第二十七話
徹也がしばらくシャーロットの後ろを歩いていると、シャーロットが一つの本棚の前で止まった。徹也もシャーロットに合わせて、足を止める。
「……ここか?」
「はい!この本ですね!」
シャーロットが指さした本は、他の本とは一線を画す大きさであり、厚さだった。徹也はその本を見て驚き、思わず目を擦る。
(……え?嘘だろ!?何だよこの本厚すぎだろ!)
「ど、どうかしましたか?徹也様?」
徹也がそのように思って驚愕していると、そんな徹也を心配したのかシャーロットが徹也に話しかけた。徹也は驚きが止んでいないままであったが、辛うじてシャーロットの言葉に反応する。
「……い、いや。ちょっと、デカすぎじゃね?って思ってな……」
「ああ。そういうことでしたか。それは仕方ないことだと思います。なにせ、この一冊にこの世界の全てが載っていますから……」
「ほ、他の国の領土まで載ってるのか!?」
「はい。勇者様と賢者様の遺産です」
徹也は他の国の領土の所まで載っている世界地図があることに驚きつつ、同時に歓喜していた。なぜなら、これは後々間違いなく役に立つと確信したからである。
(これは嬉しい……!他国との戦争とかもあるかもしれないし、地形を知れるというのは財産になる)
徹也はそう思い、口角を上げた。それほどまでに、徹也にとってこの地図はありがたかったのだ。
「では、持っていきましょう」
シャーロットがそう言って、一人で持とうとする。そんなシャーロットを見て、徹也は慌ててそれを止めた。
「ま、待てってシャーロット。俺が持っていくから」
「……え?し、しかし、徹也様のお手を煩わせるわけには……」
「いや、俺相手にそんなこと言わなくていいって。とにかく、任せてくれ」
「そ、そうですか……。分かりました……。お願いします……」
「おう」
徹也はシャーロットにそう返事をすると、本棚からその本を引き抜く。だが、その本は徹也が思っていた以上に重かった。
「……っと!」
(……ヤバ。これ、結構重いな……!)
「だ、大丈夫ですか?徹也様……」
シャーロットが心配そうな声で、徹也にそう言った。しかし、徹也はここでシャーロットに持たせるわけにはいかない、と思った。なんてことはない。徹也の小さなプライドである。
「あ、ああ。だ、大丈夫だ。早く行こうぜ」
「は、はい……」
徹也はシャーロットにそう伝えて歩き始めたが、シャーロットは心配そうな目を向けながらであった。
現に徹也は、フラフラと不安定な足取りで治伽と舞の元へと向かって歩いている。シャーロットはこんな状態の徹也を見て、心配せずにはいられないのだ。
シャーロットはそんな徹也を見ていられず、思わず徹也を支えた。
「シャ、シャーロット……!?」
シャーロットのその行動に、徹也は少し照れて返事をした。シャーロットに触れられたからである。
だが、そんな徹也の気持ちなど知る由もないシャーロットは、徹也を支えていた手を離して徹也が持つ本を支えた。
「……一緒に運びましょう。徹也様だけに負担をかけるわけにはいきません」
「……わ、分かった」
シャーロットの真剣な言葉に押されつつも、徹也はシャーロットの言葉に了承して一緒に本を持った。そしてまた、治伽と舞が待つ場所へと二人揃って歩き出した。
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