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エースナンバー  作者: 砂糖
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ホンモノを知る

まさかの展開で、現役プロ野球選手と会える事になった。それも一軍で活躍するエースピッチャーだ。

俺は緊張していたが、同時に抑えようのないワクワク感があった。


まるで、妻を好きになり始めた頃のようだ。

あっ、ごめんなさい妻よ。今も好きです。ワクワクしてます。


プロ野球選手のAさんは、試合があった日なのに終わってから時間を作ってくれた。


「初めまして、前田と申します。今日は試合でお疲れなのに本当にありがとうございます」

俺は、挨拶したが、Aさんの醸し出す雰囲気に圧倒された。

やっぱり本物のプロ野球選手は凄い! 凄すぎる!!


Aさんは、屈託のない笑顔で俺を迎えてくれた。

「初めまして、Aです。前田さんの事は友人からお聞きしています。僕も、ぜひお会いしたいと思いました」


俺は、なぜ再びプロ野球選手を目指しているのか、脳腫瘍や様々な葛藤を話した。

Aさんは熱心に耳を傾けてくれた。


「直接お話しをお聞きすると、改めて前田さんに感服します。僕は、どちらかと言えば、自分自身のために野球をやっているところがありますが、前田さんは違いますね」


俺は、正直に答えた。

「僕も、自分自身のためっていう気持ちもあります。でも、誰かのためだったら120%の力を出せる気がするんです」

他にも、思いの全てをAさんに話した。


Aさんも、そんな俺の思いに熱く応えてくれた。

「誰かのために……素敵ですね。僕も前田さんのように誰かのために野球をやれば、もっと頑張れるかもしれませんね」


「僕がいるプロ野球の世界は、なかなか厳しい世界です。僕も、少しでも気を抜くとすぐに居場所を失います。

前田さんも相当な努力をされていると思いますが、多分それだけではダメだと思います」


やっぱり努力だけではダメなのか。

じゃあ、どうすればいいのか。


「全てを野球に捧げて下さい。24時間365日野球の事を考えて下さい。

そして、野球をしていない時でも野球のイメージをして下さい。ピッチャーとしてボールを投げるイメージを持って下さい」


やっぱりまだ俺はまだ甘かった。

それでも、Aさんは笑顔で続けてくれた。


「前田さんの手を見たら、今までどれだけ練習されたか分かりますよ。

練習は嘘をつきません。あなたならプロ野球選手になれると信じています。

いつか、プロの一軍の試合で僕たちが投げ合える日が来る事を待っています」


俺とAさんは固く握手した。

Aさんは、サイン入りのグローブとユニフォーム、帽子もプレゼントしてくれた。

感激だ、一生の宝物になるだろう。


後日、Aさんはブログで、「素晴らしい男との出会い」として俺の事も触れてくれた。


俺がプロ野球選手になる事がAさんへの恩返しになるはずだ。


Aさんとの出会いがあってから、俺の中で何かが変わっていくのが分かった。

自分の甘さに気付かされると共に、自分の将来像を明確に意識するようにした。どんなピッチャーを目指すべきかハッキリと分かった。


後から振り返ると、Aさんとの出会いが全ての未来に繋がっていた。


監督との練習で投げる時も、コースやキレなど明確なイメージを持って投げるようにした


「お前のボールは、ますます良くなってきたぞ」

監督も満足そうだった。


「あとは実戦練習だな」


俺は、一応、社会人チームに所属しているが、強いチームではない。

プロを目指す実戦練習としては足りない事は明らかだ。


困っていた頃、プロ野球選手のAさんから連絡があった。

「僕の知人のチームが、今度大きな全国大会に参加します。プロを目指す選手も参加する大会です。

知人のチームのピッチャーがケガをしてしまったそうです。

前田さん、代わりに投げてもらえませんか?」


俺が断る理由は一ミリもなかった。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

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