プロローグ
ズシン、ズシンある森の街道を大柄な人が歩いている、いや人と言うには大きすぎる。
身長は3メートルを越しているだろう。何よりその体を支えている筋肉、そして
騎士の様な白いマントを着こなし顔には不気味な口を描いたマスク。
その姿を例えるなら怪物だ。その肩には子柄な体に対して太っているネズミがいた。
(ソル様!ソル様!何処へ向かっているでやんすか?やっぱり邪神様の言う通り町や村に
行くでやんすか?)
ネズミが語りかけてくる‥このネズミの名前はファット。ファットはありとあらゆる
人や亜人の言葉を話せるとても気の良いネズミだ。
何故俺がこんなとこを歩いているかと言うと少し過去に遡る。
ふと気がつくと、とてつもなく広い場所に居た地平線が見える程の空間に前には
ソフトボール位の黒く濁ったクリスタルの玉が浮かんでいた。
(青年よ、願いは何だ?)
__願い?
(私に祈ったであろう?死ぬ間際まで)
確かに願った。力が欲しいどんな理不尽も覆せる力がどんな苦難にも
耐えれる身体が!‥でもアンタに祈ったわけじゃない!
(神が憎いのであろう。どんなに願ってもお前達人間が崇める神は願いを叶えない
どんなに祈っても救いの手を差し伸べる事をしない、だが私は違う!
我が名は邪神タルタロス。青年よもう一度言おう願いは何だ?)
理不尽な世界を変えたい、腐った世の中を変えたい、汚い奴らを消したい‥
どんな願いも叶うのか?
(無限とまではいかないがそれなりに叶えれると言っておこう、ただし私の頼み
を聞いてくれ)
頼み?
(あぁ、青年には別の世界へ行って欲しい魔力が存在する世界だ。私の頼みは
崩壊する世界を止めてほしいと言っても難しいだろうだから人々を変えてほしい
理念なき政治、労働なき富、良心なき快楽、人格なき学識、道徳なき商業、
人間性なき魔学、献身なき信仰、それ等の常識を変えてほしいやり方は青年に
任せる)
わかった、いいぜ。
(随分即決だな)
力を貰うんだ大したことは出来ねーがやってやるよ、俺の流儀ってやつを。
(それでどんな能力にする、無限の魔力か?不死なる肉体か?青年が想像する
全て叶えよう)
2つで良い。
(何?)
他の追随を許さない!圧倒的腕力とどんな苦難にも耐えれる身体が欲しい!
(良いだろう、青年その願い叶えよう。ただし制約はおこなってもらう)
制約?何故そんな事をおこなうどんな願いも叶うんじゃないのか?
(その約束に間違いは無い、ただどんな能力もそれなりにメリット、デメリットが
ある。何かを得ようとすれば何かを失うのは至極真っ当であろう、それにその
制約は青年だけでは無い他の転生者にも制約はある)
他の転生者もいるのか
(そうだ、だが他の転生者は善良な神だがな)
う〜むどんなデメリットだ?
(通常であればそれに見合った制約であるが今回は声に制約を
かけさせてもらおう)
声にか..俺は話せなくなるのか
(そう恐れるな青年、一日に話せる会話に制限がかかるだけだ
最近の転生者は何でもかんでも望むが青年は強大とはいえそれほど
難しくない能力だ、私からのサービスだと思ってくれ)
それだけか、それほど口数が多いわけでもないから痛手じゃない
ありがとよタルタロス様!
(青年よそろそろ転生する準備をしよう、まずは名前それと私からの
プレゼントだ)
モァーン、黒い煙から太ったネズミが出てきた。
ファット(よるしくでヤンス、ソル様!)
ソル様?ソル様ってのは俺のことか?
邪神(そうだ我が考えた、青年ソルよ後は任せたぞ、まずは
村や町に行って見ると良いきっとお主のやるべきことが分かる
頼んだぞ)