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第8話 行き先

さて、どちらに向かいましょうかね。

地龍の縄張りは避けたいね。縄張りってどっち? 


『シルビア? 地龍の縄張りってどっち?』

「知らない。」

『じゃあ、お前ってどっちから来たの?』

「知らない。」

『じゃあ、どこから来たの?』

「エイベーン王国。」

『それはどっち?』

「知らない。」

んーそりゃそうか、バーゲストに連れて来られただけだしな。


『ボルトは地龍の縄張りって知ってる?』

『御意、存じ上げております。』

『エイベーン王国は?』

『人間の国の名前までは存じ上げませんが、人間が多く住むところは地龍の縄張りの先にございます。』

『避けて行けない?』

『行けなくもございませんが、運次第でございますな。』

『どういう事?』

『地龍もずっと同じところに留まっている訳ではございませんので、この道より遠くなった時に通れば通れるかと。』

『うん、博打すぎるね、却下。』


まずはシルビアをどうするかなんだよな。シルビアってなんで逃げて来たんだろ? 聞いてもいいのかな?


『シルビアってなんでバーゲストといたの?』

「バーゲスト?」

『あ、あの黒い大きな犬の魔物の種類だよ。』

「犬さん? 犬さんは急に現れてお父様に頼まれたって言って連れ去られたの。理由は聞いて無いわ。」

『じゃあ、シルビアは家に帰るのは辞めた方がいいんじゃないのかな? 何かあったから連れ出されたんだろうしな。今戻るとバーゲストのやったことが水の泡になりそうじゃないか? バーゲストとは少ししか話してないけど、良い奴だったよ。』

「うん、私もそう思うけど、理由は教えてくれなかったわ。」

『お父様の居場所は知らないのか?』

「それは・・・誰にも言っちゃいけないって。」


うん、勇者様だからね。秘密も多いんだろう。

『それは人間にってことだろ? オレは馬車だしボルトは魔物だ。それなら問題無いんじゃないか?』

「それもそうよね。お父様は今魔王討伐に行ってるの。もう4年帰って来てないの。」


勇者様だからね、さすがっす。会いてーなー。

『それなのにバーゲストが連れ出しに来たの?』

「そうなの、お父様に会えると思ってたのに。」

『それもおかしいよな、なんで魔王退治に行ってるお父様がバーゲストを寄こしたのか、いっぱい裏がありそうだよな。やっぱりシルビアは家に戻らない方がいいかもな。そうなるとどこに送ればいいんだろうな。』

「送るって?」

『え? いや、このままオレ達といる訳にも行かないし。安全なところで保護してもらわないと。』

「いや! 家には帰らない!」

『帰らないって、それじゃあどうするんだよ。』

「このまま馬車さんといるの。」

『ええ!? それは無理だろう。オレは馬車だぞ? お前の生活はどうするんだよ。』

「食べ物なら自分で獲って来れるわ、馬車さんといる方が安全なんでしょ?」

『そりゃバーゲストに頼まれたから出来る限りは守ってやるつもりだけど、オレは馬車だからな。出来る事にも限界があるって。大体どうやって町に入るんだよ。女の子供と雷獣と馬車だぜ? シルビアは保護されるだろうけど、ボルトは見られただけで人間に攻撃されちゃうよ。下手したら人間に殺されるかもしれないし、オレはどっかに売られるかもな。』


「それなら大丈夫、これを使えばいいもの。」

シルビアは綺麗なステッキを出して見せた。

30センチぐらいの黒く艶のある棒で、上下の端に金箔が巻いてあり宝石も装飾されていた。棒の先にはゴルフボールぐらいの金色の球状の飾りも付いていた。


女の子向けのアニメの魔女が持っているステッキの渋いバージョンだな。

綺麗だけど黒だしな。黒に金ってボルトの黄と黒の縦縞カラーと被るな。


『それがどうかしたのか?』

「これは王様から頂いた杖なの。ここに王家の紋章が入ってるでしょ? これを見せれば町だって問題無く入れるわ。」

『そんなもん見せたら一発で連れて行かれるわ。 シルビアはバーゲストに連れて逃がされたんだぞ? 相手が誰か分かるまでは素性を隠してないと連れ戻されて終わりだ。逃がしたかったっていう事はシルビアは命の危険もあったかもしれないってことでもあるんだ。』


町に入るにしても別の方法を考えないとな。


『主殿、お困りのようですが、何を困っているのかお教え願いたい。』

『今の話の流れは難しかったか? それなら噛み砕いて言うと2つ困っていることがある。1つはシルビアの敵がいるみたいなんだ、その正体が分かるまでシルビアを匿わないといけない。2つ目もそれが関係しているが、このままでは町に入れない。』

『何故町に入れないのでしょうか。』

『まずお前だな、ボルトが大きな魔獣だから人間に攻撃される。』

『ではこれで宜しいですか。』


ボルトが小さくなって行き2メートルぐらいになった。

馬車を引くにはちょっと大きめ程度だが、まだ人間からは脅威を感じるだろう。

5メートルよりは問答無用で攻撃される心配は無くなったけどね。

しかも馬車で繋いであれば、もしかしたら誤魔化せるかもしれない。


『凄いな、そんな事ができたのか。他にはどんなことができるんだ?』

『我が得意なものは【影操作】と【雷魔法】と【眷属召喚】でございます。』

『【影操作】って凄そうだな、その話は後で聞くよ。今はもう1つの問題だ。シルビアだけだと子供1人になるから町に入るのに苦労するんだよ、まだ子供だから絶対素性を聞かれたりするんだよ。親は?とか、家は?とか、誰と来たのか?とか、お金は?とか。そうだお金はどうするんだ?』

『子供1人が何故いけないのでしょうか、そういう子供は良く見ますが。お金とは分かりませんが。』

『お金はあるよ、ほら。』

シルビアがお金を出して見せた。


あれ? 今の『念話』じゃね?

『シルビア? 今のは『念話』?』

『そうよ、馬車さんとボルトの会話を聞いてたら話せるようになっちゃった。』


まぁ素質はあったみたいだから後は切っ掛けだったんだろうし、オレ達の『念話』が切っ掛けになったんだろうな。


『それよりそのお金って。』

『たまにお客さんが来た時にくれるの。使わないしたくさん持ってるよ。』

さっすがお嬢様ッす。


『そのお金の価値ってどれぐらい? それだけあると何が出来るんだい?』

『なんでもできるんじゃない? わかんない。』

『いくら持ってるの?』

『金貨がねぇ、135枚と大金貨が5枚。』

なんか分からんが、お嬢様だから大金の様な気がする。


『金貨1枚で何ができるの?』

『わからないわ、使ったことがないの。』

どこまでもお嬢様っすね。


『まずはエイベーン王国とは反対の方向に行こう。その方が良さそうだ。』

『じゃあ、馬車さんといていいのね!』

『今だけな。シルビアはまだ子供なんだから大人と一緒の方がいいんだぞ。』

『いいの、私は馬車さんと行くの。』

『ボルト、行こうか。ボルトってその大きさのままで大丈夫なのか?』

『特に問題ございませんが、少しストレスが溜まります。』

『ストレスが溜まったらどうなるの?』

『暴れて解消します。』


それは良くないねー、どっちを取ればいいんだ? デカいままか、ストレス発散か。

『暴れるってどれぐらい? 先に暴れておけばストレスもそんなに起きなかったりしない? 幸いこの辺りは人間もいないようだけど。』

『魔物狩りが一番のストレス解消になります。先に発散してきても宜しいか。』

『そうだな、そうしよっか。』

【バング】を解除してやった。


ガオゴォオォォォォ!!

咆哮をあげ走って行く


ボルトは山の森に向かって走って行くと森の入り口で雷魔法を1発!

ピカッ! グオゴロゴログドーーン!!


山の形が変わってしまった。

更に隣の山を走り回っている。たまに木が倒れたり燃えたりしてるので、あーあそこにいるんだなーってわかる。

あなた、そんなに強かったのね。


ピロピロピーン

《移動経験値が上がりレベルが14になりました。どれを選びますか?》

念話

錬金

料理

合成

御者

冒険者カード


あ、なんか増えてる。え? お? あれ? キタ? おお! 御者!? 人間じゃねーの? キタよこれー。

いや、待て待て。いつものパターンだ、上げて落とす。こいつらのやり方だ。わかってるって、だから別の物を選ぼうかなー。

『御者で!』


《御者が選択されました。御者をゲットしました。》

《自走時間20分獲得しました。自走時間は合計100分になりました。》


じゃあ、早速・・・


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが10になりました。水を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》

《光魔法【ライト】を獲得しました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが11になりました。紅茶葉を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》

《召喚魔法【使い】を獲得しました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが12になりました。ワインを出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》

《幻影魔法【蜃気楼(ミラージュ)】を獲得しました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが13になりました。食器を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》

《空間魔法【潜行】を獲得しました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが14になりました。瓶を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが15になりました。銅を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが16になりました。鉄鉱石を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが17になりました。ミスリル鉱石を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが18になりました。プラチナ鉱石を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが19になりました。金鉱石を出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが20になりました。ファントムメタルを出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》



これって・・・・ボルトの倒した分? 離れていても経験値が入るの?

嬉しいっちゃ嬉しいんだけど、この荷台に出てきたレベルアップボーナス品を見ると、錬金か料理を取れって言ってるようなもんだよな。

どっちもオレには必要無いもんなんだけど・・・。

食えねーし持てねーし。


もう御者を取ったしー。後悔もしてないしー。


【御者】出て来い!

うん、御者台に出て来たね。それで? その真っ黒い影みたいな奴は誰? 影みたいって影そのものじゃん。御者台から全く動かせないし。

すみません、後悔しました。後悔しかないわー。

また外れかよ、ホント上げるだけ上げてから落とすこのシステム、どうにかならんもんかね。


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが21になりました。ドライアド・ウッドチップを出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》


ボルトの奴、まだやってたのか。どんだけレベルが上がるんだ。


ドライアド・ウッドチップか、これも素材っぽい名前だなぁ。ボルトが帰って来たら引いてもらいまくって錬金と料理を取らされるんだな。オレって後方支援的な奴だったのか? そりゃ馬車だから後方支援でも出来すぎなんだけどさー、もっとこう、なんだろ。オレも戦えるって感じのが欲しい訳よ。移動要塞的な? ミサイルや魔法を打ちまくって魔物を倒すみたいな?

ぶっちゃけ人間に変身できるようなスキルも欲しい訳よ。

無いもんかねー。




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