末を迎えることにどこか嫌気がさして思い切って小説家になることを決意した。


 こんな普通の俺でも、感動した物語はいくつもあった。それらの物語はどのようにして心に響き感動を生み出すのか、その仕組みを日々分析していくうちに俺にも人を感動させる物語を書けると確信し、この決意に至った。


 だが現実は、普通以下の結末まっしぐらだ。

 諦めるな?いつか夢は叶う?

 笑わせる……。


 ピーポーピーポー


 救急車か、どこかでひとつの結末を迎えようとしている人間でもいるのだろうか。


 ——気がつけば、目の前にそびえ立つコンクリートの壁。




 ああ、そうか。

 結末を迎えたのは、俺だったのか……。




 うすれゆく意識の中で自分は救急車の中で揺られていることに気づいた。

 救急隊員の二人が何かを話しているのが聞こえたが俺はすぐに理解できた。


 ——急性アルコール中毒……。


 おそらく俺は助からないんだろうな。


 頭の中で色んな記憶が駆け巡る。

 家族の顔、学生時代の友人、付き合っていた彼女、様々な思い出が鮮明に蘇る。


 ああ、これが走馬灯ってやつか。

 本当にあるんだな。


 何もかも忘れたくて大酒を煽ったのに、何もかもを思い出してしまうなんて結末までこうも残酷に終わってしまうのか。


 俺はただ何者かになりたかった。

 しかし、何者にもなれなかった。

 もう死に際のセリフを吐く気力もなくできる事は何か心で念じる事だけだった。


(母さん……ごめん)

当の本人は、本当に楽しく執筆させていただいてますので今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m

明日同じ時間に、記念すべき第1話を投稿いたしますので、どうかそちらもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
意識混濁しているもやもや感がうまいと思いました。
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