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上手く言えない言葉  作者: 空智
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case2、木村灯里(上)

灯里には好きな人がいる。

いや、好きな人がいたという方が正しいだろうか。

それは灯里がまだ幼かった頃の話だ。

灯里には友達もいずいつも家で過ごしていた。

家には勉強しろとうるさい父。

子供達には何も言わない母。

灯里にはそんな家が好きではなかった。

そして暇な家が苦手だった。

ある日、年の離れた兄がパソコンをくれた。

灯里は初めて触るパソコンにドキドキしていた。

灯里にとって初めての遊び道具だったからだろうか。

そんなパソコンの中に入っていたあるソフト。

それは知らない人ともチャットできるという代物だった。

灯里はそのチャットをやって見た。

知らない人ばかりのその世界は、灯里の知らない楽しい世界だった。

大人であれば子供だっている。

名前すらわからない人ばかりが集まった不思議なところ。

そんな場所に魅了された灯里は毎日毎日そのチャットでいろんな人と話していたのだ。

その中で出会った1人である高橋という名の人がいた。

灯里の記憶の中では優しくて明るい人だったのを覚えている。

そしてある高校に行きたいと言っていたことを強く覚えている。

その高校は灯里の住んでいる地方では有名な高校だ。

幼い灯里も聞いたことのあった高校の名前。

高橋はその高校に行きたいと何度も行っていた。

だからだろうか?今も灯里はその記憶が大きく残っている。

しかし、高橋とはもう連絡が取れない。

何故かというと、父がすぐにそのパソコンの事を知って灯里の部屋に入りパソコンを持って行ったからだ。

この時、灯里は初めて父に殺意を覚えた。

しかし、父に逆らってはいけないと教育されてきた灯里が父を殴れるわけでも反論できるわけもなく部屋に帰ってまたつまらない日々を過ごすだけだった。

そうして高校生になった灯里はその高校に入った。

父には特進科に行けと強く言われたのだが灯里は普通科に入った。

普通科の方が自由度が高く高橋を探しやすいと思ったからだった。

しかし、灯里が思う以上に高橋を探すのは簡単ではなかった。

まず、同学年で普通科の生徒で高橋という名を探すのは簡単であった。

しかし、その高橋に会うのが少し難しかった。

そして一番の困難が灯里が高橋たちとどう話すかということだ。

友達もいず、勉強ばかりしてきた灯里は成績が良くても話すのは下手だ。

同学年の普通科にいた3人の高橋にチャットをやっていたかを聞くだけで約3ヶ月かかっていたほどだ。

これでは3年生が卒業するまでにできるだろうかと思った灯里は閃いた。

この高校には図書室があり少しぐらいなら在学生の名前は載っているのでは?

そして卒業生の名前と顔もわかるだろう。

そう考えた灯里は急いで図書室へと走っていったのだ。

今回は人探し編ですね。

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