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エースナンバー  作者: 砂糖
19/55

カッコわるいサイン

俺は、ドラフト会議で巨人から10位指名を受けて、晴れてプロ野球選手になれた。

しかし、プロ野球選手になる事が目標じゃない。

一軍で活躍して、ピッチャーのエースナンバー「18」を付ける事が目標なんだ。そのためには、勝負はもう始まっているんだ。


というわけで、俺も意識改革が必要だ。

プロ野球選手は、体が資本になるので、食事面にも気を使わなければならない。


俺は、割と好き嫌いが多い。揚げ物やコーラが好きで野菜が苦手だ。特に塩ラーメンが大好きなんだ。一日三食、塩ラーメンでも平気だ。

これからは、少しだけ塩ラーメンを控えよう。

じゃあ、ラーメンの代わりにうどんを食べよう。俺は、この前、広島カープのエースピッチャー山田さんが招待してくれて京セラドーム大阪に行った時、大阪梅田で有名なうどん屋さんに行ったんだ。


その店は、有名人のサインがたくさん飾っていた。俺も、スター選手になってサインを飾ってもらおっと。まてよ、まだサイン考えていないな。カッコいいサインがいいよなぁ。

俺の妄想は、どんどん膨らむ。


うどん屋さんの大将は、大の阪神ファンだと言っている。

俺は、恐る恐る言ってみた。

「実は、ボク、来年入団する巨人の選手なんです」


「そうなんですか! お客さん、すごいですね。この店には阪神の金本監督も来てくれるんですよ」


「ボクは巨人の選手ですが、大将のうどんは、すごく美味しいです」

これは、お世辞じゃなくて本当に美味かった。


大将は、ニッコリしていた。

「ありがとうございます。私は、巨人は嫌いなんですが、お客さんは応援しますよ。お客さんが体力がつくように、美味しいうどん作ります。今日はトッピングサービスしますよ」


「お客さんがプロの一軍で投げる試合は、この店でテレビ中継流しますよ。前田さんがテレビの向こうで活躍する姿が楽しみですね」


大将は、巨人の選手である俺にも暖かい。

試合で関西に遠征する時は、なるべくこの店に顔を出したいなぁ。


「前田さん、もしよろしければサインもらえませんか?」

店を出る時に、大将から頼まれた。


まだサイン決めてないけど……


俺は、仕方なく大将のTシャツの背中に普通に書いた。

マジックで、「巨人、前田健一」と書いたがカッコよくない……


だけど、大将は喜んでくれた。

「ありがとうございます。私は前田さんが、ウチのうどんパワーで活躍できると確信していますよ! だから、なるべく阪神戦は投げないでください」


やっぱり、応援してくれる人の存在は有難いな。

俺に出来る事は、プロで活躍して恩返しする事だ。


あと、早くカッコいいサイン考えよっと。


親友黒田は、電話で俺のドラフト指名を祝福してくれた。

黒田は、目が不自由になってからは心理カウンセラーとして頑張っていた。俺は、黒田を励ますためにプロ野球選手を目指したが、むしろ途中から黒田が俺を励ましてくれていた。


「前田、とうとうやったな。おめでとう」


「黒田、ありがとう。お前がいなかったら、プロに行けなかったよ」

もちろん、俺は本心から言った。


「これでひとまず、俺の役目は終わりだな。これからは、一人のファンとして応援するよ」

黒田は、満足そうに言った



そうだよな。いつまでも黒田を頼るワケにはいかない。

「今まで、世話になったな。お前に挑発されながら、河川敷で投げた事が忘れられないよ」


黒田は、

「お前が、巨人のユニフォームを着て投げる姿を目で見る事はできないけど、球場のアナウンスで聞けるのが楽しみだ」と言う。


「ピッチャー、前田、背番号18」

このアナウンスを黒田に聞かせたい。


俺の背番号は、まだ分からないが、ドラフト10位の俺だからエースナンバー「18」は、ありえないだろう。

しかし、いつかきっと「18」になるんだ!


「前田、見えないけどサイン書いてくれよ」

黒田は、屈託なく笑った。


ヤバイ、またサインだ。相変わらず、サイン決めてないんだけど。


「よしっ、カッコいいやつを描いてやる!」

と言って描いたが、やはり普通の字で「巨人、前田健一」としか書けない。


「プロ野球選手っぽく描いてくれよ」黒田に頼まれたが……


俺が描いたサインは、黒田には見えない。

だが、黒田のココロにはハッキリ刻んだつもりだ。

黒田のココロに刻まれたサインには、もちろん18番が描かれていた。


それから、俺の背番号が決まった。


68番を貰えた。これから50を引くと18になる、素晴らしい背番号だ。


68番から、俺の夢が始まる。


「ピッチャー、前田、背番号68」


早くこのアナウンスを聞いてマウンドに上がりたい。


ちなみに、妻は、こう言ってた。

「実力がある人が大きい番号もらえるんでしょ?」


どこまでも前向き妻は、我が家の絶対エースだ。

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