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エースナンバー  作者: 砂糖
40/55

広島カープエースとの対決

広島打線は強力だか、特に繋がりに注意だ。分断していけば、大量点を防ぐことができる。


プルペンで調子の良かった直球を中心にして攻めた。幸先よくツーアウトを取れた。


ここで迎えるのは、去年のセリーグMVPの角選手だ。この選手は、穴がない上に、非常に選球眼が良い。甘いボールは禁物だが、ボール球も振ってくれない打者だ。


キャッチャーのサインは、インコース直球だ。プレートの端から、対角線で左バッターの角選手の懐をえぐる。イメージは、左ピッチャーのクロスファイヤーだ。


角選手は、見逃した。判定は、ボールだ。初球としては悪くない。2球目のサインは、インコースのスライダーだ。


スライダーを左バッターのインコースに投げる。打ち気が満々の角選手にはピッタリの配球だ。


スライダーは、比較的、直球と軌道が似ているところから曲がってくる。角選手は、インコース直球を2球続けられたと思ってバットを出してくるはずだ。そこから、ボールがスライドして空振りを取る算段だ。


しかし、角選手は体制を崩されながらも、俺の投げたボールを捉えてきた。


俺は、完璧なスライダーを投げたのに、流石はセリーグMVPだ。


速い打球がワンバウンドして俺を目掛けて飛んできた。なんと、俺のオデコをクリーンヒットした!


俺は、一瞬、目の前が真っ暗になった。そのままマウンドに倒れた。


「前田! 大丈夫か?」

多分、チームメイトはこんな風に声を掛けてくれたと思うが、立ち上がれなかった。


担架が運ばれてくるのが見えた。その時に、観客席から声が聞こえた。


「前田、立て! お前は、一球食らったぐらい平気だろ!」

始球式を投げた黒田の声が聞こえた。隣には妻がいたので、状況を説明していたのだろう。


そうだ、俺は黒田を励ますために、始球式で黒田を投げさせたんだ。その俺がこの程度で交代してたまるか!


俺は、クラクラする頭を抑えながら立ち上がった。

そして、高橋由伸監督に宣言した。


「俺行けます。投げさせて下さい!」


監督は、俺の気持ちを汲んでくれた。

「よし、燃え尽きるまで投げろ」

まだ頭は痛いが、気持ちは負けていない。次の打者、鈴田誠也選手に立ち向かう。


朦朧としながらも、全力で腕を振ってフォークボールを投げる。

しかし、落ちない、ヤバイ。


気づいた時は遅かった。鈴田誠也選手にタイムリーツーベースを打たれた。この回、一点を失った。


俺は、キャッチャーに謝った。

「すみませんでした。投げれるって言ったのに打たれてしまいました」


キャッチャーは、俺の肩を叩きながら、

「俺とか監督は、お前の頭が心配なんだよ。失点の事より、頭は大丈夫か?」


なんて、優しい人なんだ。またまた、泣いてしまうじゃないか。


「大丈夫です。もう一点も広島にやりません!」

俺は力強く言った。


俺は、言葉どおり広島打線を要所で封じてゼロを並べた。しかし、広島カープ先発の山田さんも見事だった。150キロを超える直球を軸に、巨人打線を抑えた。


山田さんは、本当に凄いエースだ。打者を圧倒している。マウンドの振る舞いも、落ち着いている。


巨人は、ラッキーセブンが始まる前に円陣を組んだ。


監督のゲキが飛んだ。

「前田がボールの直撃を受けながら、頑張って投げているんだぞ。この回絶対に点を取れ!」


先頭打者がセーフティーバントを転がして、一塁にヘッドスライディングだ。セーフだ!


次の打者は、送りバントでワンアウト二塁になった。

この試合、初めての得点圏でキャプテンに回った。


キャプテンは、打席に入る前に、俺に近づいた。

「必ず打ってくるから、次の回は前田さんの男気を見せて下さいよ」


山田さんとキャプテンの対決は、文字通り火花が散っていた。キャプテンは、追い込まれてからもボールに食らいついてファールで粘る。


山田さんが12球目を投げた。速いボールだ。

キャプテンが振ったバットから、美しい放物線が放たれた。


レフトスタンドの上に設置された看板を直撃する逆転ツーランホームランだ!


東京ドームの観客は総立ちになった!


一周して戻ってきたキャプテンと俺はハグした。

「前田さん、後は頼みましたよ」


俺は、やらないと男がすたるぜ!


2対1の一点リードで最終回を迎えた。俺は、頭の痛さを忘れるほど集中していた。


冷静さも失っていなかった。観客席にいる妻と黒田が見えた。よし、まだ俺は大丈夫だ。


先頭打者にカーブを投げたが、捉えられた。なんと、ピッチャーライナーが飛んできた!

初回の恐怖が蘇る。もう一回食らったら、死ぬんじゃないか……


夢中で出したグローブにボールが収まった。俺は、ついてるな。神様ありがとうございます。


そして、完投勝利まであと一人になった。俺の球数は、130球を超えていた。確かに疲れていた。


しかし、トミージョン手術からの復活をこの一球にかける。

俺は、渾身のフォークボールを投げた。右肘に宿る多くの人の魂をぶつけた。

結果は……

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