第5話 フィオナ姫の胸って大きいの?
今回は1600字程度と、文字数少なめです。
オークの村、ワカバ。その北の外れの牢獄に閉じ込められているのは、誘拐されたフィオナだった。金貨2万枚、それがこの王国の2番目の姫にかけられた身代金である。
彼女の容姿は姉姫であるイオナと瓜二つ。しかし大きな胸からか、他国の王子より求婚されるのは、決まってフィオナの方だったのである。だが、姉を差し置いて結婚するなど考えられず、彼女はいつもその申し出を断っていた。
さらに、フィオナは勇者デコピンに思いを寄せていると言う。
一方、オークにとっては人間の容姿など意味がない。必要なのは食えるか食えないか、だ。その点彼女の体は柔らかく、彼らにしてみれば最上級A5ランクを超える肉と言ってよかった。そして身代金の支払い期限は翌日に迫っており、もし支払われなければ、彼女はオークの餌食となることが決まっていたのだ。
これがアリアさんから聞かされた内容も含めた、フィオナ姫とオークについてである。ところが――
「ラット王が、死んだ?」
「それだけではありません! 王に従った我がオークの精鋭、30人も跡形なく」
「何だと!? それでは勇者デコピンは……?」
「分かりません。ただ、洞窟があった辺りは巨大な隕石が落下したようで広範囲に消し飛んでおり、おそらくは勇者デコピンも巻き添えを喰ったかと」
「そ、そうか」
オークたちの話を聞きながら、俺は透視を使って住人の人数を数えていた。イオナ姫によると、オークの村はいくつかあるらしい。ただ、その中でも人族に対して危害を加えてくるのは、このワカバ村の連中のみということだった。他はわりと友好的だそうだ。今、村にいるのは50人弱といったところか。
ちなみにラットは王と名乗っていたが、実はあれは自称であり、本当のオークの長は別の村にいるということだ。あの野郎、自称だったのかよ。
「シギン様、ラット王が死んだとすると、例の計画はどうするおつもりですか?」
「長老コイケ・ヤポ・テイト様の暗殺のことか」
「はい。テイト様のおられるホープ村は、我々の精鋭ほどではないにしても、強者が護っておりますので」
長老を暗殺する計画があるみたいだな。さっさとフィオナ姫を救い出して帰るつもりだったが、ここはもう少し話を聞いてみよう。
「暗殺の実行部隊は?」
「すでにホープ村の周囲に身を潜めているかと」
「勇者デコピンを倒した後、ラット王が指揮を執る手はずになっていたのだったな」
「はい」
「他の村々には脅しや、あのペチャ姫を攫って得た身代金を使って、根回しは済んでいる。ギルギール、実行部隊だけでもやれそうか?」
ペチャ姫って、きっとイオナ姫のことだよ。オークが胸の大きさで身代金の額を決めたって話、満更的外れだったというわけでもなさそうだ。口が裂けてもイオナ姫には言えないけど。
「はい、問題ないかと」
「たわわ姫の身代金の方はどうなっている?」
「用意するからもう少し待ってほしいと」
「そう言いながら勇者デコピンを仕向けてきたのだ。初めから支払うつもりなどなかったのだろう」
「では予定通り、明日には喰らってしまう、と?」
「いや、あのたわわな胸は喰らうには惜しい。俺が頂いて、毎夜顔を埋めて楽しむことにしよう」
「え〜」
ギルギールと呼ばれたオークはドン引きしていた。それもそのはず、シギンというオークの顔が、あまりにもだらしなかったからである。
ところでフィオナ姫の胸ってそんなに大きいのか。もしかして、エリスさんよりも大きいとか。これは早いとこ助け出して、確かめてみたい。い、いやいや違う。早いとこ助け出して、安心させてあげなくては。何てったって勇者デコピンに惚れてる、つまりは俺に惚れてるって女の子なんだから。
俺はここに来た時と同じように、イオナ姫の顔とフィオナという名を思い浮かべながら、転移のための呪文を唱えた。
「まほりくまほ〜りた〜」
ちちんぷいぷいのままでもよかったんだけど、美少女たちの前であれを唱えるのは恥ずかしかったから、ちょっと変えてみただけだ。
そして俺はすぐに、フィオナ姫が捕らえられている牢獄の前に転移するのだった。