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第86話 報告

 冒険者ギルドに入り受付に行くと、シルビア達がギルマスに呼び出されマスタールームに招かれる。オレ達の報告は受付でもいいんだけど、説明もあるし、何よりオレはキャリッジ冒険団のリーダーだから【御者】も含めキャリッジ冒険団全員一緒にマスタールームに付いて行った。


「待ってたよ、よく来てくれた。まぁ座ってくれ」

 オレ達がマスタールームに入るとギルマスのゲーリックが座るようにを勧めてくれた。

 応接セットには二人分しか椅子が無いので、【御者】とルシエルが座り、後は思い思いの場所に椅子を出して座った。パルとキューちゃんはいつも通り【御者】の両肩に陣取っている。


「キャリッジシスターズの三人にはお祝い申し上げる、ダンジョン制覇おめでとう。あと、色々聞いているが、詳しい話しはマリーブラが説明する」

 いつも通りだね、ブレないねあんたも。


「はい、改めてダンジョン制覇おめでとうございます。それで今日来て頂いたのは、先日もお話しさせて頂いた通り、転送魔法陣の設置のご協力をお願いしたいのです」

 マリーブラは【御者】に向けてた視線をルシエルに移す。


「西のダンジョンには各階にセーフエリアと呼ばれる部屋があります。この部屋には魔物が入って来ないので、ダンジョン挑戦者の宿泊や休憩に使われています。その各階のセーフエリア全てに転送魔法陣を描いて頂きたいのです」

「それは先日も申し上げましたが、転送魔法陣というのはペアで使われるものです。出口を一つで入り口が多数、若しくはその逆には出来ないのです」

 マリーブラの提案にルシエルが無理だと遠回しに反論する。

 そうだよな、オレもそうだと思ってたよ。出来ると便利だとは思ってたけど、無理だろうなぁ。


《少し書き換える必要はありますが出来ます》

 え? 出来るの? じゃあ、ルシエルに教えてやらないとな。


《ルシエルには出来ません》

 どういう事?


《レベルが足らない事もありますが、魔法陣への理解度も足りません》

 理解度って、オレなんか全く分かって無いけど?


《貴方は私が補助していますから問題無くできます。貴方の理解度は全く期待してません》

 いつもいつも激しく棘があるよね。ナビゲーターのお陰で助かってるのは事実だけど、もう少し言いようがあるだろ。もう今度からは魔石は全部売る事にするよ。


《すみませんでした》

 弱っ!



 ナビゲーターとのやり取りをしてる間に、話は進んでいた。

 各階に転送魔法陣設置して、その出口の為に一階の入り口付近に建物を建てて45部屋用意する。その部屋の入り口に何階と表示すればどの階からでも帰って来れるし行ったりもできる。

 そうする事で危なくなっても帰って来れるし、上位ランク者は無駄な浅い層を省くことができる。そうなるとこの西の森のダンジョンにもっと挑戦者が増えるという事になり、メキドナ領ももっと潤う事になるとマリーブラさんが説明してくれた。

 魔法陣の起動も、魔石を置くことで解決できるという。魔法陣さえしっかり描かれていれば、後は魔力を通すだけなので、魔力がある者なら魔力を魔法陣に通せばいいし、無くても然るべき位置に魔石を置く事で代用できる事は実証済みだそうだ。


 へぇ、それならオレも魔石を使えば転送魔法陣を使えるんだ。

《そんな勿体ない事は反対します》

 勿体ないって……確かにうちの連中ならやり方さえ覚えれば誰でも魔力を通せるだろうからね。しかし、相変わらず魔石には執着するんだね。



「それで報酬の件ですが、魔法陣一つに付き金貨100枚を考えています。10、20、30、40、50の階層には必要ありませんので、45個分で金貨4500枚。如何でしょうか」

 ルシエルが【御者】の方に向き助けを求める目を向けて来る。

 高いとは思うよ、高いとは思うんだけど、なんか違うんだよな。今まで誰もできなかったんだろ? 今後もできないと思うんだよな。もう大丈夫だとは思うけど、ルシエルやライリィは奴隷落ちを経験した事もあるんだよ。もうあんな事にならないようにオレが何か考えてあげないといけないと思うんだよな。金貨4500枚でも十分だとは思うけど、オレの考えとはちょっと違うんだよな。

 それに初回提示で出せる金額よりもっと出せるとも思うんだよね。


「マリーブラさん、ここってお金を預けたりってできましたっけ?」

 確か、オレの情報ではあるはずなんだけど。

 オレが口を挟む事になったが、ルシエルも助けを求めてるし、いいだろ。転送魔法陣を教えたのもオレだしね。

 マリーブラさんはオレがしゃべった事に少し驚いていたが、すぐに返事をしてくれた。

 確かに今までは『挨拶』と『はい』と『いいえ』だけだったし、影も薄かったからね。


「はい、私共冒険者ギルドと商業ギルドが提携している『バンク』があります。そこで預けられたお金は冒険者でしたら冒険者カードに記憶され、どの町の冒険者ギルドでも商業ギルドでも引き出す事ができます。年間手数料は金貨一枚掛かりますが、高ランク冒険者には非常に喜ばれています」


 利息も付かなくて手数料が取られるんだね。でも金貨一枚だったらオレの考えでも問題無さそうだ。


「そちらが提案した金貨4500枚ですが、お断りします。少な過ぎます。こちらの要望としては金貨4500枚プラス、転送魔法陣を一度使用する度に銀貨一枚を頂きたい。そしてその使用料をライリィとルシエルに半分ずつ振り込んでもらえませんか」

 シルビアは勇者の子だからね、目立たないためにも今回はライリィとルシエルだけにしておこう。またいつ魔人が来るとも限らないからね。


「面白い事を考えられますね」

 マリーブラさんは少し俯き考えると、(おもむろ)に顔を上げ【御者】に答えた。


「いいでしょう、その提案を受けました。金貨4500枚と、一回の使用料として銀貨一枚。ルシエルさんとライリィさんの冒険者カードに振り込む事というご提案を受けます。管理はこちらでしますから、そこは信用していただくしかありませんが」

「はい、問題ありません。冒険者ギルドの事は信用していますから」

 しかし、マリーブラさんが全部決めちゃったね。分かってたけど、残念だよギルマス。


 ルシエル、ライリィ、シルビアの冒険者カードをマリーブラさんに預け、今回の金貨4500枚は1500枚ずつ入金してもらう事にした。ルシエルとライリィの冒険者カードは、Aランクカードに変更すると共に使用料が振り込まれる手続きをしてくれた。

 これでルシエルもライリィも将来お金で困る事も無くなるだろう。


「流石はお館様、悪知恵が回りますな」って聞こえて来たけど無視無視。悪知恵じゃないから、ロイヤリティって正当な商法としてあるから。

 マリーブラさんも、今後この方法を取り入れて行きたいって言ってたじゃん。いい方法なんだよ。


 魔法陣の設置は建物が出来てからとなった。ルシエルが一つずつじゃないと分からなくなると言ったからだ。オレだったら、先に45個の魔法陣をダンジョン内に描いてきて、纏めて各部屋に描いて行く方法を取るだろうけど、ルシエルにはできないみたいだ。

 じゃあ、オレがやってやれって? いやいや、これはルシエル達が受けた仕事だから。報酬もルシエル達が貰うんだしさ。決してダンジョンに入りたくない訳じゃないんだよ。ルシエルの仕事を取っちゃダメだよね。


 ルシエル達の話も終わり、オレ達のクエスト依頼の話に移る。

 その前に、キャリッジシスターズってなんだ? 「この依頼はキャリッジシスターズへの指名依頼にします」って言われたけど、そんなのいつできたの? メンバーは誰?

 もしかして、シルビア、ライリィ、ルシエルの三人? 三人が抜けたら人外しか残んないよ? それでいいのか冒険者ギルド!


 なんかクランってグループを立ち上げて、その一パーティとして分けて活動をする時に使うと便利だって言われたけど、他の冒険団も入らせてくれって来る事もあるらしいので断らせてもらった。

 だってうちのメンバーって秘密にしないといけない事が多すぎるんだよ。

 まずボルトにビビるだろ、ハヤテなんか馬としか思われてないよな。キューちゃんがあんなに強いなんて誰も思わないし、センが龍だなんて誰にも言えない。パルはまぁアリかもしれないけど、ガンちゃんの存在を知られる訳にもいかないしね。



 で、オレ達の行ったクエスト依頼なんだけど、マリーブラさんに相談した結果、沼の主の方は大丈夫でしょうと。ゴールデンゴブリンの件も条件付きで大丈夫じゃないかと言われた。


 まず、沼の主は町の中では出せないので、街道で出す事になった。

 200メートルオーバーだからね、町の中では出す場所が無いよね。でも、目立ちたい貴族のオーダーだから町から離れる訳にも行かず、オレ達がよく使ってる東門を出た所の街道に出す事になった。

調査報告は適当でいいらしい。元々見栄の張り合いの依頼だから、誰もキッチリ熟して来るとは考えて無い。結果を見せれば納得してくれるらしい。


 問題はゴールデンゴブリンの方。事情は説明した。ダンジョンマスターだったから、ダンジョンに吸収されて魔石しか持ち帰れなかったと。

 ダンジョン内のゴブリンは全部魔石だけになっちゃったし、外にいたゴブリンもハヤテが全部吹き飛ばしちゃったし。せめてブロンズかシルバーのゴブリンを外で仕留めて持ち帰って来れれば証拠にはなったかもね。そんな事言ってもまさかダンジョンだとは思って無かったんだからね。


 それで提案されたのが魔石の鑑定。魔石の鑑定が出来れば証拠にはなるし、実際にいると思って無い大法螺貴族が実際に存在したと分かるだけでも株が上がるから、依頼失敗にはならないのではないかという事だった。大法螺貴族がどう出るかは分からないが、その可能性は大いにあるとギルマスも言っていた。うん、信用度が3ランク落ちたよ。

 でも他に方法も無いし、クリスタルゴブリンとプラチナゴブリンの分も合わせて15センチ角の魔石を三個、鑑定の為に提出した。


 あと、場所は言えないけどと前置きをして、『長寿の水』をコップ一杯分渡しておいた。

 この依頼は受けて無いから、場所を言わなくても依頼失敗にはならないけど、場所を言わない場合、どうなるのか知りたかったので渡しておいた。


 その件も、日程調整や鑑定結果待ちで日数が掛かるので、毎日冒険者ギルドを覗いてほしいと言われた。

 シルビア達が学校帰りに寄ってくれる事になったので、予定が分かり次第、オレ達も行動に移れるように用意しておくと言って、今日の報告は終わった。


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