消えたい歌手 桐坂玲衣の場合
消えたい歌手 桐坂玲衣の場合
玲衣「消えたい。」
玲衣「もう疲れた。」
玲衣「今すぐにでも消え去りたい。」
玲衣「私は本当に駄目だな。」
彼女の名前は桐坂玲衣職業は歌手。
現在最も若者に人気の歌手の1人である。
しかし、彼女は今歌を歌えなくなってしまい、休養中である。
歌番組の生放送中に歌を歌おうとした瞬間目眩がしてその場に倒れてしまったのだ。
その後、病院に運ばれ休養が必要だと医者に言われ現在に至る。
原因は過度なストレスや疲労。
彼女はソロシンガーになる前にバンドを組んでいたが、色々あり解散してしまった。
それ以降、彼女は今まで以上に仕事量を増やしほとんど休まずに働いた結果倒れてしまったのだ。
玲衣「私にはもう歌しかないのに、歌も歌えなくなったらもう私なんて存在価値ないじゃん。」
玲衣「これからは一人で頑張らなくちゃって思ってたのに。やっぱり私は一人じゃ何も出来ない。」
玲衣「もう消えたい。」
その時、玲衣のスマホに一件のメールが届く。
はじめまして!
このメールが届いたということは、あなたは自分の人生に不満をお持ちではありませんか?
この世は生まれながらにして裕福な家庭に育った方もいれば貧しい家庭に生まれた方もいる。
このままの人生でいいんだろうか。
今の人生に不満をお持ちなら他の人と人生を交換してみませんか?
今よりもいい人生が待っているかも
詳しくはこちらのURLからアプリをダウンロードしてみて下さい。
このメールは2日後に自動的に消えます。
玲衣「人生交換アプリ?そう言えば、前に誰かが話してるのを聞いたことがある。まさか、本当にあるなんて。それとも、新手の迷惑メールかしら?」
玲衣は怪しく思ったが自暴自棄だったこともありアプリをダウンロードしてみた。
アプリを開くと会員登録画面が表示された。
名前、都道府県、年齢等の個人情報を入力したら、画面がホーム画面に切り替わり人生交換アプリの使用方法のガイダンスが始まった。
人生交換アプリをご利用ありがとうございます。
人生交換アプリの使用方法をご説明させてもらいます。
こちらのアプリを使用されているお客様の中からあなたが人生を交換してみたい人をこちらで厳選して表示させてもらいます。
その中から選んで申請を出して承諾してもらうか、逆に申請が来たものに承諾するかで第一ステップが完了になります。
人生を交換できる条件は基本的には同じ年齢であることだけです。
性別が違っていても可能ですし、外国の方とでも可能です。
第一ステップが完了後に仮契約を交わす手続きを行います。
詳細は仮契約を交わす時にご説明させてもらいます。
最後にこのアプリのことは他言無用でお願いします。
それでは良い出合いがありますように。
マイページを開き利用者をキーワードで検索できるみたいなので玲衣は余命宣告で検索した。
すると、何人か表示された。
その中から一人の女の子に惹かれ玲衣は無意識に申請ボタンを押した。
玲衣「あれ?申請ボタン押しちゃった。まぁいいか。もうどうでも。」
次の日
玲衣のスマホに一件の通知が来ていた。
玲衣「人生交換アプリから通知が来てる。」
この度は人生交換アプリをご利用頂きありがとうございます。
桐坂様が申請された相手から承認されましたので
、次に仮契約に移りたいと思います。
仮契約の詳細につきましてはコチラのURLをクリックしてください。
玲衣はURLをクリックした。
すると、目の前が真っ暗になった。
次に目を開けるとさっきまで居た自分の部屋ではなく知らない部屋に居た。
目の前にはテーブルがあり椅子に座っていて向かいには女の子が座っていた。
灯「えっ。桐坂玲衣ちゃん!嘘!あの、私ファンです!strawberry candy の時から大好きです!えっと、頑張って下さい!応援してます!」
玲衣「あ〜。ありがとうございます。」
カイ「えっと、ちょっといいかな?はじめまして!この度は人生交換アプリをご利用頂きありがとうございます!」
マイ「ありがとうございます!」
メイ「ますっ!」
声のする方を向くとそこには長身の男性と両脇に双子?の女の子が立っていた。
カイ「わたくしの名前はカイと申します。人生交換アプリの管理者といったところですかね。こちらの二人は私の助手のマイとメイです。マイ、メイご挨拶を。」
マイ「マイです。」
メイ「メイです。」
マイ、メイ「よろしくお願いいたします!」
カイ「マイ、メイお客様方に飲み物とお菓子を用意して差し上げて。」
マイ、メイ「はい、マスター。」
返事をするとマイ、メイの姿は消えた。
しばらくしてマイとメイはお菓子と飲み物を持って来て私達の前に置いて消えていった。
玲衣「ここは何処なの?貴方達は何者?何が目的?」
灯「そうです!私帰らないと。」
カイ「まぁまぁ落ち着いて下さい。私達は怪しい者ではありません。と言っても信じてもらえないかもしれませんが。信じて下さいとしか言いようがないですね。とりあえず、私の話を聞いてみませんか?心配しなくても私達は貴方達に危害を加えるつもりはありません。」
玲衣「わかったわ。とりあえず、話を聞こうかしら。」
灯「桐坂さんがそう言うなら私もいいですよ!」
カイ「ありがとうございます。ここは私が作った異空間です。貴方達が居た世界とは異なる世界になります。私達が何者なのかはお答え出来ません。目的は貴方達に人生交換をしてもらうことでしょうか。」
玲衣「人生交換。そう言えば、あのアプリのURLをクリックして気付いたらここに居た。」
灯「灯も同じです。」
玲衣「じゃあ、人生交換って本当に出来るの?」
カイ「はい。可能です。ただし、まだ仮契約の段階ですので仮契約が済んだ後に本契約に移ります。」
玲衣「そう言えば、仮契約の詳細がなんたらって書いてあったわね。」
カイ「それでは、仮契約の内容を説明させて頂きたいのですが、よろしいですか?」
玲衣「えぇ。」
灯「お願いします。」
カイ「それでは、説明させて頂きます。その前に簡単にお二人に自己紹介をして頂きたいのですが、よろしいですか?」
玲衣「わかったわ。桐坂玲衣。一応歌手をやってるわ。」
灯「わ〜。本物だ。あっ。私は日向灯です。教師をやってます。よろしくお願いします。」
カイ「ありがとうございます。それでは、仮契約の説明をさせて頂きます。その前に改めて人生交換について説明させて頂きます。人生交換するとはどういうことなのか。」
カイ「人生を交換すると言うのは桐坂様の今後の人生を日向様が過ごすそして日向様の人生を桐坂様が過ごすということです。具体的に言うと桐坂様の魂と日向様の魂を入れ替えます。入れ替えた瞬間から桐坂様は今までの桐坂玲衣としての記憶を全て失います。」
カイ「その変わり日向様が今まで生きてきた記憶を桐坂様に移します。もちろん、日向様も同様です。」
カイ「説明だけではいまいち分からないと思うので実際に1日だけ入れ替わって生活してもらいます。その上でもう一度考えてもらい決断して頂き人生交換を行います。説明は以上です。質問がなければ仮契約を行いますが宜しいですか?」
玲衣「なんとなくはわかったわ。とりあえず、その仮契約をお願いするわ。」
灯「灯も少し怖いですが、大丈夫です。」
カイ「それでは、仮契約に移りたいと思います。桐坂様にはマイが日向様にはメイがお供致しますのでなんなりと仰って下さい。」
マイ「よろしくお願いします。」
メイ「サポートするよ!」
カイ「それでは良い一日を。」
その言葉を聞いてからまた目の前が真っ暗になった。
目を覚ますと私は知らない部屋で寝ていた。
マイ「おはようございます。桐坂様。今日は一日よろしくお願いします。」
玲衣「あ〜。どうやら本当に入れ替わったようね。声も違う。」
玲衣は鏡を見て自分の姿を確認した。先程いた日向灯の姿をしていた。
周りを見渡すとstrawberry candy のライブのポスターやグッズが飾られていた。
玲衣「本当にファンなんだね。」
玲衣「さてと、マイちゃんだったかしら確認したいことがあるんだけど。」
マイ「はい。何でしょうか?」
玲衣「この日向さんは余命宣告をされてるのよね?」
マイ「はい。幼い頃から難病により余命宣告されておりますが、既に予定日を1年過ぎていますがお医者様からはいつ倒れてもおかしくないと言われています。」
玲衣「そう。それなのに教師を続けているのは何故かしら?」
マイ「わかりません。」
玲衣「まぁいいわ。とりあえず、職場に行こうかしら。」
マイ「日向様は毎日朝食後と夕食後に薬を飲んでいるみたいです。」
玲衣「これね。」
玲衣は朝食後に薬を飲んだ。
玲衣「苦い。これを毎日か。大変ね。」
マイ「準備が出来たら教えて下さい。案内致します。」
玲衣は朝食を食べ着替えて支度を済ませた。
玲衣「おまたせ。行きましょうか。」
マイ「はい。学校には毎日バスで通っているようです。田舎なので1時間に1回しかバスは来ないので乗り遅れないようにして下さい。」
玲衣「わかったわ。」
アパートから出てしばらくしてバス停に着いた。
バス停には既に一人お婆さんが並んで待っていた。
お婆さん「日向ちゃん。おはよう。今日もいい天気やね~。」
玲衣「あっ。おはようございます。そうですね。」
マイ(言い忘れていましだが、私の声や姿は桐坂様にしか見えないし聞こえませんので安心して下さい。あと、私との会話は頭の中で考えるだけで可能です。)
玲衣(わかったわ。)
お婆さん「今日はなんか元気ないな〜どうかしたんかい?お婆ちゃんが相談にのるよ?」
玲衣「いえ、心配かけてすみません。大丈夫です。」
お婆さん「そうかい?学校はどう?もう慣れた?先生になって3ヶ月だっけ?」
玲衣「いえ、まだまだ慣れませんね。」
マイ(日向様は3ヶ月前にこちらの森野小学校に着任されたようです。)
お婆さん「前に話してた咲ちゃん。縄跳び飛べるようになったんかい?」
玲衣「いや〜どうだろう?」
世間話をしていたらバスが到着した。
バスに乗り込みしばらくしてお婆さんが先に降りてしばらくして森野小学校に着いた。
玲衣「木造の校舎か。素敵ね。」
隆史「先生おはよう。」
玲衣「あっおはよう。」
マイ(こちらは和田隆史君。小学5年生です。日向様の生徒さんです。)
隆史「どうしたの?ボーッとして?」
玲衣「なんでもないわ。行きましょうか。」
桐坂はマイに先導されながら職員室に向かった。
職員室に入ると校長先生が居た。
校長「日向先生おはようございます。」
マイ(こちらはこの学校の校長先生です。)
玲衣「あっ。おはようございます。」
校長「学校には慣れましたか?」
玲衣「すみません。まだ少し。」
校長「そうですか。色々大変だと思いますが、よろしくお願いしますね。あと御身体の方は大丈夫ですか?」
玲衣「はい。大丈夫です。」
マイ(校長先生は日向様の御身体のことを了承済みです。)
玲衣は自分の席に座り今日の仕事内容を確認した。
まず、森野小学校には全校生徒が5人しかいない。
5年生の和田隆史君。5年生の佐藤美和ちゃん。
3年生の北村咲ちゃん。3年生の伊藤大悟君。
2年生の山里由香ちゃん。
ノートには一人一人の特徴が書いてあった。
隆史君は元気で好奇心旺盛。
美和ちゃんは周りのバランスを大事にしている。
咲ちゃんは運動が少し苦手。
大悟君は少し消極的。
由香ちゃんは頑張り屋さん。
玲衣(こんなに細かく一人一人ちゃんと見てるのね。)
マイ(桐坂様そろそろ朝のラジオ体操の時間です。校庭で毎朝ラジオ体操をやるみたいです。)
玲衣(わかったわ。)
玲衣は校庭に向かった。
校庭には既に子供達が待っていた。
隆史「あっ。来た。」
玲衣「ごめんなさい。お待たせ。」
隆史「もう遅いよ。遅いから由香が寝ちゃったよ。」
由香ちゃんは立ちながら眠っていた。
咲「よく立ちながら眠れるね。」
美和「ほら、由香。起きてラジオ体操するよ。」
由香「はーい。」
玲衣「えっと、それじゃあ始めるね。」
皆でラジオ体操を始めた。ラジオ体操を終え皆で教室に戻り朝礼をしてからしばらくして1時限目を始めた。
授業と言っても5人が同じ教室で勉強するのだが、基本的には問題用紙を渡し分からない所を教えるというやり方だ。
問題用紙は前日に日向が用意してくれていたので、あとは分からない所を教えてあげればいいのだ。
1時限目は算数。
皆問題を解いていた。
隆史「先生!」
玲衣「はい!どうしたの?」
隆史「ここ教えて。」
玲衣「うーんとここはね〜。」
隆史「なるほど、わかった。」
玲衣「良かった。頑張ってね。」
大悟「うーん。」
玲衣(確か大悟君は算数が苦手なんだったっけ。)
玲衣「大悟君大丈夫?分からないなら先生が教えようか?」
大悟「大丈夫。もう少し自分の力で頑張ってみる。」
玲衣「そっか。頑張れ!」
由佳「先生!おトイレ!」
玲衣「はい。行ってらっしゃい。」
由佳「ついてきてくれないの?」
玲衣「あっ。ごめん。じゃあ行こうか。」
トイレから戻り教室に入る
大悟「先生!出来ました!」
玲衣「おっ。どれどれ?本当だ出来てるね。」
大悟「やった〜」
玲衣「その調子で次の問題も解いてみようか。」
大悟「うん。」
そんなこんなで1時限目を終えて順調に授業をこなし昼食を食べて昼休み。
隆史「よっしゃ!昼休みだ。行こうぜ大悟!」
大悟「あっ待ってよ。」
隆史君と大悟君は校庭に向かった。
美和「咲と由佳。私達も行こっか。」
咲「うん。」
由佳「はーい。」
3人も何処かに向かっていった。
私は少し気になったのでついて行ってみると、音楽室に入っていった。
音楽室で美和ちゃんがピアノを弾いて咲ちゃんと由佳ちゃんが歌を歌っていた。
玲衣(あれ。この曲。strawberry candy の曲だ。)
歌を歌い終えた。
美和「二人共上手になってるよ!」
咲「そうかな?」
由佳「えへへ。そうでしょう。」
美和「それより、先生。なんでそんな所にいるの?」
玲衣「あっ。見つかっちゃった。」
咲「いつも入ってくるのに変なの。」
由佳「変なの〜。」
玲衣「あはは。こっそり聞こうと思ってね。皆上手だったよ。」
美和「先生。今新しい曲に挑戦中なの見ててね。」
玲衣「うん。」
美和はさっきとは違う桐坂玲衣のソロ曲を弾き始めた。
美和「あ〜。ここが難しいんだよね。先生。ここはどうしたらいいの?」
玲衣「えっ。」
玲衣(困ったわね。ピアノなんて弾けないわよ。)
玲衣「ごめん。今日はちょっと指の調子が悪くて。」
美和「そうなんですか。大丈夫ですか?」
由佳「大丈夫?痛い痛いの飛んでけする?」
玲衣「ありがとう。明日には良くなると思うから。」
美和「それなら、一緒に歌おうよ。先生桐坂玲衣さん好きたから歌えるでしょ?」
玲衣「えっ。」
咲「私も一緒に歌う!」
由佳「由佳も!」
美和「じゃあいくよ〜さんっはい!」
玲衣はドキドキしながらも歌い始めた。
最初は少しぎこちなかったが段々調子が出てきて最後まで歌うことが出来た。
玲衣「歌えた。」
咲「先生今日は上手だね!」
由佳「いつもは下手っぴだったのにね。」
美和「こら、由佳。そんなこと言わないの。でも、本当に上手だったよ。」
玲衣「ありがとう。」
玲衣は思わず涙を流しそうになってしまった。
玲衣「ごめん。午後の授業の準備しなくちゃ。歌の練習頑張ってね。」
玲衣はその場を離れた。
玲衣自身が驚いていた。
倒れた後も歌を歌うのすら無理だったのに普通に歌えた。
もちろん身体が違うのもあるだろうけど。
午後の授業も終えて帰りのホームルームの時間になった。
隆史「それじゃあ、先生また明日。」
大悟「さようなら。先生。」
隆史「大悟。帰ったら遊びに行こうぜ。」
大悟「うん。」
玲衣「さようなら。宿題もちゃんするように。」
美和「先生、さようなら。明日はピアノ教えて下さいね。」
玲衣「うん。わかったわ。さようなら。」
咲「先生。さようなら。」
由佳「先生。また明日〜」
玲衣「二人共また明日ね。」
玲衣(ふぅ。なんとか乗り切った。)
マイ(お疲れ様です。明日の授業に必要な書類を作成して日報を書けば今日の仕事は終わりです。その後は毎週水曜日に通っているテニス教室に行ってスーパーで買い物をして終わりです。)
玲衣(テニス教室に通ってるの?この人本当に余命宣告受けてるのかしら。)
玲衣は文句を言いながらも仕事とテニス教室を終えてアパートに帰ってきた。
玲衣「疲れた〜。」
部屋に入りその場に座り込む。玲衣はたまたま側に置いてあったノートを手に取った。
玲衣「日記か。私と同じだ。」
玲衣は悪いとは思いながらも日記を読み始めた。
日記は余命宣告を受けてから書き始めたようだ。
?月?日
体調がずっと優れないのでお母さんと一緒に病院に来た。
色々検査を受けて聞いたこともないような病名を言われた。
難病らしく現在は治療方法が無いらしい。
その為残り3年の命だと言われた。
私は全てがどうでも良くなった。
何のやる気も出ない。
学校も行かなくなり部屋に閉じこもり毎日ネットやテレビを見る毎日。
そんな時だった。
彼女達に出会ったのは。
テレビに最近デビューして人気のバンドグループstrawberry candy が映っていた。
その時に初めて聞いた曲に私は心を奪われた。
「明日のために」
彼女達は今この瞬間を思いっきり生きてるって感じがした。
それから、彼女達のことを調べたら同い年だと知った。
同い年の彼女達があんなに楽しそうにそしてこんなにも素晴らしい曲を歌っている。
それなのに私はなんだ。
余命宣告されて不貞腐れて学校をやめて人生を諦めて。
私は今一度自分の人生に向き合おうと思った。
だから、私は子供の頃からなりたかった、先生を目指した。
バイトをしながら学校に通い教員免許を取り念願だった教師になれた。
そして今日から私は森野小学校の教師になる。
しっかりと出来るだろうか?
いや、私が不安でどうする。
子供を導く存在にならないといけないんだ。
私はもう迷わないよ。
私の心には彼女達の曲が鳴り響いているから。
玲衣は最後まで読み日記を閉じた。
マイ「これで仮契約は終わりです。お疲れ様でした。これより、カイ様の元にお送りします。」
玲衣「わかったわ。今日1日付き合ってくれてありがとう。」
マイ「いえ、役目ですから。それでは、行きましょうか。」
玲衣は目の前が真っ暗になった。
日向灯視点
灯は目を覚ますと知らない部屋に居た。
灯「ここは何処?」
メイ「桐坂様のお部屋だよ?」
灯「うわっ。」
灯は驚いてベッドから落ちてしまった。
メイ「ごめんなさい。驚かせちゃったね。」
灯「いてて。えっと、確かメイちゃんだよね?」
メイ「そうだよ。メイです。改めて今日は1日よろしくね。」
灯「そっか。あれは夢じゃなかったのか。ていうことは、私桐坂さんになっちゃったんだ。」
メイ「そうだよ。鏡で確認してみたら?」
灯は脱衣室の鏡で姿を確認した。
灯「本当に桐坂さんだ。声も。凄い。ってこんなことしてる場合じゃない。私にはやらなくちゃいけないことがあるんだ。」
メイ「やらなくちゃいけないこと?」
灯「そう。私がこの人生交換アプリを使ったのは桐坂さんになれるかもと思ったからというかメールにそう書いてあったし。あれ書いたのはメイちゃん達ってこと?」
メイ「ノーコメント。」
灯「まぁいいや。私がやりたいことはstrawberry candy を再結成させること。」
メイ「おー。」
灯「他人の私が何言ってるって言われるかもしれないけど、私は決めたの残りの人生を思いっきり悔いなく生きるってだから、私を助けてくれたstrawberry candy を今度は私が助ける番。」
灯「とりあえず、今の状況を確認しなきゃ。おっ。あれはもしかして日記?」
メイ「日記だね。」
灯「ごめんなさい。勝手に他人の日記読むなんて最低だけど、後で罰は受けます。そうだな。一週間食後のデザート抜き!」
メイ「それはキツイ!」
灯は桐坂の日記を読み始めた。
日記は高校時代。
strawberry candy 結成前まで遡る。
彼女が高校3年生の時。
玲衣は至って普通の女の子。
今日は友達の筒井愛花に誘われてカラオケに来ていた。
胡桃「あっ。やっと来た。オーイ。こっちこっち。」
愛花「ごめん、ごめん。おまたせ。連れてきたよ。玲衣。こっちが胡桃。」
胡桃「どうも。初めまして。坂上胡桃です。今日は来てくれてありがとう。」
愛花「それで、こっちが野乃。」
野乃「荒川野乃野乃でいいよ。よろしく〜」
愛花「ほら、玲衣も自己紹介。」
玲衣「うん。桐坂玲衣です。よろしくお願いします。」
玲衣と愛花は同じ学校の友達で胡桃と野乃は学校は違うが愛花と友達である。
胡桃「急にごめんね。友達が1人来れなくなっちゃってさ。」
野乃「愛花が前から話してた玲衣ちゃんに会ってみたいなと思って。」
愛花「まぁそんな感じだから今日は親睦を深めようよ。」
玲衣「うん。」
4人は早速カラオケBOXに入った。
順番に歌を歌い玲衣の番が来る。
愛花「次は玲衣だね。」
玲衣「うん。緊張するな〜」
胡桃「頑張れ〜」
野乃「リラックス、リラックス。」
玲衣が歌い終わった。
胡桃「愛花には聞いてたけど、本当に上手いね。」
野乃「上手〜」
愛花「ねっ?言ったでしょ?」
玲衣「ありがとう。でも普通だよ。」
それからしばらく皆で歌った後に胡桃が話始めた。
胡桃「いや〜正直想像してたよりかなり歌上手いね。玲衣ちゃん。」
玲衣「もういいって。」
胡桃「それじゃあ、そろそろ本題に移ろうか。」
玲衣「本題?」
愛花「実は今日玲衣をカラオケに誘ったのは二人に会わせるのともう1つ理由があって玲衣は知ってると思うけど、私達バンドをやってるんだよね。」
玲衣「うん。知ってるよ。放課後集まって練習してるんだよね?」
愛花「そう。それで、今度の胡桃達の文化祭でライブをやることになったんだよね。」
玲衣「そうなんだ!おめでとう!」
愛花「ありがとう。でもね。実はメンバーが1人引っ越しちゃって。抜けちゃったんだよね。」
玲衣「えっ。そうなんだ。それは大変だね。ってまさか。」
愛花「そのまさか。玲衣。バンドのメンバーになってくれない?」
玲衣「無理、無理、無理。」
愛花「二人もほら」
胡桃「今日改めて玲衣ちゃんの歌声を聞いて是非メンバーになって欲しいと思った。ねっ。野乃?」
野乃「うん。玲衣ちゃん。一緒にバンドやろう!きっと楽しいよ?」
愛花「ねっ?二人もこう言ってるしさ。文化祭まででもいいからさ。ねっ?助けると思ってお願い!」
玲衣「本当に私なんかでいいの?楽器とか出来ないよ?」
愛花「大丈夫!玲衣はボーカルとして歌ってくれるだけでいいから。」
胡桃「そうそう。その歌声があればもう大丈夫!」
野乃「最強!」
玲衣「うーん。わかった。文化祭までだよ?」
胡桃「やったー!ありがとう!」
愛花「ありがとう。玲衣。」
野乃「これからよろしく!」
こうして玲衣はバンドをすることになった。
それから放課後4人は集まり文化祭ライブに向けて練習を始めた。
休憩中
玲衣「皆楽器が出来てカッコイイな。」
胡桃「玲衣も何かやってみる?」
玲衣「無理、無理。私不器用だもん。」
愛花「練習すれば出来るようになるよ。」
野乃「頑張れ!」
玲衣「そう言えば、バンド名って。」
愛花「バンド名はstrawberry candy 」
玲衣「strawberry candy か可愛いくていいね。」
胡桃「そろそろ練習再開しようか。」
それから4人で練習をして文化祭当日を迎えた。
次が玲衣達の番である。
胡桃「あ〜緊張する。」
愛花「大丈夫。練習では上手く出来たんだから。」
玲衣「うん。私達頑張ったよね。」
野乃「玲衣。意外と大丈夫?」
玲衣「緊張してるよ。でも、皆と一緒だから頑張れる。」
胡桃「そうだね。よし行こう!」
4人はステージに出た。
ライブは大成功で終わった。
ライブを終えた4人は中庭にいた。
胡桃「いや〜凄かったね。」
愛花「今までで1番盛り上がったね。」
野乃「アンコールしてもらったの初めて。」
玲衣「皆お疲れ様。最初は私なんかには無理だと思ってたけど、皆と練習してライブ出来て楽しかった。ありがとう。」
胡桃「こちらこそだよ。玲衣のおかげでライブ出来たし。最高だった。」
野乃「こっちこそありがとう!」
愛花「玲衣もお疲れ様。初めてのライブとは思えないくらい上手く言ったね。本当にありがとう!」
男性「お疲れの所悪いけど、少しいいかな?」
胡桃「はい?」
男性「私は飯田。さっきの君達のライブ聞かせて貰ったよ。いや〜素晴らしかった。」
愛花「ありがとうございます。」
飯田「それで、実は今度私が携わっているライブハウスでライブがあるんだが、君達参加してみないか?」
胡桃「えっ。ライブですか?」
野乃「私達が?」
飯田「これ私の名刺だから渡しておくね。もし、参加したくなったらここに連絡してほしい。良い返事を待ってるよ。」
それだけ言って飯田は去って行った。
胡桃「ライブだって。」
愛花「今調べたけど、ここ結構有名なライブだ。このライブから世に出たバンドもあるみたい。」
野乃「すごーい。そのライブに野乃達が出れるの?」
胡桃「でも、玲衣は今日までだからね。」
野乃「そっか。じゃあ、無理か。」
玲衣「その件だけど、私で良かったらもう少しバンド続けてもいいかな?」
愛花「いいの?私はいいけど。」
胡桃「もちろん!」
野乃「もう玲衣は仲間だよ。」
玲衣「良かった。ありがとう。改めてよろしくね。」
胡桃「うん。よろしく!」
愛花「じゃあ、また一緒にライブ出来るね。」
野乃「やったー!」
4人は新たにライブに向けて練習を始めた。
胡桃「ライブに向けて新しい曲作ろうと思うんだ。」
玲衣「そう言えば、曲ってどうやって作ってるの?」
愛花「胡桃が作曲して野乃と私が作詞してるよ。玲衣も一緒に考えてみる?」
玲衣「私に出来るかな?」
野乃「大丈夫、大丈夫。」
胡桃「それで、早速考えて来たんだけど、聞いてもらってもいい?」
愛花「流石!仕事が早いね。」
玲衣「聞きたい!」
野乃「楽しみ。」
3人は胡桃が作曲してきた曲を聞いた。
愛花「私は好きだな。」
玲衣「うん。凄くいい!」
野乃「良き良き!」
胡桃「そっか〜良かった。」
愛花「じゃあ、作詞は私達でやるね」
胡桃「よろしく〜」
それから3人で作詞して4人で作曲した初めての曲が完成した。
胡桃「うん。いいね!」
玲衣「曲と作詞が私達らしくていいね。」
愛花「それな〜。」
野乃「最強!」
玲衣「曲名どうしようか?」
野乃「最強!」
胡桃「却下。」
愛花「玲衣なんかある?」
玲衣「うーん。明日のためになんてどうかな?」
胡桃「おっ。いいじゃん。歌詞もそんな感じだし。」
愛花「うん。いいね。」
野乃「採用!」
こうして私達の新曲「明日のために」が完成した。
その曲を引っさげライブハウスでライブを行った。
結果は大成功!
お客さん達は大盛りあがりだった。
ライブ後
飯田「皆お疲れ様!最高だったよ!お客様から君たちのことを質問されてね。次はいつ出るのかってね。というわけで、また出てくれないかな?」
胡桃「もちろん。喜んで。大丈夫だよね、皆?」
愛花「うん。」
玲衣「大丈夫。」
野乃「ノープロブレム。」
飯田「良かった。それじゃあ、また次も頼むよ。スケジュールが決まり次第また連絡するね。」
その後、みんなでレストランに移動した。
胡桃「いや〜。最高だったね。」
愛花「最初は緊張したけど、お客さんが盛り上がってるのが分かっていつの間にか終わってた感じ。」
玲衣「本当それだね。」
野乃「ライブ後のパフェは上手いぜ。」
胡桃「次もこの調子で行こう!」
それから何回かライブに参加させてもらったある日のライブ終わりに飯田さんから話があるから来てほしいと言われ飯田さんの部屋に向かった。
そこには飯田さん以外にもう一人男の人がいた。
飯田「おっ。きたきた。お疲れ!今日のライブも最高だったよ。」
胡桃「ありがとうございます。それで、話ってなんですか?」
飯田「あ〜。そうそう。その話はコチラの方からしてもらおうか。丸井さん。」
丸井「どうも。始めました。私こういう者です。」
そう言うと丸井は皆に名刺を配った。
胡桃「芸能プロダクションの社長さん。」
野乃「社長!」
丸井「そう。私は芸能事務所の社長を務めさせてもらっているんだが、君たちの曲聞かせてもらったよ。とても素晴らしかった。」
愛花「ありがとうございます。」
丸井「それでね。良かったら君たち私の事務所に来ないかい?」
玲衣「事務所にって芸能事務所のですか?」
丸井「そう。君たちなら絶対に売れる!私が保証するよ。どうかな?直ぐに返事は出来ないだろうからよく考えて決めてくれて構わない。君たちの将来のことだからね。詳しい資料はまた後日渡しに来るよ。それじゃあ。」
そう言うと丸井は去って行った。
それから4人はいつものレストランで集まっていた。
胡桃「芸能事務所かぁ。私達いよいよ歌手デビュー?!」
愛花「そんなに簡単なことじゃないと思うけど。」
玲衣「そうだね。でも、親には反対されそう。」
野乃「野乃も。」
胡桃「そうだよね。反対されるよね。」
愛花「でも、歌手になれたら凄いよね。」
玲衣「まぁね。」
野乃「最強。」
胡桃「とりあえず、家族に相談してみようか。」
その日はそれで解散した。
その後、各々が家族に相談してみた。
全員が最初は反対されたが、その後事務所の社長にも来てもらい説得してもらい一度ライブを観に来てもらうことになった。
しばらくして、ライブを家族に観てもらい家族からOKが出た。
それから皆はバンド活動をしながら学校に通い。無事に卒業し、丸井の芸能事務所に所属することになった。
改めて楽器の演奏教室や歌唱教室、ダンスレッスンに通いながら色んなライブに参加させて頂き順調に人気が出てきた。
自分達のCDを出して歌手デビューをしてから一気に人気が出た。
CDの売上も良く歌番組にも呼ばれるようになった。
気付いたら人気バンドグループになっていた。
マネージャー「いや〜凄い人気ですね。」
胡桃「有り難いことにね。」
愛花「この前コンビニで店員さんに声掛けられちゃった。テレビって凄いね。」
玲衣「そうだね。」
野乃「でも、疲れた。休み欲しい。」
マネージャー「今が頑張り時ですからもう少し頑張りましょう。ほら、野乃さんが好きなデザート買ってきましたよ。」
野乃「わーい。ありがとう。マネちゃん。」
マネージャー「それと、ラジオが今度決まりました。」
胡桃「急にぶっこむね。ゲストじゃなくて?」
マネージャー「はい。皆さんがメインです。」
愛花「私達に出来るかな?」
マネージャー「大丈夫です。ファンの皆さんは素の皆さんを知りたいんですよ。」
玲衣「只々普通に喋るだけになりそう。」
マネージャー「それで大丈夫です!」
胡桃「せっかく頂いた仕事何だから頑張ってみよう。」
野乃「おー。」
それからも様々な仕事をこなしながら音楽活動もして自分達のライブを開催したりアルバムを発売したりして順調にきていると思っていた。
ある日玲衣だけがマネージャーに呼ばれた。
マネージャー「お疲れ様です。」
玲衣「どうしたの?」
マネージャー「実は社長から玲衣さんにソロ活動してみないかと提案されまして。どうですか?」
玲衣「ソロ活動?無理、無理。一人じゃ何も出来ないよ。」
マネージャー「そんなことないですよ。玲衣さんの歌が素晴らしいって良く聞きますから。実際に玲衣さんに歌って欲しいって何曲か頂いていたりしてるんですよ。」
玲衣「それでも一人じゃ無理だよ。」
マネージャー「strawberry candy をより色んな人に知ってもらうきっかけにもなると思うんですよね。」
玲衣「うーん。皆と一度相談してもいいですか?」
マネージャー「もちろんです。」
それから皆が集まったタイミングでソロ活動の件を皆に相談してみた。
玲衣「皆に相談があるんだけど、ちょっといいかな?」
胡桃「どうしたの?」
玲衣「実はマネちゃんからソロで活動しないかって言われてて。」
愛花「ソロ?バンドを抜けるってこと?」
玲衣「いや、違くて。バンド活動もしながらソロでも活動するみたいな感じかな。」
胡桃「いいんじゃないかな?玲衣はボーカルだから他の人が作曲した曲とかも歌えると思うし。人気もあるしね。」
野乃「うん。野乃もいいと思う。野乃も今度番組にゲストで呼ばれてるし。」
玲衣「そうなんだ!また教えてよ。」
愛花「まぁバンドグループとかアイドルグループとかでも一人一人が活躍したりしてるしね。皆でライブが出来れば私はいいかな。」
玲衣「ありがとう。じゃあ、頑張るね。」
それから玲衣はソロで活動するようになりソロでCDを出したりして人気歌手になっていった。
玲衣以外のメンバーも一人一人があった仕事をして4人で集まる機会が減っていった。
それでも定期的にライブも行い順調に芸能生活をおくっていた。
それからしばらくして4人で次のライブに向けて練習をすることになりスタジオに集まることになった。
玲衣「あとは胡桃と野乃か。」
愛花「あっ。胡桃から連絡来たよ。他の仕事で今日は無理らしい。」
玲衣「野乃からも同じ内容のメッセージがきた。」
愛花「まぁ仕方ないね。今日は二人でやろうか。」
玲衣「そうだね。」
そんな日が続きまともに4人で練習出来ないままライブの日数だけは近づき玲衣の中に不満が溜まっていった。
ようやく4人で練習出来る時が来たが練習不足でガタガタだった。
玲衣「こんなんじゃライブに間に合わないよ。」
胡桃「新曲は無しにしようか?」
玲衣「えっ?駄目だよ。皆楽しみにしてくれてるのに。」
胡桃「ならこのままガタガタな状態で演奏するの?それこそお客さんに失礼じゃない?」
愛花「まぁまぁ。二人共落ち着いて。まだ時間はあるんだからもう少し練習しようよ。」
野乃「うん。練習しよう。」
玲衣「最近皆ちゃんと練習してる?」
愛花「ごめん。別の仕事であまり出来てなかった。」
野乃「野乃も。」
玲衣「そんなんじゃ出来るわけないよ。もっと真剣にやろうよ。」
胡桃「玲衣はいいよね。人気があるから。」
玲衣「えっ?」
愛花「胡桃。やめて。」
胡桃「本当のことじゃん。玲衣も知ってるんでしょ?」
玲衣「なんのこと?」
胡桃「ネットとか周りのスタッフさんとの飲み会の席で玲衣以外の私達がなんて呼ばれてるか。」
愛花「やめて。胡桃。」
胡桃「金魚のフンだってさ。strawberry candy はボーカルの玲衣で成り立ってるって。私もネットでベース下手過ぎとか辞めろとか書かれててそれを見てからベースが弾けなくなっちゃったんだよね。」
玲衣「そんな。酷い。」
胡桃「ごめん。玲衣を責めるつもりじゃなかったんだけどね。本当にごめん。今日は帰るね。」
愛花「胡桃!」
玲衣「皆は知ってたの?」
野乃「野乃も書かれてた。でも、無視して頑張ろうと思ってたけど、無理だった。どうしてもキーボードが弾けなくて。ごめん。野乃もうキーボード出来ないかも。ごめん。」
愛花「野乃!」
野乃もその場から去って行った。
玲衣「私何も知らなかった。」
愛花「仕方ないよ。皆自分のことで精一杯だったから。」
玲衣「ごめん。今日は帰るね。愛花もありがとう。」
愛花「うん。あんまり気にしないでね。」
玲衣も今日は家に帰った。
家に帰ってからネットで自分達のことを調べてみた。
確かに胡桃が言っていたような書き込みがされていた。
玲衣はあまりこういう他人の意見に左右されないタイプだが、普通の人ならショックを受けるだろう。
玲衣「私最低だな。」
玲衣「皆が辛い思いをしていたのに。」
それからライブの練習は出来ずライブは中止になってしまった。
しばらくして胡桃から4人で話したいことがあると連絡が来た。
仕事終わりに4人で久しぶりに集まった。
最後に会ったのはあのライブの練習をした日以来だ。
胡桃「ごめん。皆忙しいのに集まってもらって。」
愛花「何言ってるの。胡桃から呼ばれたら真っ先に行くよ。ねぇ。」
玲衣「うん。そうだよ。」
野乃「うん。」
胡桃「話って言うのはstrawberry candy を抜けたいって思ってる。」
玲衣「えっ?」
愛花「どうして?」
胡桃「前にも話した通り私はもうベースが弾けなくなってしまったの。だから、もうこれ以上皆に迷惑はかけられない。」
愛花「迷惑なんかじゃないよ。」
玲衣「私も考えてた。あの日からずっと。私は皆と一緒にまたライブがしたいと思ってる。でもstrawberry candy で居続けることで皆が傷つくのなら解散した方がいいのかもしれないって思った。」
野乃「野乃も同じ気持ち。」
愛花「そんな。どうして。」
胡桃「ごめん。それじゃあstrawberry candy は今日で解散します。」
それから正式に解散の報道が出た。
玲衣は引き続きソロで歌手活動をつづけた。
玲衣以外の3人は芸能界を引退し自分達の道に進んで行った。
そして現在に至る。
灯「そっか。こんなことがあったなんて。知らなかった。でも、それでも灯はstrawberry candy は復活するべきだと思っています。だから、今から他のメンバーに会いに行きます!」
灯は他のメンバーに連絡してみたが連絡先が変わっていて連絡が取れなかった。
それからマネージャーに連絡して他のメンバーの居場所を聞いてみた。
最初は反対されたが押しに負けて一人だけ教えてくれた。
愛花の居場所だけ。
愛花は今老人ホームで働いていた。
灯は早速愛花が務めている老人ホームに向かった。
そこにはお年寄りの介護をしている愛花がいた。
愛花「ゆっくりで大丈夫ですよ〜」
お爺ちゃん「ありがとうね。愛花ちゃん。」
愛花「いえいえ。」
灯「あっ。久しぶり。えっと、愛花。」
愛花「えっ?玲衣?どうしてここに?」
灯「マネージャーに聞いて教えてもらったの。愛花と少しお話がしたいと思って。」
愛花「あっ。そう言えば、ニュースで見たよ。休養中だって大丈夫?無理したら駄目だよ。」
灯「心配してくれてありがとう。今は大丈夫。それで話なんだけど、実は私達strawberry candy のファンから手紙を貰ってね。その人は余命宣告されてとても落ち込んでいた時にstrawberry candy の曲を聞いて助けられたらしいの。」
愛花「そうなんだ。私達の曲が役に経ったんだね。やってみて良かったね。」
灯「うん。でね、その人は今小学校の先生をやってるらしいんだけど、そこの生徒さん達も私達のファンになってくれたらしいの。それで、もし可能なら皆さんで一度会いに来てくれませんかって書いてあったの。私はその願いを叶えてあげたいと思ってるの。今更なのは承知だけど、会ってあげてもらえないかな?」
愛花「うん。わかった。いいよ。」
灯「えっ。いいの?本当に?」
愛花「うん。私が玲衣のお願いを断ったことあったっけ?」
灯「ごめん。覚えてない。けど、ありがとう!それで、他の二人の居場所を教えてほしいんだけど。」
愛花「二人には私から伝えておくよ。来てくれるかは分からないけど。」
灯「それでいいよ。ありがとう。これがその人の学校の住所でこの日に出来たら来てほしいな。」
愛花「うん。わかったよ。」
灯「本当にありがとう。愛花とまた会えて本当に良かった。」
愛花「何それ。大袈裟だよ。」
灯「そうだ。休憩中だったよね。それじゃあ、もう行くね。二人によろしく。」
愛花「うん。あんまり無理しないようにね。次倒れたら皆で説教しに行くから。」
灯はその場を離れ玲衣の部屋に戻るついでに洋菓子店に寄った。
灯「この店一度来てみたかったんだよね。あっプリン美味しそう。」
メイ(プリンいいね!)
灯(メイちゃんの分も買ってあげるね。まぁ桐坂さんのお金なんだけど。)
メイ(やったー!)
灯「プリンを3つお願いします。」
メイ(なんで3つ?メイ2つも食べていいの?)
灯(桐坂さんの分だよ。)
プリンを買って部屋に戻った日向は手紙を書き始めた。
メイ「誰に手紙を書いてるの?」
灯「桐坂さんにだよ。」
灯「これでよしっ!あとは神様にお願いするだけだね。」
メイ「そろそろ時間だけどもう大丈夫?」
灯「うん。大丈夫!」
メイ「はーい。それじゃあ、カイ様の元に移動しますね。」
灯はまた目の前が真っ暗になった。
カイ「お帰りなさい。お待ちしておりました。」
カイ「お二人共お疲れ様でした。人生を交換するということがどういうことなのか、少しはご理解いただけたのではないでしょうか?」
カイ「マイとメイもご苦労だったね。」
マイとメイは静かにお辞儀をした。
カイ「お疲れのところ申し訳ありませんが、早速本題に移りたいと思います。」
カイ「1日だけですが、人生交換を体験していただいて、改めて良く考えてもらい、人生交換をするのかどうかを決めて頂きます。」
カイ「人生交換について改めてご説明させて頂きます。人生交換した場合二度と元の身体に戻ることはできません。体験の時と違い記憶も交換するので、以前の記憶は一切なくなります。」
カイ「そして、人生交換アプリに関する記憶も全て消させて頂きます。これに関しては人生を交換しようがしまいが同じですけどね。」
カイ「それでは、質問がなければ最後の手続きに移らせて頂きますが、よろしいですか?」
玲衣「うん。」
灯「はい。」
カイ「それでは、最後の手続きに移ります。」
カイがそういうと目の前に黒と白のボタンが現れた。
カイ「人生交換をしたい場合は白のボタンをしたくない場合は黒のボタンを押して下さい。二人共に白いボタンを押した場合は人生交換に同意したとみなし、人生交換を行います。どちらか一人でも黒のボタンを押せば不成立となります。」
カイ「それでは、ボタンを押して下さい。」
灯は直ぐにボタンを押した。
玲衣は少し悩みながらもボタンを押した。
カイ「ふむ。なるほど、それでは、結果を発表させて頂きます。」
マイ「桐坂玲衣様。黒。」
メイ「日向灯様。黒。」
カイ「これにより今回の人生交換は不成立とさせて頂きます。」
カイ「それでは、不成立となりましたので、お二人には明日からも今まで通りの生活に戻ります。そして、先ほど言ったとおり人生交換アプリに関する記憶は消させて頂きます。」
カイ「最後にわたくしからひとつ質問してもよろしいですか?」
玲衣「何かしら?」
灯「はい。」
カイ「人生交換をやめた理由をお聞かせください。」
玲衣「私はもうこの世から消えたいと思っていた。私なんて存在している価値もないと思っていた。でも、それは単に現実や辛いことから逃げてるだけだった。」
玲衣「日向さんと日向さんの学校の生徒達と出会って当たり前だけど、生きること頑張ることの素晴らしさを教えてもらったわ。」
玲衣「だから、私ももう少し頑張ってみようと思ったの。」
カイ「なるほど、わかりました。」
カイ「貴重な意見を聞かせて頂きありがとうございました。それでは、そろそろ我々はおいとまさせて頂きます。お二人の今後の人生に幸多からんことをお祈りしています。では。」
マイ「さようならです。御身体を大切に。」
メイ「また皆で歌えるといいね。」
玲衣「そうね。気をつけるわ。」
灯「色々ありがとう。」
目の前が真っ暗になり私は目が覚めた時にはいつもの自分の部屋にいた。
昨日丸1日の記憶がさっぱりない。
あんなにも暗い気持ちだったのに不思議と少し楽になっていた。
朝食を食べていつも通りに過ごそうと思ったら机の上に手紙が置いてあるのに気付いた。
手紙を読もうと開くと私の字で書いてあった。
書いた覚えがないがその手紙を読んでみる。
未来の私へ。
多分この手紙を読んでいる時にはもうこの手紙を書いた記憶が無くなっているだろう。
だけど、心配しないで大丈夫。
冷蔵庫に買っておいたプリンがあるから食べて元気だしてね。
それじゃあ、本題。
?月?日にホニャララの森野小学校に行きなさい。
絶対!
行かないと呪われます。
絶対に来てね。
待ってるからね。
きっと良いことあるよ。
加工の私。
玲衣「不気味だわ。書いた記憶がないけれど、確かに私の字だし。」
玲衣は恐る恐る冷蔵庫を確認した。
冷蔵庫には買った覚えがないプリンが入っていた。
玲衣は食べるか悩んだが食べることにした。
美味しかった。
それから手紙に書いてあった日付に指定された場所に向かった。
すると、そこにはいる筈のない人物がいた。
愛花「あっ。きたきた。」
野乃「おそーい。」
胡桃「時間も守れないで歌手活動は大丈夫なの?」
玲衣「皆。なんで?」
胡桃「なんでって、玲衣が私達をここに呼んだんでしょ。」
野乃「呼ばれたから来たよ。」
玲衣「私が皆を?ごめん。最近ちょっと記憶が曖昧で。」
愛花「だから、あんまり頑張り過ぎないでって言ったのに。」
玲衣「ごめん。実は私もここに呼ばれたというかなんというか。」
胡桃「何言ってるの?本当に大丈夫?」
野乃「心配。」
愛花「まぁとにかく行きましょうよ。皆さん待ってるんじゃない?」
玲衣「待ってる?誰が?」
愛花「私達strawberry candy のファンが。」
4人は学校の中に入った。
校庭には二人の子供達がキャッチボールをしていた。
隆史「ん?どちらさんですか?」
愛花「えっと。先生はいるかな?」
大悟「先生なら音楽室にいると思うよ。」
愛花「そっか。ありがとう。」
隆史「案内しようか?」
愛花「じゃあお願いします。」
4人は隆史と大悟に連れられて音楽室に向かった。
隆史「ここだよ。先生!お客さんだよ。」
灯「えっ。お客様?」
4人は音楽室に入った。
愛花「どうも。始めまして。」
灯「えっ。え〜?!どうしてここに?」
美和「えっ。本物?」
咲「すごーい!」
由佳「この人達だあれ?」
胡桃「ねぇ。なんか向こうが驚いてない?向こうには伝えてなかったの?」
愛花「玲衣にはここにファンがいるから会ってほしいとしか聞いてなかったからてっきり段取りしてるものだと思ってた。」
野乃「ドッキリ大成功?」
玲衣「ごめんなさい。」
愛花「とりあえず、私達のファンであることは間違いないみたいだね。」
灯「はい!間違いないです。大好きです。」
胡桃「ところで、皆は何をしていたの?」
美和「はい。音楽の練習をしてました。」
胡桃「へ〜。じゃあ演奏出来たりする?」
美和「演奏ですか?!本人を前にして。」
野乃「聞きたい。」
灯「わかりました!」
美和「先生?!」
灯「こんなチャンス二度とないかもしれないからね。先生も歌うから一緒に頑張ろう。大丈夫!あんなに練習したんだから。」
美和「わかりました。咲と由佳も大丈夫?」
咲「うん。緊張するけど、頑張ってみる。」
由佳「歌う〜」
灯「それでは聞いてください。strawberry candy で明日のために。」
胡桃「まさかの選曲だね。」
愛花「私この曲聴くと泣いちゃうんだよね。」
野乃「思い出の曲。」
玲衣「私達の初めての曲だもんね。」
演奏が終わった。
灯「どうでしたか?」
愛花「良かったです。」
胡桃「練習次第ではもっと良くなると思う。」
野乃「良かった。」
玲衣「うん。たくさん練習したんだろうなっていうのが伝わってきた。」
灯「ありがとうございます!良かったね。皆。」
美和「うん。頑張ったかいがあった。」
咲「良かった~。」
由佳「楽しかった。」
由佳「お姉さん達歌手なんでしょ?」
愛花「うーんと1人は歌手であとの3人は元歌手だね。」
由佳「そうなの?ねぇ。お姉さん達も歌ってよ。」
愛花「えっ。」
灯「あはは。それはちょっと厳しいかな。」
胡桃「よしっ。やりますか。こっちのお願いも聞いてもらったし。」
野乃「やろう!」
愛花「出来るかな〜」
玲衣「えっ。やるの?皆大丈夫なの?」
胡桃「あんなの見せられたらね。」
野乃「やる気出た。」
愛花「まぁあの曲なら指が覚えてるよね。」
胡桃「玲衣こそ大丈夫なの?」
玲衣「うん。大丈夫。皆と一緒なら。」
胡桃「楽器を借りてもいい?」
灯「どうぞ、どうぞ!」
胡桃「それじゃあいくよ?」
愛花「うん。」
野乃「OK!」
玲衣「いつでもいいよ。」
胡桃「strawberry candy で明日のために」
演奏を始めた瞬間皆が昔に戻ったように笑顔になった。
皆が楽しそうに生き生きと音楽を奏でている。
演奏が終わった
灯「すごーい!まさかまた生でstrawberry candy のライブが見れるなんて。」
美和「本当にすごいね。」
咲「皆さん楽しそうでこっちも笑顔になっちゃった。」
由佳「すごい、すごい!」
4人「ありがとうございました。」
胡桃「久しぶりだったけど、上手くいったね。」
野乃「最高!」
愛花「うん。最高だった。」
玲衣「ありがとう。また皆で出来て良かった。」
それからしばらくして帰ることになった。
灯「今日は本当にありがとうございました。」
胡桃「こちらこそありがとう。」
野乃「センキュー!」
愛花「灯さんも御身体を大切にして下さいね。」
玲衣「それじゃあ、さようなら。」
4人は灯と別れ帰路についた。
胡桃「まさか演奏することになるとは思わなかったな〜」
愛花「そうだね。最初は少し不安だったけど、案外大丈夫だったね。」
野乃「楽しかった。」
玲衣「うん。改めて皆ありがとう。」
胡桃「玲衣。今更かもしれないけど、あの時はごめん。私も自暴自棄になってた。玲衣の人気に嫉妬して酷いこと言っちゃって。本当にごめん。」
野乃「野乃もごめん。」
愛花「私ももっと皆の気持ちに気付いてあげられてれば。」
玲衣「もうやめようよ。皆あの時は余裕がなかっただけだから。誰も悪くないよ。」
胡桃「今日改めて皆で演奏してみてやっぱり私は音楽が4人で奏でる音が好きなんだなって思えた。」
野乃「野乃もだよ。」
愛花「うん。楽しかった。」
胡桃「だから、もう一度私達やり直さない?次は上手く出来る気がするんだ。」
野乃「野乃もやりたい。」
愛花「うん。うん。そうだね。どうかな?玲衣。」
玲衣「もちろん。私ももう一度皆とバンドを組みたい。」
胡桃「それじゃあ、改めて今日からstrawberry candy を再結成します!」
野乃「おー!」
愛花「これからまた頑張ろうね。」
玲衣「うん。よろしくね。」
こうして4人はまたstrawberry candy を再結成した。
消えたい歌手 桐坂玲衣の場合end




