綾乃×真夕:登校
練習作品です
・三人称の練習
・繊細な描写の練習
・おかしなところがありましたら、コメントを下さい
秋の木枯らしの吹く寒々しい朝。イチョウの葉が鮮やかな黄色に色づいている。呼吸をするたびに肺の中が冷え込んでいく。寒さで身を縮こまらせながら学校に向かい歩いていると、登校している小学生たちが大声で話をしながら走り回る。「朝から元気がいいですわね。若いですわ」などと二条綾乃は思いつつあるが、実際の所、まだ高校生の綾乃も若い部類に入る。綾乃は自分の小学生の頃を懐かしく思いながら見つめる。
すると後ろから肩をポンと叩かれた。驚きその手を置かれた方向に振り返ると、そこには学級委員長である、有森真夕の姿があった。真夕が挨拶してきた。
「二条さん、おはようございます」
「おはようございます」
「二条さん、今回の中間テストも一位だったですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
そして、有森真夕は眼鏡をくいっと上げて、強気で宣戦布告をしてきた。
綾乃が一位で、有森真夕は二位であった。たまに逆になることはあるけれども、綾乃がほぼ一位の座を獲得している。
「今度は負けませんから」
「期末試験も一位を取らせて頂きますわ。有森さん」
そう言うと綾乃はにっこりと微笑む。
二人はライバルでありながら、仲は良い。綾乃は普段一人でいることが多いのだが、有森真夕が学級委員長の為、会話をする機会は一番多いであろう。
綾乃は学校指定のピーコートの襟をグイっと正し、会話をしながら歩いて行く。寒さのせいで無意識にお互いより添って歩く。
「今日は風が強くて寒いですね」
「そうですわね」
歩いていると、後ろから誰か二人ほどが追い越して行った。その二人に目をやると、クラスメイトの鷹野花鈴と伏見佳那子であった。二人は大声で騒ぎながら、学校の方へと向かって行った。ため息を漏らしつつ呟く。
「あの二人はいつも元気ですわね」
「あはは、そうですね。まるで小学生みたい」
綾乃が内心で思っていたことを、有森真夕はズバッと言い放った。思わず心の中で笑ってしまう。
校門に辿り着くと、担任の女教師が、朝の見守りをしている。見守りというのは初めだけで、後半になると遅刻チェックになるのだが、それは綾乃達には無縁である。毎日のことなので当たり前のように挨拶をする。
「「おはようございます」」
「おはようございます。二人ともいつも仲いいわね」
微笑ましそうな表情を向けてきた。綾乃はその言葉を聞いて考えこむ。綾乃はいつも独りでいるけど、有森さんと仲がいいと言うことは友達と言えるのだろうか?
綾乃は努力をしない人間は好きではない。逆に努力をする人間には好感を持っている。普段あえて独りでいる綾乃ではあるが、別に友達が欲しくないわけではない。むしろ、気が合えば欲しいくらいであった。
綾乃は有森真夕に質問をしてみた。
「わ、わたくしと有森さんの関係ってなんですかね?」
綾乃は質問してから気恥ずかしくなった。そしてその質問の答えを聞くことが怖い気もした。
そんな綾乃の気持ちも知らずに、有森真夕は素直に答えた。
「ん~? 好敵手と書いて友ですかね?」
綾乃は『友』と言われたことに嬉しく思った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
新人賞に応募するためにクオリティを上げる練習なので、三人称の部分や、表現の部分で意見を頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。