表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/41

第4話 転生?

「それは、相手の防御力、属性無視で、HP(体力)依存の会心の一撃。出現確率は1/3」

「はい?」

「3回に1回の割合で、会心の一撃を出せるようですよ。こんな(レア)があったんですね」


 女神アターナー様も不思議そうな表情を見せている。いや、待て待て。それって何だかめちゃくちゃ凄くないか?


 俺のHPは、最高ランクのSSRを引いたお陰で1億だ。その桁外れなHP依存の会心の一撃が、1/3の確率で繰り出せると言う。まさに最強じゃね?


「きっと設定ミスでしょうね。でもHPのSSRはなかなか出ませんし、それと被って引くのは本当に珍しいと言うか……」

「そうなんですか?」

「だいたいHPは、相当運がよくてSRの10万。普通はRの1万か、Nの補正なしですから」


 Nは補正なしなのか。


「あ、今運営から修正が入るって連絡がありました」

「う、運営?」

「今後これのレアリティはSSRになるそうです」


「ちょ、ちょっと待って下さいよ! それじゃ俺は……?」

「安心して下さい。遥人さんの引いたRはそのまま、回収も修正もないそうです」

「よかったぁ」


「それにしても、10連で実質SSRを3つ引いたことになりますね。驚きです!」

「俺もですよ。攻撃力が2って聞いた時には落ち込みましたけど」

「そう言えば、遥人さんは強さが欲しかったんでしたっけ?」

「はい。ガキの頃、友達をいじめっ子から助けてやれなかったことがあったんで」


 小学生の時、たまたまテレビで観たボクシングの試合で、ボクサーの強さとタフさに憧れたものだ。しかし、病弱だったせいでボクサーになるという夢は、諦めざるを得なかったのである。


 そんな強さが異世界転生を機に、形は違えど手に入ることになろうとは。


「アターナー様には感謝しかありません」

「私はただ、遥人さんの応援をしていただけですよ。それにこのガチャシステムを開発したのはエルピスですし」


 言われてみれば、あのバカ女神がレアリティの設定をミスってくれたお陰だ。


「そのエルピスですけど、どうやらミスの代償として格下げされるみたいですね」


「女神が格下げ、ですか?」

「はい」

「どうなるんです?」

「遥人さんの行く世界の……」

「俺の行く世界の?」

「魔王です」

「はい〜?」


 負ける気はしませんけど。


「め、女神からいきなり魔王、ですか?」

「まあ、魔王と言ってもあの世界では……あ、これは遥人さんがご自分で確かめられた方がいいですね」

「いや、分かってるなら教えて下さいよ」

「そんなことより」


 そんなことって。


「遥人さんは、赤ん坊から始めるのは面倒と言われたようですね。それと、可愛いお姫様と仲良くなりたいとも」

「ええ、まあ。あれ? そう言えばアターナー様は何故それを?」

「テロップのログに残ってました」

「ログ……」


 なるほど、それで俺が強くなりたいと願っていたことも知っていたのか。


「この希望は、色々と珍しい体験をさせてくれた遥人さんへの、私からのプレゼントとして叶えて差し上げます。ただ、努力はしますがお姫様というのはお約束が難しいので、女の子ということで納得して下さい」

「もちろんです! ありがとうございます」


 なんにしても、オギャーから始めなくて済むのはありがたい。それにお姫様じゃなくても、可愛い女の子と仲良くなれるのなら問題ない。


 しかし、家族とかはどうするのかな。ま、そっちはぶっちゃけどうでもいい。


「それでは、新たな世界での遥人さんに、幸多からんことを」


 この後、俺の頭の中に、これから飛ばされる世界の基礎的な情報がなだれ込んできた。言語や風習、与えられた能力の使い方などだ。


 それによると、今度の世界は海を隔てて大きな大陸が3つあるらしい。そこで暮らしている種族も多種多様で、獣人やエルフなんかもいるようだ。まさにラノベに出てくるような、ファンタジー世界そのものである。


 俺はそのうちの1つ、ヂッポライター大陸の、アークマイルドという王国に転生する。どこかで聞いたような名前だが、文明レベルは俺が理解出来る程度に、日本より少し遅れたくらいということだった。


 他には、陸地にも海にも魔物が存在する。ただし、敵対する者ばかりではなく、友好的な魔物もいるようだ。魔物の中には他種族相手に商売し、それで生活している者もいるらしい。


 ちなみに魔法は、頭の中で起こってほしいことを想像し、同時に何でもいいから呪文を唱えると使えるみたい。それこそ、ちちんぷいぷいでもよさそうだから笑える。


 さて、ここから俺の新たな人生が始まるというわけだ。果たして、どんな世界なんだろう。楽しみで仕方がない。


 それから程なく、自分の体が横たわっているのを感じ、俺はゆっくりと目を開けるのだった。


◆運営とは◆

 ゲームを配信し、この仕組みを使って利益を得ている組織のことを『運営』という。運営はゲームに様々な機能を提供し、利用者を飽きさせないようにして、継続的に利益を得る努力をする。

 運営の方針に納得出来なければ、利用者はゲームをやめるか、泣く泣く続けるかの選択肢しかない。もちろん、横暴が続けば利用者が減り、運営そのものの存続が危うくなるのは当然である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ