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ゴールデンタイムのちょっとした悲劇

 「ねえ優多、また蜜柑が発狂しているよ?」

 「多分パソコンのトラブルでしょう、最近よくあるみたいですよ」


 暖炉で本を読みながらくつろいでいると、無限がいきなりこっちに向かって走ってきてそう言った。しかし、彼のことならもう知っている。丁度昨日のこの時間、蜜柑と会っていた。その時彼は、少々苦笑いでパソコンの不調を訴えていた。

 パソコンに似た、むしろそれよりも高性能な機械を知っているのだが、やはり彼は不器用だからか変えたがらないらしい。まあ、経験者側としては、macやwindows方が簡単なのかもしれない、しかし、設定云々は難しいものの、それよりもはるかに使いやすいiyi-u-hult≪イシェンハルト≫やtyr≪ジャツ≫などの機械のほうが遥かに進化していて使いやすい。やはりそれを産んだカルトハルドノの国の科学は世界イチィィだ。


 そんなことを考えているとドタバタと忙しい足音が近づいて、次の瞬間扉がすごい勢いで開かれ、そこにいたのは、噂をすればのその人だった。


 「あれま、これはこれは蜜柑さんじゃないか、どうしたのそんな慌てて」

 「はぁデ、デー、ハァアア、タ、ハァ、デ、エー、ハアハァ、データが、はあ……」

 「息切れがひどくて何言ってるのか分からないよ」


 ここまでノンストップで走ってきたのだろうか?蜜柑の顔面は、疲れと焦りと落ち込みで酷いありさまだった。

 蜜柑は、膝をついてからグニャンとまるで軟体動物かのようにその場で倒れ込み、縮めていた体を伸ばし、文字通り床でうつ伏せで大の字になる。


 「落ち着いた?」

 「でーたがあ……頑張って書いたでーたがあ」

 「……だから古いWordはやめてくださいって言ったじゃないですか。書くのなら最新のoffceを買うか、初期設定云々はかなり難しいですけどカルトハルドノの機械を買うか、生原稿を書くか……」

 「無限ねえお願い!流れを巻き戻してよ!今のこんなbadな流れをgoodな流れになるようにすり替えてよおお」

 「ええーできなくもないけどめんどくさいなあ、なんか軽く複雑だし……第一にめんどくさいからやーらない」

 「そんなあ……」


 蜜柑は悲鳴を上げながら涙を流す。そんな彼をなだめようと優多は


 「まあ、時にはそんなこともありますよ、ドンマイです無限さんの事なんですからきっと何かあるんですよ、今まで以上にいい作品になるとか」

 「えぇ……」


 そんな慰めの言葉も裏目に出てしまったのか蜜柑が露骨に嫌な顔をする。いや……そこまではっきりと顔に出さなくても……

 しかし、それから蜜柑は何か悟ったような顔になってから立上る。


 「まあ、頑張ってみます」

 「お、頑張れ」

 「立ち直りがいつもより早いですね、何か手伝いましょうか?夜食とか……」

 「いえ、今回はもう寝ますおやすみなさい」


 寝るんかい

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