小峠澄と交差点(なろラジ遅刻組)
暇してたので書きました。相変わらず綺麗に書けない
小峠澄が〇〇寺を訪れたのは、ひぐらしが鳴く夕暮れだった。
〇〇寺は〇〇村にある小さな〇〇宗系の寺だ。村唯一の寺で、村人からの信心により成り立っている。
そんな村人の生活に寄り添った寺にも『とある伝承』があった。曰く、夕暮れに〇〇寺へ訪れてはならない。訪れたものは帰ることが出来なくなると。
小峠が夕暮れの〇〇寺へ到着した時、寺院は赤く染まっていた。カラスの群れが木々から飛び立ち、夕陽へ向かって飛んでいく。
小峠は何か嫌な予感を感じた。夕陽に当てられ木々の伸びる影が小峠を闇へ捉えようと手を伸ばしているように見えたからだった。
「さあ、帰ろう」
口を真一文字に引き結んだ小峠は寺院に背を向け、階段を降り、〇〇寺の敷地を出た。
〇〇村までの道のりは日が暮れる程に見えづらくなる。小峠は轍に足を取られないよう進んでいった。
急いで歩いていると交差点に出た。
どこから見ても、よくある十字の交差点。
小峠にとっては、よくない十字の交差点であった。
小峠が〇〇寺までの道のりを歩いた時には、交差点など存在しなかったからだった。
どちらへ進むべきだろうか? 小峠は唇を噛んだ。一般的に考えて小峠が来た道を除いて行ける道は3本。この中で正解は一本のみ。間違った選択肢をすれば帰って来られないのだろう。
チラチラ。小峠が考えていると右手側から明かりのような物が近づいてくるのが見えた。
しめた。誰かが来たようだ。小峠は手でメガホンを作り、明かりの主を呼ぼうと声を出そうとした。その時だった。
リン。と小さい鈴の音が聞こえた。左側の道の奥から聞いたことのあるような鈴の音が断続的に続いていた。
小峠は手を下ろすと鈴の音のなる方へ歩き出した。鈴の音は小峠の前方から聞こえ続ける。離れるわけでもなく、近付くわけでもない。一定の距離感を保ってその音は聞こえ続けていた。
まるで目に見えない何かが鈴を鳴らしながら道案内をしているようだと小峠は思った。
しばらく歩くと〇〇村の明かりが見え始めた。
鈴の音は小峠が〇〇村へ入るまでなり続け、気付いた時には聞こえなくなっていた。
小峠は時々あの交差点を思い出す。『あの交差点は何だったのだろうか?』も思うことではあるが、『あの鈴の音はどこで聞いたのだろうか?』と考えが止まらなくなるのだった。