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第13話 見たでしょ?

一応念のため

セレーナ=ハルトです


「あの、ハルトさ……じゃなくてセレーナさん?」

「なぁに?」

「この格好は……」


 やった、やったよ、母さん! 俺はミルフィーユさんに制服をプレゼントしたのだ。オーソドックスなセーラー服で、リボンは黄色。ただし、スカートは膝上20センチくらいである。


 思った通りめちゃくちゃ似合ってて可愛い。それに、普段彼女が着ているメイド服もミニスカタイプだから、着るのにあまり抵抗はなかったようだ。ただ、制服の薄い生地とヒラヒラするスカートはちょっと気になるみたいだけどね。


「それはね、俺……じゃなくて私の国の制服っていうの。学生は皆それを着て学校に行くのですわよ」

「でも私は学生じゃ……」

「何を言っているの、ミルフィーユさん。貴女はこれから私に魔法を習うんでしょ? だったら学生と同じじゃない」


「それはそうだけど……風でスカートめくれたりしないかな」


「大丈夫よ、女同士じゃない」

「ハ〜ル〜ト〜さぁん?」

「いやぁねぇ、私はセレーナよ」

「うう……」


 そうそう、今日のデイリーガチャはNの女子力、補正値+10が被ったんだけど、そのせいか何となく裏声が女の子っぽくなった気がするよ。


「それじゃ始めるわよ。まずそこでクルッとターンして」

「た、ターン? それに何の意味が?」

「必要なことなの。スカートは押さえちゃダメよ」

「ハ〜ル〜ト〜さぁん?」


「ミルフィーユさん、いい? これから私が貴女に教えるのは毒消し魔法ってことは分かってるわよね?」

「え? ええ、まあ……」

「毒消し魔法は最低でも会得に5年はかかるということも」

「うん……」


「それを今日1日で教えようとしているの」


「きょ、今日1日で!?」

「そう。だからとにかく私を信じて、言われた通りにするのよ」


 もちろん、魔法を教えるのにクルッとターンは必要ない。単に俺が見たいだけだ。


 しかし、毒消し魔法を彼女にあげるのも魔力の進呈も、やれば一瞬で終わってしまう。それではこの後の時間を持て余してしまうし、修行したことにもならない。なら、ちょっとくらい楽しんでもいいじゃないか。


「わ、分かったわよ。ターンすればいいのね?」

「そうよ。さ、早く」

「……」


 ミルフィーユさんの顔が、恥ずかしさからか真っ赤になっている。しかしどうやら覚悟を決めたようだ。彼女は足に力を入れると、その場でクルッと体を回転させた。お、惜しい。あと少しのところでパンツが見えなかった。


「こ、これでいい?」

「ダメよ」

「え!?」


「片足をこうして、両腕はこう。それでこうして連続して回るのよ」


 俺は昔テレビで見た、バレエのようなターンを即興でやって見せた。


「そ、そんなに早く回ったら……」

「回ったら、何?」


「パンツが見えちゃうよ」


「ミルフィーユさん」

「な、何よ?」

「私が貴女のパンツを見るために、こんなことをさせてると思ってるんじゃない?」

「思って……る」


「ああ! 嘆かわしいわ!」

「ハル……セレーナさん?」


「パンツが見えるくらい何よ! もしかしたらこの先、貴女の入浴中に毒で苦しんでいる人が運ばれてくるかも知れないのよ。そんな時に貴女は、恥ずかしいからと悠長に服を着てから治療するの? その間に毒が回って、死んでしまうかも知れないのに」

「う、そ、それは……」


 ありゃ、本気で悩んでいるみたいだ。さすがにちょっと罪悪感を感じるよ。ここは、どんな状況よって感じでツッコんでくれると思ってたんだけど。これ以上は可哀想だな。うん、やめてさっさと毒消し魔法と魔力をあげることにしよう。


「もういいわ」

「え?」

「ターンはお終い」

「あ、あの、それって……?」


 ミルフィーユさんの様子が何だかおかしい。今にも泣きそうな顔で俺のことをじっと見つめている。どうしたんだろう。


「もう、魔法を教えてくれないってこと?」


「え? いや、あの……」

「やります!」

「はい?」


「ターン、やります!」


 言うと彼女は、俺が見せた通りに連続ターンをやってくれた。お陰でピンクのパンツが見えたよ。見えたけど、何だか後味が悪い。


「こ、これでどう?」

「うん、まあ……」

「も、もう1回やります!」

「あ、いや、そうじゃなくて……」

「?」


「ごめん、これにはその、意味がないというか」

「え?」

「ほ、本当にごめん!」


 またほっぺぶたれるのかな。そう思って歯を食いしばったのだが、彼女の平手が飛んでくることはなかった。そこで恐る恐る目を開いてみると、不安そうに俺に目を向けている彼女の顔があった。


「それじゃ、魔法を教えてくれるっていうのも嘘なの?」


「あ、いや、それはちゃんと教えるよ」

「よ、よかったぁ」

「え?」

「見たでしょ?」

「はい?」


「私のパンツ、見たでしょ?」


「はっ! それは……」

「もう! ハルトさんが、私のパンツを見ようとしてることくらい分かってたよ」

「えっと……」


「あんなことしなくても、ちょっとくらいなら……」

「今、なんて?」


「魔法を教えてくれたお礼に、ちょっとくらいなら見せてあげてもいいと言ったの!」


「そ、それじゃ!」

「でも今日はダメ!」

「え、どうして?」


「だってもう、見たでしょ!」


 とほほ。あれ、でも待てよ。ミルフィーユさんは確か今――


「あの、今日はって……?」

「え?」

「今日はってことは、明日ならまたいいってこと?」

「そ、そういう意味じゃなくて! ハルトさんが私に何かしてくれて、そのお礼にならって意味!」


 あ、なるほど。そういうことか。俺が彼女にしてあげられることって、魔法に関すること以外に何があるかな。


「その代わり……」

「うん?」


「その代わり、他の女の子のは見ちゃダメ!」

「え?」


「特にエリスさんのはダメ!」

「はぁ?」

「だってエリスさん、可愛いから」


 もしやこれって。いやいや、まさかそんなことあるわけがない。ミルフィーユさんが俺のことをそんな風に……


「分かった。ミルフィーユさんのだけ、見ることにする!」

「なっ! そ、そう簡単には見せてあげないんだから!」


 スカートの裾を押さえながら俺を睨みつけている彼女も可愛い。事故とはいえ、俺この子とキスまでしたんだよな。


 それから約束通り、彼女に毒消し魔法をプレゼントした。やり方は簡単。ただ念ずればいいだけだ。


「これが……これが毒消し魔法のイメージ!」

「魔力値も上がってると思うよ」

「ほ、本当に!?」

「うん」


 そんな時だ。アリアさんが慌てたように俺たちのところに駆け寄ってきた。


「ハルト!」

「アリアさん、どうしたんですか?」

「フィオナ姫が、また(さら)われた!」

「な、何ですって!」


 俺たちはすぐに、イオナ姫の部屋に向かうのだった。


現在6回目までのデイリーガチャ結果です。


1 女子力、補正値+10 N

2 魔導師のステッキ R

3 毒消し魔法 N 進呈OK

4 魔力値 SR 進呈OK

5 セカンドステータス

6 女子力、補正値+10 N


ラストは何でしょう(^o^)


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