表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瑠璃と百合と姫と魔女  作者: 山原くいな
76/433

76

リビングでイチャついていると、飲み物を取りに来たセラに見つかった。


「あ! なに羨ましいことしてますの! わたくしもまざりますわ!」


と言って突貫してくる始末。

その際、リリィは可愛いと言われ慣れていないと、ラピスが暴露。このことから姉妹で可愛い可愛いと連呼して、リリィを赤面させることになったのはご愛嬌である。


一頻(ひとしき)りイチャイチャして、セラからなんの話をしていたのかと質問された。ラピスはそれに答える。


「えっとね、結婚したあとの呼び名の話とか、リリィの師匠の話とか」

「リリィ義姉(ねえ)さまの師匠! ちょっと興味ありますわね」

「ふふ、そのうち会えるわよ」


リリィは笑って答える。

その師匠に会える日を、ラピスとセラは楽しみに待つのだった。


体勢を変えてまだまだトークは続く。

今度はセラを真ん中にして、ラピスとリリィで挟むように座った。二人がけのソファーに、3人で並んで座っているためぎゅうぎゅうである。

だがそれがいいとばかりに、彼女たちは更に密着度を高める。


セラは二人の姉に挟まれて上機嫌だし、妹大好きなラピスももちろんご機嫌。そして最近シスコンに目覚めたリリィも、義妹(いもうと)の可愛さにうっとりしていた。


「ああ、セラもやっぱり可愛いわね♡」

「でしょ!? 世界一可愛いでしょ!?」

「世界一はラピスよ」

「世界一は姉さまですわよ」

「なんで!?」


セラの可愛さの布教をしようとしたラピスだったが、始まる前に呆気なく頓挫した。ホルンにも裏切られたし、いよいよ諦めるしかないかもしれない。


気持ちを切り替えてラピスは言う。


「それはそうとさ。リリィの師匠に、挨拶しに行ったほうがいいんじゃないかな?」

「あ、結婚するって? ……そおね。それもいいかも」

「思ったより早く、お師匠さまにお会いできそうですわね」


和気藹々とこれからのプランを話す。師匠のところに行くことは決定事項となった。


「手土産とかどうしよう? 甘いものは好きかな?」

「師匠は完全に子供舌ね。ケーキとか、クレープとか好きだったわ」

「姉さま姉さま。大福を持っていきましょう」

「セラが食べたいだけでしょ? でも、それもいいかもね」

「あたしも食べたい」

「中に苺を入れてくださいまし」

「だから手土産だってば」


手土産は苺大福に決まった。主に、リリィとセラの強いリクエストで。


「一つ、大きな大問題があるわ」

「なにその『頭痛が痛い』的な言い方」

「問題ってなんですの? リリィ義姉(ねえ)さま」

「…………師匠の家、遠い」

「………」

「どのくらいですの?」

「……絨毯で20時間」

「…………ほぼまるいちにち」

「姉さま! 気を確かに!」

「…………さすがに酷だから、もっとスピードが出るように改良するわ」

「……お願いします」

「わたくしからもお願いしますわ。姉さまの心の安寧のためにも」


移動手段を改良することに決まった。

ラピスの心労も、少しは減るだろう。


「失礼のないようにしなければいけませんわね」

セラは(・・・)、そのままでだいじょうぶよ」

「え? なに? わたしは問題あるみたいじゃん」

「姉さまはたまに口調が乱れますからね」

「最初はアイリスに敬語だったのに、うっかりタメ口になってたし」

「……気をつければだいじょうぶ。うん、意識して話せば」

「行く前に練習しますか?」

「まァ、師匠は細かいこと気にしないから、多分タメ口でも平気よ」

「最初にゆってよ、それ」


言葉遣いや礼儀の再確認もした。敬語があまり得意ではないラピスもいるが、無礼ではないのでだいじょうぶなはずだ。


色々と話し合い、空飛ぶ絨毯の改良が済み次第出発すると決めた。改良には最低でも5日はかかるとのこと。それまではいつものように過ごす。


ところで。

たったの5日で改良できるのに、どうして今まで改良しなかったの!? とラピスがキレたことを、一応追記しておく。

ちなみにリリィの答えは、「怖がるラピスが可愛いから」、だった。

ラピスが更にキレたことは、語るまでもないだろう。




夕食時。

今日のメニューはドリアだ。海鮮がたっぷり入っていて美味しい。

半分はバターライス、もう半分はケチャップライスになっており、食べる者を飽きさせない工夫が為されている。


美味しそうに食べる二人を見て、ラピスも嬉しくなる。

そのタイミングで、大事なことを訊いていないことを思い出した。


「そういえばさ。リリィの師匠の名前、なんてゆうの?」

「ん? ……ごくん。ゆってなかったかしら? 師匠の名前はサクラ・コンゴーよ」

「変わった名前でふわね」

「セラ、行儀悪い。……でも、サクラ・コンゴーか……」


食事の手を止めて、ラピスは考え込む。それを訝しく思ったリリィが彼女に訊ねた。尚、こちらは食事の手を止める気配はない。


「ラピスどおしたの? なんか引っかかる?」

「あ、うん。もしかしてリリィの師匠、東の島国の出なんじゃないかな?」

「え? …………遠いところから来た、とはゆってたけど」

「サクラ・コンゴーって珍しい名前でしょ? でも、『金剛桜』だったら、東の島国にありそうな名前になるんだよね。お師匠さん、黒髪だったりしない?」

「! よくわかったわね。その通りよ」


やっぱり、とラピスは頷く。

物識りという話だし、東の島国のことを訊いてみようと決意する。俄然会うのが楽しみになったラピスだった。




食事を終えてティータイム。今日はコーヒーだ。もっとも、ラピスとセラはカフェオレだが。

3人で並んで座り、まったりとくつろぐ。

ストローで飲みながら、ラピスはリリィに寄りかかる。不思議と、昨日よりも幸せな気がした。


「……えへへ♪」

「あら? なんかご機嫌ね」

「うん。なんかね、昨日より幸せだなァって思ってね♡」

「ふふ。そんなの当たり前じゃない」


リリィは笑う。ラピスはわからずに首をかしげた。

すると反対側からも笑い声が聞こえた。セラも笑っていたのだ。


「ふふ、姉さま。リリィ義姉(ねえ)さまの仰る通りですわよ。なにせ──」


セラはリリィに目配せする。リリィは頷いた。


「なにせあたしたち、昨日よりも今日のほうが、ラピスのこと好きだもの」

「──…あ」

「もちろん今日よりも明日のほうが好きだし、それは毎日更新されていくのよ♡」

「そおですわよ、姉さま。だから昨日より今日のほうが幸せなのは、当たり前のことです♡」

「……あはは、そおだね。確かにわたしも、昨日より今日のほうが、リリィとセラのこと好きだよ♡」


3人で柔らかく微笑む。

今日のカフェオレは、いつもより少し甘かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ