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瑠璃と百合と姫と魔女  作者: 山原くいな
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引き続きトークタイム、兼、ふれあいタイム。

ラピスとセラは全身を使って抱き合っている。少しでも触れ合う面積を増やそうと必死だ。

結婚を意識すると相手への愛が際限なく大きくなり、居ても立ってもいられずこの体勢になったのだ。

リリィはセラに寄り添い、彼女の頭を撫でている。いずれ更なる幸福を掴む義妹(いもうと)を、彼女なりに祝福しているのだ。


体勢を変えずに色々なことを話す。相手への理解がより一層深まった。

そんな中、この流れなら訊けると思ったのだろう。セラは意を決して1つの質問をしようと決めた。


「──姉さま。リリィ義姉(ねえ)さま。ちょっと訊きづらいですが教えてください」

「なに?」

「なにかしら?」


セラは唾をごくりと飲む。


「…………初夜ってどおでした?」

「ふぁっ!?」

「へぁっ!?」


新婚の二人は揃って奇声をあげた。そして凄いスピードで赤面する。

意表を突かれた二人とは違い、セラは覚悟が完了している。恥ずかしそうに言葉を重ねた。


「わたくしもいずれ……てゆうか、欲を言えばすぐにでも姉さまと──ゴニョゴニョしたいんですが……」


セラの顔も赤いが新婚の二人はもっと赤い。羞恥のあまり、声の出し方を忘れる程だ。


「そのときになれば身体が勝手に動くと思うんですけど、それでも予習はしておきたいので……」

「……えっと……真面目な話?」

「はい。真面目な話ですわ」


ようやく絞り出したラピスの問いに、セラは真顔で答える。

内容はアレだが、可愛い妹の真面目な質問だ。シスコンである自分が妹の頼みを断れようか。いや、断れない!

と、内心で己を鼓舞して、ラピスは動揺を抑える。更に深呼吸を数回繰り返してから、抱き合っている所為で至近距離にある妹の顔を正面から見つめた。


「……わかった。話すよ」

「ラピス!?」


リリィは驚愕の声をあげる。

流石の彼女も、初夜のことを赤裸々に語るのには抵抗があるのだ。だがそれは嫌という意味ではなく、恥ずかしさからくる抵抗であったが。


ともあれ、愛する妻が了承したのだ。ここで自分がごねても結果は変わらない。なにより、それは良妻であろうとする矜持にもとる。

そこまでを一瞬で考えたリリィはため息を1つ。頷くことでラピスにゴーサインを出す。

彼女たちは代わる代わるあの夜のことを語った。




5分後。


「あのときのリリィは本当に可愛くてね♡ もう何回も何回もわたしの名前を呼んでくれて♡ その度にわたしもどんどん気持ちよくなっちゃって♡」

「ラピスはとっても敏感なの♡ 身体のどこに触っても可愛い声を洩らしちゃってね♡ その上あたしのことを何度も呼んじゃって、可愛すぎるわ♡」

「あとあと、セラがくれたベビードール、あれ凄いね♡ リリィの魅力が何百倍にもなってたよ♡」

「それをゆうならラピスのほうよ♡ あのときのラピス、冗談抜きで人外の美しさだったわ♡」


──立て板に水、という表現がぴったりな程に喋り続けるラピスとリリィ。あんなにも恥ずかしがっていた二人はどこへ行ったのか。


語り始めこそはラピスもリリィも、もちろんセラも頬を染めて、ぼそぼそと喋るだけだった。

だが話がさわりの部分に突入して、彼女たちは吹っ切れた。開き直ったともやけくそとも言う。


さっきまでのぼそぼそ声が嘘のように声を張り、それこそ自慢気に喋る。喋る。喋る。

話さなくてもいいことまで喋る。例えば行為に及んだ時間や達した回数など。憶えている限りを、微に入り細を穿ち、事細かに語り尽くす。


全てを語り終えたとき、ラピスとリリィは心地よい達成感すら感じていた。

反面セラは、まさかここまで赤裸々に語るとは思っておらず、最初とは立場が逆転したように赤面していた。


「…………ご、ごちそうさまですわ」


やっとの思いでセラはそれだけを口に出す。二人は優しくはにかんで頷いた。そして──


「………………」

「………………」


自分たちがなにを口走っていたのか思い出して、冷静になって、恥ずかしくなって、顔から湯気が出そうなくらいに真っ赤になるのだった。

話を始める前と同じ絵面が完成した。


誤魔化すように、ラピスとセラは抱き合う力を強める。リリィも後ろからセラを抱きしめる。

このまま有耶無耶にしてしまおうと、言葉にせずとも通じ合った。


「……そろそろお昼時だよね」

「で、ですわね。街を探しませんと」

「……ええ。美味しいものがあるといいわね」


『頑張って日常に戻ろうとしている』感が強い。わかりやすくたどたどしい会話だ。


「あ、わたし寄りたいところがあるの」

「そおなんですの?」

「寄り道も旅行の醍醐味よね」


だが彼女たちクラスの仲のよさになれば、そんなたどたどしい会話でも、日常に戻るきっかけとしては充分だった。

顔色も元に戻って、ラピスが寄り道を提案する。リリィもセラも快くそれを了承した。


「ねェリリィ。今どの辺飛んでるかわかる?」


マジックバッグから地図を取り出してリリィに訊く。彼女は窓から太陽の位置や、山、湖、海岸線などを一瞥して、「この辺ね」と地図の一部を指し示した。


「ありがと。じゃあちょっと進路を南に寄せてくれる?」

「わかったわ」

「姉さま。寄りたいところってどこですの?」


セラが疑問を呈す。ラピスは笑顔で答えた。


「テンジクだよ」

「テンジク?」

「うん」


彼女は悪戯が成功したときのように笑ってつけ足す。


「リリィとセラが気に入ってくれた、カレー発祥の国だね♪」

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