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第83話 泉の正体

ギリギリ日付が変わる前に間にあった?

遅くなってすみません。

 ゴブリンダンジョンを制覇した後、ゴールデンゴブリンがいた場所に宝箱が出た。

 中身は大きめ鍵だった。20センチもある長い鍵で『ゴブリンキー』と鑑定された。

スケルトンキーと呼ばれるキーで、丸棒の先に歯が付いている感じのやつ。持ち手の所には『Z』の文字になっていた。『N』かもしれないけど『Z』と思いたい。アルファベットかどうかも分かんないしね。


 ゴブリンキー:すべてのゴブリンの主の証


んー、微妙だ……ゴブリンの主になっても嬉しくもなんともないよ。だってゴブリンだろ? いらねーよな。

 魔石は大きかった、3つとも15センチ角。ウシュムガルと同じ大きさだ。

攻撃する隙を与えなかったので、強いかどうかも分からなかったけど、強かったのかもしれないね。

 ゴブリンでここまで大きな魔石を出せるんなら、強かったんだろうね。


 ゴールデンゴブリンを倒した事で、奥の扉も開いた。

今までのダンジョンなら(経験二回)ダンジョン核があって、地上への魔法陣が出て来るんだけど、ここも同じだった。地上への魔法陣っている? ここはまだ【御者】が出せてるぐらい近いんだけど。地下一階だし。

 ダンジョン核ね、どうしようか。このダンジョンを管理してる国は無いだろうから取ってもいいんだろうけど、ゴブリンの主になった事だし、ここがゴブリンダンジョンなんだったら置いておくべきかな。


《取るべきです》

 いや、それはお前が欲しいからだろ? ホント魔石には執着するよね。でもこれはダンジョン核だよ? 魔石じゃ無いんだけど。


《魔石(特大)100個分の価値があります》

 ふ~ん、じゃあ取ろうか?


《取ってください》

 なんかあんまり気が進まないんだけどな、はい収納っと。


 ……。


 あれ? 何も無し? ファンファーレは?

 無いみたいだね、基準が分かんないよ。


「皆は魔法陣で戻って来てね。【御者】はこのまま消すから」

「はっ」

『わかったー』キュキュ

「らじゃ!」


 セン、キューちゃん、パルが地上に戻り全員が揃うと、この後の行動について確認する。

 ここまで中身の濃い内容だったけど、日程だけで言うと順調なんだよな。予定通り三日目でここまで終わらせたし。ここからだったらハヤテに飛んでもらったら一日も掛からず帰れるよね。もう少し足を延ばしてみようかな。


 ダンシングビッグビーに向かって尋ねてみる。

「残りの垂直落下型洞窟って近いの?」

 ダンシングビッグビーは八の字ダンスで同意を示した。

 じゃあ、行ってみようかな。ゴールデンゴブリンの依頼が失敗判定されるかもしれないし、他の依頼で保険をかけておきたいよね。


 クエスト依頼だから、受けてからの行動になると思うけど、場所さえ分かってれば後は早いかもしれないしね。


 ダンシングビッグビーに案内を頼んでもう一つの長寿の泉があるかもしれないという垂直落下型の洞窟に案内してもらう事にした。


 ゴールデンゴブリンを倒してから三日目、ようやく垂直落下型の洞窟に辿り着いた。


 近いって言ったじゃん! 確かにオレのマッピング機能で確認すると近いよ。平面地図で見ると一日も掛からない距離だよ。こんな高い険しい、しかも魔物だらけの山脈を越えるとは思わなかったよ。丸々二日も山越えに掛かったじゃないか。山頂付近になると雪が積もってたし。

 お陰で氷系の魔石が獲れたのは良かったんだけどね、今まで氷系の魔石だけは無かったから。喜んだのはナビゲーターだけかもしれないけど。

 魔物の皮もアイスなんとかとかスノーなんとかって付く魔物が多かったから毛皮って感じのものが沢山獲れたけど、使う時はあんまり無いかもね。


 中でもこの山脈越えで一番頑張ったのはダンシングビッグビーだね、昆虫系の魔物だから寒さに弱かったよ。方向だけ教えてくれて荷台で待機してたけど、偶に確認の為に荷台から出ないといけないからね。何度か死にかけてたよ。その度にハーネスで引き寄せて荷台に乗せて回復をさせてたからね、その健気な頑張りを見てたら名前を付けてやりたくなっちゃったよ。付けて無いけどね。


 ボルトもこのダンシングビッグビーの頑張りを見習ってほしいものだよ。雪が見えた途端にオレの影から出て来なくなって。そりゃネコだから寒さに弱いのは分かるんだけど、まったく戦闘に参加しなかったもんね。


 ボルトの大好物の龍が出て来ても出て来なかったからね、氷龍が出て来た時はどうしようかと思ったけど、センの一睨みで逃げて行ったよ。()(りゅう)って凄いんだなって改めて思ったね。


 それで、垂直落下型の洞窟に辿り着いたんだけど、これがまた凄い。

 オレにはハイアングル視線があるがら底まで見えるんだけど、確かに泉があるね。

 でもどこから降りるんだ? 10キロ四方を切り立った断崖絶壁に囲まれていて、深さは100メートルぐらいある。しかも、さっきの山脈よりレベルの高い魔物がうようよいる。

無理ゲーなんじゃね? ハヤテに飛んでもらう? 誰かが行って転送魔法陣を描けば、後は簡単に行けそうだけどね。転送魔法陣ね……描けるのってオレだけじゃん!


 保留決定! 帰ろ。


 シルビア達に置いて来た料理も100食分だし、そろそろ無くなってんじゃないかな。最近よく食うからね、あいつら。

一人三食食ったとして、一回で九食だろ? 昼は学校で食べるように言ってるから朝晩で二食。ざくっと計算しても五~六日分だな。


 お金は渡してるから、どこかの食堂でも食べてくれるといいんだけど、オレの料理以外は食べなくなって来てるからね。嬉しいんだけど、それじゃあ困るよな。

 今度、自分達で料理させてみようか。調味料はふんだんにあるからそれなりの料理になると思うんだけどね。帰ったら作らせてみよ。


「ボルト、ここからは降りれそうにないし、帰ろうか」

『これぐらい簡単に降りれます。何の問題もございません』

 いやいやいや、問題だらけだろ。深すぎるし、魔物が多いし。


『ここを降りればいいのですね。ハヤテ行くぞ』

「了解ーっす!」


 え? いや、ちょ、ちょっと待って! イヤ――――――!!


 ボルトが先行して飛び降りるとハヤテもオレを引いて断崖絶壁を飛び降りた。

 荷台に乗ってる皆も平気な顔をして周囲を警戒している。


 平気じゃ無いのはオレだけ? あ、ダンシングビッグビー。ダンシングビッグビーが荷台でひっくり返っていた。たぶん気絶したんだね、分かるよその気持ち。でもお前って飛べるじゃん! なんで気絶してんだよ!

 オレは気絶もできないし、目を瞑る事もできないんだよ。恐ぇーって。


 落下中、ワイバーンの群れが襲ってきたが、ボルトが一蹴。少し取りこぼしがあったが、キューちゃんがフォローして殲滅完了。

 他にも落下中にデッカイ蝙蝠みたいな魔物のエルダーキラーバットが襲ってきたり大蛇の魔物が一緒に落ちて来たりしたけど、うちの連中の敵ではなかったね。恐いんだけど見えるんだから全部見てたよ。


 無事、底まで辿り着いた。着地の時にはハヤテがフワッと降ろしてくれたので助かったよ。あのままの勢いだったら粉々になってたね、うん、間違いない。

 他の皆は普通に着地していた。

 周囲は暗いが闇という程でもない。通常モードでも周りに何があるかは確認できた。



 目的の泉は目の前にあるんだけど、なんか様子がおかしい。風も無いのに水面が波打ってるんだ。もう嫌な予感しかしない。

 新たな場所に行く度に何かが起こるって、そんなのいらないんだけど。

 コップをセンに渡して泉の水を汲んでもらった。

 鑑定すると『長寿の泉の水』と出た。

 どのぐらい汲めばいいかも分からないんで、さっさと収納バッグを造って水を収納。


 あ、水が全部無くなっちゃった。25メートルプールぐらいの大きさの泉だけど、一番深い所でも一メートルも無かった。

 結構浅かったのね。


ゴーールゥアーーー!!


 大音量の怒鳴り声が響き渡る。

 目の前の水が無くなった泉が地震のように揺れだした。

 

 やっぱりか、やっぱりなんかあるのか。

 どこから聞こえてきたんだろう。崖に声が反射して場所の特定が難しい。

 ただ、目の前に出てる鑑定……見たくなくても勝手に出てくる鑑定。


 巌亀(ガンキ):LV65。嫌な予感しかしない。


「ボルト……巌亀(ガンキ)ってアレだよね?」

『御意、北を縄張りとしてる古い魔物にそのような者がおります』

「北ね、そう北だよね。ハハ……こんなとこにいるはず無いよね」

「お館様、巌亀(ガンキ)が如何されましたか。某は懇意にしておりますが」

 巌亀(ガンキ)と聞いてセンが話に入ってくる。


 おー、それは朗報だよ。敵対しないに越したことはないからね。


「あのさ、この泉が鑑定で巌亀(ガンキ)って出てるんだよね。これってさ……」

「おお! これが巌亀(ガンキ)でごさるか。初めて拝見いたす」

 え? 今、懇意にしてるって言ったじゃん。あ、センも記憶を受け継いでるんだっけか。じゃあ、先祖の誰かと仲がよかったのかな? それでも仲がいいんなら話もできるんだよね?


「セン、巌亀(ガンキ)と話できる?」

「はっ、お任せを」

「穏便にね」


 センは【御者】に一礼すると巌亀(ガンキ)に向き直り、大声で叫んだ。

 一応確認するよ、それはオレじゃないから。


巌亀(ガンキ)殿! 某、センでござる。出て来てくださらんか!」


 センの声に反応して更に地面が大きく揺れだす。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 泉の下から大きな甲羅の模様が現れる。甲羅のてっぺんに窪みがあり、そこに水が溜まってたようだ。

 今まで自分達がいた場所も地中から何かがせり上がってくる。

 それは頭だった。大きな亀の頭が出てきた。

 ハヤテが素早く逃げてくれたから良かったけど、危ない所だったよ。


 流石に情報はあっても見た事が無い四獣は分かんないし。鑑定で出なかったら未だに分かって無い自信があるよ。こんな風に現れる事も分かんないしね。


「センとはー誰じゃーー」

 確かにセンってオレが付けた名前だから厳亀ガンキには分からないだろうね。

「素晴らしい名であろう! 某がセンじゃ!」


 あ、これ、ダメなパターンだ。このままセンが切れて戦闘に突入じゃないの?


「センなど知らぬーー、お前は誰じゃー」

 デッカイから言葉も間延びしてるね。

「センを知らぬー? お館様に頂いた名を知らぬと! 厳亀ガンキ! そこに直れ! 某が成敗してくれるわ!」

 うん、いつもと同じパターンだね、ダメなやつだ。どうやって止めようか。


「セン? 刀」

「ひゃっ!」

「料理」

「うひょ!」

「どうする?」

「お任せくださいー!」


 ホントかね?


厳亀ガンキ殿。某は冰龍ヒリュウでござる。仲良くしましょう」

冰龍ヒリュウとはーいづもながよくしでるどーーー。お前は冰龍ヒリュウかーー」

「左様でござる。某のお館様がお主の水を所望じゃ。それ故、水は拝借したがお主はまだまだ造れるであろう。今回の事は水に流せ、悪いようにはせん」

「わがっだどーー! 水はあげるどーー」

「かたじけない、感謝する。それで厳亀ガンキ殿、見返りは何とする」

「人の多い所がいいどーー。ここは誰も来ないのだーー」

「承った。その希望は、我がお館様が叶えてくれようぞ」


 お前も丸投げー? もう丸投げキャラはいらないんだけど。厳亀ガンキの軽い所は助かったけど、こんなデカい奴をオレにどうしろって言うんだよ。

 しかも、厳亀ガンキってここから動けないじゃん。


「セン、厳亀ガンキはここから動けないよね? オレに振るより先とかより移動方法はどうするんだよ」

「はっ、それは問題ありません。厳亀ガンキは飛べますから」

 飛べる? 亀が? 意味わかんないです。


「移動できるんなら、いつもの東の森のダンジョン前でいいんだったら来る?」

「おお! 有り難きお言葉。厳亀ガンキにはそう伝えましょう」


厳亀ガンキ、某たちがいつもいる場所に来るか?」

「行ぐどーーー!」


 うん、おかしいね。伝説の四獣のうち三体と出会う事がまずおかしいと思います。

 後は南の焔鳥ホムラドリ? コンプリートする未来しか見えないんですけど……

 勘弁してくれよ、オレは馬車なんだよ? それにしても、ボルトは大人しかったなぁ、なんかあるのかな?


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