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第65話 行き先変更

 パルの件も解決したし、メキドナに向かって移動を再開した。

 パルも調子には乗ってるけど謙虚さは少しは持ってくれたように見える。

 あまり調子に乗り過ぎてると、ルシエルだけじゃなく、皆が注意してくれてるみたいだ。

 良い子になってくれるといいけどね。221歳に向かって言う言葉じゃないか。

 見た目があんなだから、そうは思えないけどね。精神年齢も低いしね。



「ミランダリィさん、もうメキドナに行ってもいいかな?」

「今で3か月ぐらいよね、まだちょっと早いわね」

「だったら、別に寄る所もないしこのまま東の森に行ってしまおうか」


「ご主人様! それやったら、うちのとこに寄ってもらえませんか?」

「パルのとこ?」

「はい、ユグドラシルがおりますねん。そんな遠ぉないし、ちょっと見て行きませんか」

「ユグドラシルねぇ・・・」


 あんまり気が進まないな。パルも話し方を意識して来てるのに、地元に戻ったら話し方も戻ってしまうんじゃないか?


『ほぉ、ユグドラシルですか。今の時期なら寄るのもいいですな』

『旦那も思い出したかい、確かに今ならあれがあるねぇ』

 ボルトとハヤテが何かを思い出したようだ。


『あれって何だい?』

『ユグドラシルは今の時期、実を付けるのですが、その実は魔法を使う者にとっては良い事が起こるのです』

『へー、どんないい事が起こるの?』

『MPが大幅にアップします』


 へー、そんな実があるんだ。うちの連中は(みんな)魔法を使うからそれはいいかも。

『でも、それって誰でも食べれるの?』

『御意、我の記憶では問題無いかと』


「アカンてアカンて、勝手には食べられへんって」

 オレ達の念話を聞いていたパルが慌てて止めに来た。

「何がダメなんだ?」

「ボルトさんは昔食べたんやろうけど、今アカンねん」

「仲間内は呼び捨てでいいよ。で、今はダメってどういう事なんだい?」

 呼び捨てにしようって言ったのはオレだしね。


「今『は』やなくて、今『』やねんけどな」

「じゃあ、食べられないって事?」

「そうやないねん。ご主人様、早とちりし過ぎ。もうちょっとうちの話を聞いてな」


 たしかに・・・

「わかった、話してみてよ」



 パルの話はこうだった。

 ユグドラシルが実を付ける時期はボルト達の言う通り、今の時期で合ってるらしい。

 ユグドラシルは巨大な樹だから付ける実も多いが、それでも限りはある。集落の主たる財源である実は、集落の者でも全員が食べれる訳では無いという事だ。


 パルのいた集落は『妖精の森・パルパ』という名前で、妖精だけの集落を作っていて特定の人間との交流がある。

 人間と交流があるという事はお金が必要になって来る。物々交換をするにしても、妖精達が欲しい物を手に入れるためには妖精側にも商品が必要になる。

 ユグドラシルの実や葉は、妖精が加工すると『マナドリンク』など、魔法力に関するアイテムが造れる。それが妖精側からの商品であるため、ユグドラシルの実や葉、そして造られたアイテムは集落の中で消費される事が少ない。

 ユグドラシル産アイテムの殆どが交換用として保管されている。

 得られる物は肉などの食料や武器、アイテムなど、森から出ない妖精達から見れば欲しい物はたくさんある。欲しい物だらけなのだ。交換材料はできるだけ多く確保しておきたい。


 こういった理由でユグドラシルから穫れる物は自由には出来ないようで、実も食べてもいい分は非常に少ないという事だった。


 妖精ってそんなに物欲があるの? 肉を食うとか食事もするの? 物々交換って何?

 パルも普通に肉を食ってるしな、首輪を貰った時も嬉しそうだったよな。

 オレの中のイメージが崩れるなぁ。妖精って花の蜜を吸ったり、人間にいたずらしたりとかって自由なイメージだったのに、人間と商売してるって・・・


「じゃあ、行っても実は食べられないじゃん」

「だからご主人様は早とちりなんやって。少しは自分らで食べる分もあんねん。条件付きやけどな」

「条件?」

「そやねん、集落の者でまだ食べた事が無い人とか、部外者でも集落に貢献してくれた人とか、試練を達成した人やったら食べてもええねん」


 面倒くさそうだなぁ、辞めとくか。


「でも、それならどこかに売ってるんじゃないのか?」

「そんなんすぐ売り切れてまうから買われへんと思うけどな」

確かに需要は多いんだろうな。


「じゃあ、ボルトはどうやって食べたんだよ」

「うちがまだ生まれるだいぶ前の話やけど、ユグドラシルを奪い合う戦争があったんや。魔人が率いる魔物と同士の戦いやったんやけど、どっちも雷獣が滅ぼして戦争は終わったんや。()はその時雷獣に全部食べられてもうたんやけど、そのあとに精霊女王様が結界を張ってユグドラシルを保護したんや。うちら妖精は、その時に生まれてユグドラシルの管理を任されたんや」


 んー、ボルトの祖先も絡んでたのね。ツッコミ処満載はいつもの事だけど、これだけは聞いておかないとね。


「ユグドラシルって魔物だよね?」

「そやで」

「魔物と妖精って結びつかないんだけど」

「それはな、ユグドラシルって魔素の濃い~所でしか育たへんのやけど、その魔素はユグドラシルが吸ってまうから、周りの魔素は薄くなんねん。だからユグドラシルを守る事は魔素の薄い場所を確保できるって事やから、うちら妖精にとっても都合がええねん」


魔素が薄い所だと、魔物も弱いのしかいないしね。うまく共存共栄ができてるんだな。

 東の森もそうだけど、魔素が濃くなる所は勝手に魔素が寄って来るから、ユグドラシルが育つにも最適な環境なんだろうね。


「ユグドラシルか・・・見てみたいとは思うんだけどなぁ。日数的にはもう少し余裕があるから行ってもいいんだけど、行っても実が食べられないんなら楽しみが半減だな」

 オレは食べられないけど、シルビア達が食べるとMPが上がるんだろ? 折角なら食べさせたいよな。


「そんな事無いって。ええとこやし、試練を受けたら食べられるやん」

「そういえば、試練って言ってたね。試練ってどんなことをするの?」

「試練は毎年変わんねん。(おさ)がその年の試練を決めんねんけど、今年は何やろな。滝の試練か洞窟の試練あたりちゃうかな」

「ふ~ん、でもユグドラシルの実って、そこまでして食べたいものなの?」

「そらそうやわ。うちもまだ食べた事は無いんやけど、最大MPが上がんねんで。個人差があるからMPがどのぐらい上がるかは人それぞれみたいやけど、一番多く上がった人は3倍になった人もおるんやで」


 3倍は大きいな。シルビアが3倍になったらMP4500ぐらいになるぞ。ルシエルだったら6000ぐらいだよ。個人差があるって話だけど、マイナスにはならないみたいだから、食べる価値はあるか。


「じゃあ、行ってみようか。試練はどういう事をするのか聞いてから判断してもいいんだろ? パルはやった事があるのかい?」

「うちは集落の者やから試練はせんでもええねんけど、まだ食べた事はないねん」

「そうなんだ」

「もっとレベルが上がったら食べさせたるって(ジジ)が食べさせてくれへんねん」


確かにそうだよな。10が3倍でも30だけど、100が2倍でも200だ。20上がるのと100上がるのだったら、レベルが上がってからの方が得だよな。


「もう今なら食べさせてくれそうだな」

「そやねん! だから行きたかってん」

「わかったよ。じゃあ、道案内を頼むよ」

「え?」

「いや、道案内だよ。パルの故郷なんだろ? パルが道案内してくれないと」

「そんなん、うちに分かるはずないやん」

「え・・・・」


 パルだからね。しかも連れ去られて来てるから分からないか・・・


『主様、自分が分かるっす。自分も昔食べたっすから』

「ハヤテも食べた事あるんだ・・・。わかるんなら頼むよ、ユグドラシルの所まで向かってよ」

『了解っす! 飛んで行きますか?』

「どのぐらいで着くの?」

『こっからなら普通に走って3日ってとこっすね。飛んだらすぐっすけど』

「途中に町や村もあるだろうし、時間もあるから飛ばなくてもいいよ。色々見たいしね、ゆっくり行こう」

『了解っす』


 3日と言ってもハヤテで3日だから、普通の馬車だと倍は掛かる旅程であった。

 パルの故郷の集落へは東のメキドナに向かう街道を少し行って、北へ2日。そこからは深い森に入るため街道は無く、いつも通りボルトの先導で森を行く事になった。

 途中に小さな町や村もあったが、メキドナから海へ向かう道にもあった村と同様、聖なる効果のある木の柵で囲われていた。


 ミランダリィさんが教えてくれたが、あれは教会で聖水と同じ効果を付けてもらった木と、ご神木から加工された木の2種類があって、前者は5~6年毎に交換をしないといけないが、後者は100年は交換しなくても聖なる効果が持続するそうだ。

 名前は『教会の木』と呼ばれてるそうだ。


 もちろん、その途中の街道でも魔物は出て来る。

 皆が交代で御者台に座り、ハヤテの走行の邪魔にならないように魔物を排除して行く。

 ハヤテでも排除できるんだけど、引っ張ってもらって、その上魔物の排除もって何だかね。他の者も手伝わないとハヤテばかりじゃ悪い気がするよね。皆、それだけの力があるんだからね。

 街道で出て来る魔物は雑魚ばかりだったけど、森に入ってからは出て来る魔物が一変した。


 聞いていた通り、魔素の濃い森だったから魔物もクラスの高い魔物が出て来た。

 先導がボルトだから問題無かったけど、獣系や虫系の魔物の多い森だった。

 蝶や蛾、ムカデ、てんとう虫、バッタ、蟻、カブト虫、クワガタ、芋虫などの虫系の魔物も身体が大きく、熊、狼、鹿、狐、猪、豚の獣系や鳥系の魔物を虫系の魔物が襲っているのを何度か目にした。

 この森では虫系の魔物が強いようだ。


キュキュ『あるじ様ー、あっちの方になんかいるよー』

『なんかって何? 強い魔物?』

 こう言われる時って、いつも魔物に襲われてるような・・・。これだけの面子がいれば、問題無いとは思うけど。


 御者台はルシエルの番で、【御者】は出してない。御者台から攻撃するのに【御者】は邪魔になるので、皆に座ってもらう時はスペース的には余裕があるけど、【御者】を出さないようにした。ルシエルは「大丈夫です、邪魔にはなりませんから」と出してほしいと言われたが、やっぱり邪魔だから出してない。


キュキュ『魔物もいるけど、これって人間かも』

『人間? こんな所で? それって助けないとヤバそう?』

キュキュ『どーなのかな~、人間はそんなに強くなさそう』


 じゃあ、ダメじゃん。助けてやった方がいいんじゃない?

『ボルト、人間が襲われてるんだって。どっちか分かる?』

『御意、分かります』

『じゃあ、急いでそっちに向かって』

『御意』


 森の中だから樹はもちろん多いんだけど、大きな樹が多いから樹と樹の間隔が広くて、それほどボルトに踏み倒してもらわなくても、オレが通るのに十分な広さがあった。

 道が無いから迷わないようにするだけだ。道に迷ったらハヤテに【疾風】で飛んでもらえばいいんだけどね。


 流石に街道と違って、偶には樹や岩にぶつかったりするけど、LPが少し減るだけで、痛みも無いしすぐに回復する。荷台に乗ってる者には振動も行かないようで、快適な乗り心地を楽しんでもらえてるみたいだ。


 人間はすぐに見つかった。オレの【ズーム】は半径5キロなんで、キューちゃんに言われた時には分からなかったけど、キューちゃんが発見してから約30分で人間が襲われてる所に到着した。



サーバー不調とは関係なく、更新が遅れました。

すみません。

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