白亜の大恐竜展覧会!! です
夏休みの初日、準備の遅い弟をイライラしながら玄関で待つ。
「ほらぁ颯太、早くしないとバス遅れちゃうよ」
自分から連れて行って欲しいなんて言い出したクセに、まったくもう。
「颯太!」
「そーたぁ、まだぁ?」
「もう、颯太いい加減に……」
何度目かの催促の途中からやっとドタドタと階段を降りてくる音がして颯太がやってきた。
「えへへ、姉ちゃんお待たせ」
見送りに出てきたお母さんから弁当と水筒を受け取ってリュックにしまう。
「もう走らないとバス間に合わないよ」
お母さんに言われて腕時計を見るとバスの発車時刻まであと6分20秒しかない!
「颯太! 走るよ!」
大丈夫、わたしのレコードタイムは5分12秒だ。颯太を連れて走り抜け、バス停から発車直前のバスに滑り込めた。
早速水筒の冷たいお茶を姉弟揃ってがぶ飲みすることになったけどこれでもう安心。
バスで駅まで行ってから今度は駅でツアーバスに乗り換える。
そうツアーバスに乗ります!
行く先は……白亜の大恐竜展覧会!!
もともとは颯太に行きたいってせがまれたんだけど、今回の展示の目玉はあの有名なティラノサウルス・レックスの展示。
しかも世界最大にして最も完全と言われる標本のレプリカの他にも亜成体のオリジナル標本が展示されると聞いてわたしは行く気マックスになってしまったのだった。
とはいえ先立つモノも必要なわけでどうしようかと考えていたら弟と一緒に行ってくれるならとお母さんが入場券付きツアーバスの代金を全額出してくれました。素晴らしい!
駅でツアーバスに乗り換えて博物館に到着!
バスは博物館の入り口前に乗りつけられた。すぐ目の前には白亜の大恐竜展覧会のディスプレイがこれでもかと飾られている。
うーん、盛り上がるねえ。
「姉ちゃん、早くいこ!」
颯太はバスを飛び下りて駆け出して行った。
「ちょっと! 待ちなさい」
仕方なくわたしも走って颯太を追った。
いよいよ館内に入る。
わたしはバッグからチケットを取り出して、小6の弟には小学生以下のチケットを渡した。
「はい、これ持ってなさい。失くしちゃダメだからね」
「うん!」