表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瑠璃と百合と姫と魔女  作者: 山原くいな
149/433

149

2時間弱眠って、ラピスとリリィは目を覚ました。

睡眠不足解消、頭もスッキリ、体調も万全だ。


「おはよう、セラ」

「おはよ、セラ」

「おはようですわ、姉さま。リリィ義姉(ねえ)さま」


寝起きの挨拶とキスを交わす。

セラに飛行状況を聞いたが、なにも問題はなく、順調なフライトを続けていたそうだ。


お昼休憩まではまだ時間があるので、スキンシップをしながらトークを楽しむ。そのトークで、セラはこんな質問をした。


「姉さまって、本当は『お姉ちゃん』って呼ばれたかったりします?」


実は前々から気にはなっていたのだ。

たまに使う一人称は“お姉ちゃん”だし、『お姉ちゃん命令』なるスキルを持っているし。

だとするなら、セラは呼び方を変えるとこもやぶさかではなかった。

しかしラピスは首を横に振った。


「んーん。わたし、セラに『姉さま』って呼ばれるの好きだよ。そんなセラがたまに『お姉ちゃん』って呼んでくれるのも、それはそれで嬉しいけど」

「では今まで通り『姉さま』で。でもたまに『お姉ちゃん』とも呼びますわ」

「うん。お願いね♪」


続いてリリィに向き直る。


「ちなみにリリィ義姉(ねえ)さまは……」

「あたしも『リリィ義姉(ねえ)さま』って呼ばれるの好きよ♪ これからもそお呼んでくれると嬉しいわ」

「わかりましたわ、リリィ義姉(ねえ)さま」


新婚旅行というタイミングで、このことを訊ねたのはセラなりのけじめ──というより、1つの区切りだった。

これから先、何年何十年、何百年何千年とともに生きていく予定なのだから、呼び方というのは(こと)(ほか)重要だと思ったのだ。


1つの懸念が片づいたので、セラはホッと胸を撫で下ろす。

別にターン制というわけではないのだが、セラのターンが終わったので、次は自分の番とばかりにリリィが質問をする。


「じゃあ次はあたしね。ラピスとセラはいつ結婚するの?」

「……はぇ?」


あまりにも予想外すぎる質問に、ラピスは変な声が出た。一方セラは然程驚いてはいない。それどころか唇に指を当てて、平然と未来の可能性を考えている。


「んー、そおですわね。姉さまの気持ちの整理ができたらで構いませんわ。それこそ、100年後であろうとも」

「気長ねェ……。本当にいいの?」

「はい。多分ですけど、結婚したとしても今のお二人と同じように、劇的に関係性が変わるとかはないと思いますので」

「それもそおね。ラピス。ちゃんと受け止めてあげるのよ?」

「え? あ、うん」


ラピスとしては青天の霹靂だったのだが、セラとの結婚が嫌というわけではない。むしろ望むところだ。

なので驚きこそすれ、拒否するような話ではなかった。


「(そっかァ、セラとも結婚するんだァ、わたし)」


重婚になってしまうが、当の本人であるリリィが許可しているので特に問題はないだろう。

それに、リリィとセラに優劣をつけるのにも抵抗があったところだ。ラピスはそう考えて、真剣にセラとの結婚を視野に入れ始めた。


続いてラピスの質問ターン。完全にターン制が定着している。

といっても、ラピスにはすぐに質問したいことなどない。少しの間黙考して、口を開く。


「えっと……じゃあ、セラとの結婚なんだけど、式はどおする? レイシアさんのところに行くのはさすがに遠慮したいんだけど。ほら、姉妹で結婚する人はあんまりいないだろうし」


あんまりではない。


「それに重婚って、嫌な顔する人も多いだろうし」

「そおね。いくらあたしたちは納得済みでも、いい顔はしないでしょうね」

「…………わたくしの希望をゆってもいいですか?」


おずおずとセラは手を挙げる。シスコン二人はすぐさま発言を許可した。


「──わたくしとしては、身内だけで挙げる式に憧れていますの。わたくしと、姉さまと、リリィ義姉(ねえ)さまと、ホルンさんくらいで、こぢんまりとしたものが望ましいですわね」

「あー、それもいいね。司会とかは?」

「いりませんわ。邪魔です」


にべもなかった。

昔よりは他人に興味を持つようになったセラではあるが、根っこの部分は変わらず『筋金入りのシスコン』である。

姉と、姉が大事に思っているもの以外はどうでもいいというスタンスは、依然として変わっていなかった。


「でもうちでやるとなると、ウェディングドレスはどおするの? ラピスの分は大事にしまってあるけど」

「それなんですわよね。ドレスだけ注文したら変な目で見られてしまいますし」

「う~ん。……わたし、縫おうか?」

「「!!!?」」


ラピスの爆弾発言が炸裂した。


「つ、作れますの!? 姉さま!」

「へ? うん。多分」

「本当に!? あれ、並のクオリティじゃないわよ!?」

「時間はかかるけどね。3~4ヶ月かかるかも」

「……お手間でなければ、是非姉さまにお願いしたいですわ。デザインは僭越ながらわたくしが担当いたします」

「わかった。任せて。最高の仕上がりにするから♪」


……というわけで。

リリィの発言からラピスとセラの結婚が決まり、更にはウェディングドレスの作成を姉妹ですることが決まった。

半ば流れで決めた感もあるが、この姉妹は遅かれ早かれ結婚していたことだろう。


ただの姉妹愛と呼ぶには深すぎて、シスコンと呼ぼうにも明らかに言葉不足。

過去には身分が邪魔をして、自由な恋愛をできない時期もあった。


だが今は違う。


自由を手に入れて、心配事もなくなった。幸せな生活を手に入れ、新しい家族もできた。


そんな彼女たちが結婚することは、世間一般の考えを無視すれば極々自然なことだ。

なぜなら彼女たちは、既に生涯をともにすると心に誓っているのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ