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瑠璃と百合と姫と魔女  作者: 山原くいな
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風呂でも当然のように3人でイチャついて、程よく温まってから風呂からあがる。

それから冷たい飲み物を用意して、明日からの新婚旅行についての話し合いを始めた。


「何泊くらいする? あとわたし、本場の味噌と醤油が欲しいな。あとお米」

「それはあたしも欲しいわね。で、あたしとしては5泊くらいを予定してるわ」

「そのくらいかァ。まァ、楽しかったらもう1泊くらいの融通は利くよね。セラもそれでいい?」

「……へ?」


自分には関係ない話だと思って聞き流していたセラは、ワンテンポ反応が遅れた。


「ね、姉さま? 新婚旅行ですわよね? わたくしも行くんですの?」

「そおだよ? 当たり前じゃん。ねェ? リリィ」

「ええ。気兼ねしないでついてきなさい。『お義姉(ねえ)ちゃん命令』よ」

「む。……『お義姉(ねえ)ちゃん命令』なら仕方ありませんわね」

「……あたしにも使えたわ」


ノリで言った『お義姉(ねえ)ちゃん命令』だったが、意外なことに効果を発揮した。いや、別に意外ではないかもしれない。

リリィもセラも、義理ということを感じさせないくらいに順調にシスコンを加速させていた。


ということでセラも一緒に、3人で新婚旅行に行くことになった。なんかもうこの3人、新婚とかシスコンとか関係なく仲よすぎだ。


「『新婚』と『シスコン』って似てるね」


それはどうでもいいからスルーしなさい。


「見所ってどこなのかしら? 確か、独自の文化を築いてるのよね?」

「そおだねェ、まず建物の様式が違うらしいよ。ちょうど桜さん()みたいな感じ」

「ああ、わかりやすいですわね。扉が横開きで畳があって、って感じですの?」

「うん、まさにそれ。あとはお城が格好いいって、ものの本に書いてあったよ。残念ながら絵は載ってなかったけど」

「ヘェ、期待が高まるわね。じゃあお城は要チェックね」

「美味しいもの巡りもしたいし、現地の人に訊けば教えてくれるよね」

「でしたら現地のかたに観光名所を訊くのも手段()ですわね。むしろそのほうが穴場とかもわかるかもしれません」

「つまり、行き当たりばったりね」

「リリィ。言い方」


そんな風に和気藹々(あいあい)と旅行の予定を詰めていく。そしてその実なにも決まっていない。

しかし彼女たちはそれでも構わなかった。なぜなら、このメンバーで行くのなら、どこへ行こうと楽しくなるに違いないのだから。




歯を磨いて、3人でベッドに入る。寝るときは必ずラピスが真ん中だ。

ちなみに、以前セラが気を利かせて「3日に1回くらい、わたくしは客間で寝ましょうか?」と提案したのだが、ラピスとリリィは顔を真っ赤に染めて消え入りそうな声で「「…………10日に1回でお願い」」と頼んだ一幕もあった。


それはさておき。

ベッドに入ってからもおしゃべりは続く。ある意味、旅行で1番楽しいのは、計画を立てているときだったりするのだ。


とはいっても、どこになにがあるかわからないのだから、自ずと想像で話すことになる。なのですぐに行き詰まり──


「…………師匠に訊いてみましょうか?」


ということになった。

東の島国出身であるサクラならば、見所や名所、絶対に見たほうがいいものなどを教えてくれるだろう。


彼女たちは1度起き上がり、リリィが代表して手紙を書くことにした。サイドテーブルですらすらと手紙をしたためる。

訊きたいことをまとめて手紙を便箋に容れると、すぐに門手鏡(ゲートミラー)に投函した。


幸いにも彼女はまだ起きていたようで、然して間を置かずに返事が返ってきた。3人で肩を寄せ合って手紙を読む。

それに書かれていたことは大きく分けて3つ。


1つ。今の時期なら色々な祭りが開催されているはずなので、どこかで花火を見るべし。

2つ。少し早いかもしれないが、(あか)や黄色に染まる木々があるので、一見の価値あり。

3つ。ラーメンを食え。


3人は顔を見合わせた。


「……困ったわ。半分以上、なにが書かれてるのかわからないわ」

「2つ目はなんとなくわかりますけど……“はなび”とか“らーめん”とかってなんですの?」

「花火は聞いたことある気がするけど、ラーメンは知らないなァ。なんだろうね?」


結果、謎が謎を呼ぶ展開になってしまった。というか、東の島国ファンを自称するラピスが知らないことを、リリィやセラが知るわけがない。


「で、ラピス。はなびってなに?」

「わたしも聞きかじった程度なんだけど……。空に光の花が咲くとか」

「空に? 光の花が? 本当ですの?」

「魔法でも使ってるのかしら?」

「使ってないでしょ。国の文化なんだし」

「だとすると、ただの技術ってことになりますけど……凄まじいですわね」

「じゃあらーめんは?」

「ごめん。わたしでも見当もつかないよ」

「この文面だと、食べ物ってことしかわかりませんわね」

「ご飯かパンか麺か、それすらわからないわね」

「麺じゃない? ラー“メン”ってゆってるし」

「姉さま冴えてますわ!」


結局わかったことは少ない──否、全然なかったが、おそらくはこれもサクラの思惑だろう。あえて情報をしぼり、のちの楽しみを邪魔しないようにしているのだと思われる。


なのでラピスたちも深く考えることはせず、アドバイスに従うだけにしようと決めた。


「じゃあお祭りに行って──」

「色が変わる木を見て──」

「らーめんですわね」


サクラが言うのだ。ハズレはないだろう。

あとは気になるものがあれば随時寄るということで、リリィの言う通り、行き当たりばったりに決まった。それは果たして決まったといえるのだろうか?


話し合いを終えれば既にいい時間。再度布団をかけて、寝る体勢になる。


「楽しみだね♪」

「楽しみね♪」

「楽しみですわ♪」


今夜はなかなか寝つけないかもしれない。

おやすみのキスをしてから3人はそれに気づいたが、明日を万全の体調で楽しむために頑張って寝る努力をした。

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