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瑠璃と百合と姫と魔女  作者: 山原くいな
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『親愛なるホルンへ


元気でやってるかな? わたしたちは元気だよ。毎日楽しい。

ホルンの毎日も、幸せで彩られてたら、わたしも嬉しいよ。


さて、いつもの書き出しで始まったこの手紙だけど、今回は重要なお知らせがあるの。

……今、『結婚式のことなら知ってるッスよ?』って思ったでしょ? ホルンのことならお見通しなんだからね。


へっへー。残念だけど、その予想は大はずれだよ。

まァこんなの、どお頑張っても当たるわけないけどね。


お知らせってゆうのは、そっちに深海竜(リヴァイアサン)が行ったってことだよ。


うん、読み間違いじゃないから何度も読まなくていいよ。

深海竜(リヴァイアサン)だよ、間違いなく。でも安心して。人懐っこい子だから。


今、小旅行に来てるんだけど、その途中で降りた湖でね、偶然逢ったんだよ。……その通り、特殊個体だよ。


で、そっちって、アイリスさんがいない間、ホルン一人でしょ? だからわたし、心配してたんだよね。

わたしが偶然リリィのところに流れ着いたみたいに、そこにも誰かが来ないとも限らないでしょ? 更に言えば、その人は悪いやつかもしれない。

そんな可能性、殆どゼロだとわかってはいるんだけどね。


でも、うちのリンちゃんみたいな子がいてくれればいいのに、って常々思ってたの。そしたら深海竜(リヴァイアサン)も、友達が欲しいってゆうじゃん。

これはもう紹介するしかない! って、そこの湖を教えたの。


事後承諾になっちゃったのはごめん。でもホルン、動物好きだよね? だから仲よくなれると思う。


とゆうわけだから、驚かないで──は無理かもしれないけど、心構えだけしといて。

護衛兼ペットくらいに考えてくれればいいからさ。


あと最後に、名前はベラトリクスだよ。ベラ、ベラト、好きに呼んであげて。


じゃ、またね♡


──ラピスラズリより』




『親愛なるホルンさんへ


お元気ですか? わたくしたちは元気です。姉さまは毎日可愛いですし、リリィ義姉(ねえ)さまは毎日綺麗ですわ。


ホルンさんのことですから、姉さまの手紙を先に読んで、あらましは知ってると思います。かなり賢いいい子なので、ベラトリクスをよろしくお願いしますわ。


さて、殆どを姉さまが説明しましたので、わたくしからは今回の小旅行の目的をお教えしますわ。

それはリリィ義姉(ねえ)さまのお師匠さまに、結婚の報告をするためですの。


…………今更ながらわたくし、なんでついて来てるんでしょう? 姉さまとリリィ義姉(ねえ)さまの結婚ですのに。

明らかに異分子ですわよね、わたくし。

…………まァ、細かいことは気にしないことにしましょう。邪魔をするつもりもありませんし。


さておき、です。

そのお師匠さまが住んでいるところとゆうのが、絨毯で20時間以上かかる距離なんですの。そんなに長時間、姉さまに怖い思いはさせられないと、リリィ義姉(ねえ)さまが新しい乗り物を作ってくださったんです。ですが、それでも1日で行くには無理があるので、キャンプをしたんですわ。


キャンプ。なんと甘美な響きでしょうか。わたくし、初めてのキャンプで、柄にもなくはしゃいでしまいましたわ。王女時代はこんなこと、考えられませんでしたもの。


いつかホルンさんとも一緒に、旅行やキャンプができる日を待ってますわ。


話を戻します。

そのキャンプ地でベラトリクスに逢ったのは、姉さまの手紙で知っていると思いますわ。なので割愛しますわね。


ともあれ、旅行中ですので、手紙をいただいてもすぐに返事はできないと思いますの。向こうに着いたらまた連絡いたしますので、楽しみにしていてくださいまし。


それでは、また。


──セラフィナイトより


追伸

ホルンさんとアイリスさまのこれからに、幸多からんことを』




『親愛なるアイリスへ


元気かしら? あたしたちは元気で楽しくやってるわ。このくらいは、定期連絡で知ってることよね。


えっと、なんでいきなり手紙を書いたかとゆうと、ラピスとセラにせっつかれちゃったのよ。ホルンちゃんだけが手紙を貰って、アイリスに一通も行かないのは可哀想だって。


だからこおして筆を執ったの。ぶっちゃけ、なにを書けばいいか、まだわかってないわ。


…………本当になにを書きましょうか?

改まって手紙を書こうとすると変な感じになるわね。


深海竜(リヴァイアサン)とか、師匠に挨拶しに行くこととかは、ラピスとセラが書くでしょうし。本格的になにもないわ。


…………ラピスとセラの話していい?


いや、内心複雑なのもわかるけど、よく考えてみて。

あたしがここに、ラピスとセラの可愛いエピソード書くでしょ? それをホルンちゃんが読むでしょ? すると、ラピスとセラのことが大好きなホルンちゃんは、眩しいくらいの笑顔を──お? なんかノリ気になったわね。

わかるわ。好きな人の笑顔程、見ていて嬉しいものはないものね。その原因が自分じゃないってゆうのは、ちょっともやっとするかもしれないけど、そこは飲み込んでちょうだい。


じゃあ書きましょうか。


あれは8の月の最後の日だったわね。

その日、夜ごはんは鍋焼きうどんだったの。グツグツのやつ。

夏なのに季節感ないなァって思ってたんだけど、ラピス曰く、暑いからこそ熱い食べ物らしいわね。まァうちは年中快適だから、なにが出てきても美味しくいただくんだけど。


話が逸れたわね。

そのうどんを食べて、ラピスが口の中火傷(やけど)しちゃったのよ。魔法で治せば一発なんだけど、セラが凄くあわあわしててね。可愛いからしばらく眺めてたんだけど、なにを思ったのかいきなりラピスにキスしたの。舌入れるやつ。


で、終わったらラピスに言うのね。「……火傷したのは、今舐めたところで合ってますか?」って。口の中だからわざわざ舐める必要なんてないのに。ホント可愛いわ。

ラピスも消え入りそうな声で「…………うん」ってゆうし。あたしの彼女と義妹(いもうと)、めちゃくちゃ可愛いのよ♪


他にもいくらでも可愛いエピソードはあるけど、今回はこのくらいでやめとくわ。紙幅(しふく)の関係もあるし。


アイリスも、ホルンちゃんとのエピソードがあったら教えてね?


じゃあまた。結婚式で会いましょう♪


──リリィより』

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