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大日本製作所物語

作者: 川目漱介


 わが社の主力商品千羽鶴の売り上げが落ちている。なにをやってるんだ。部長は怒鳴り散らしてる…すでに時代は千羽鶴から万匹亀に移りつつあった。わが社も万匹亀を製造すべきだ!専務の鼻息は荒い。こんどの役員会そして株主総会は大荒れだろう。


 社長は専務の意見を退け社運を賭けた新商品千羽鶴プレミアムを発表…そしてその日、開発チーム主任ニコライシベライカが病室で息を引き取る。ニコライが命を懸けて開発した千羽鶴プレミアムを売らなければ会社はこんどこそ終わりなのはわかっているが千羽鶴に10万誰が出すのだろう…


 しかしそんな心配をよそに生産が追い付かないほどにプレミアムは売れた。プレミアムには軍事転用される可能性のある技術が使われていることがわかり仮想敵国に輸出されたことが問題になった。そしてニコライにスパイ容疑がかけられることになった。ロシア人社員は全員公安に逮捕され第二次日露戦争を煽るマスコミ。


 母に連れられて大阪造幣局の桜の通り抜けに来た、つとむは「戦争始まるのかなあ」と言ってすぐ後悔した。「あなたがよいこでいれば戦争ははじまらないわ」だからである。そしてお母さんは嘘つきだ、とか言うと往復ビンタだからそれは言わない。

家に戻ると母が部屋にこもったきり。キーを叩く音が聞こえる。組織との通信が最近頻繁だ。


 その頃北極海に展開中の日本連邦第七艦隊はトマホークの発射準備に入っていた。


 そんななか、わたしが千羽鶴の梱包作業を終えたのは朝の5時であった。


 つとむは母から衝撃の事実を告げられる。「あなたさまは満州国の次期皇帝劉宝」。つとむは伊丹から直行便で大連に向かうのであった。


 営業のエース山田を自白させた専務がマスコミにリーク、わが社ロシア人社員のスパイ容疑は全くのでたらめ。社長は自社社員に犠牲を強いてプレミアムの売り上げを伸ばしている。


 ちょうどそのころ社長はモスクワにいた。独自の外交ルートを通じて女帝エカテリーナに謁見中であった。エカテリーナはロシア人スパイ容疑の件で平和的解決を望んでいる。大日本製作所には利益を優先させる活動を自粛して頂きたい、という申し出に社長は率直な自分の意見を述べた。ロシアの時代は終わった、と。社長は平和外交の為ではなく喧嘩を売りにロシアに行ったのだ。


 もうじき満州愛国党が革命を起こす。ロシアもまた。販路を拡大できれば我が社の危機を脱することができる。社長が日本に亡命させていた劉宝がついに満州国の皇帝に即位する。


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