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第52話 出発

 執事から先払いとして報酬の金貨100枚を受け取った。

 出発は早急にとお願いされ宿に戻った。


 出発は明日でも問題無いんだ。問題があるとすればメンバーなんだよ。

 どこまで連れて行くかなんだよな。


 絶対参加のメンバーはボルトとハヤテとキューちゃんだな。

 戦闘だけならこのメンバーで問題は無いんだけど、依頼という事は誰かと話をしないといけないんだよな。そうなると、誰かに付いて来てもらいたいんだけど・・・


 学校の成績だけでいうと、連れて行けるのはルシエルだけだね。

 戦闘の実力で行くと、頭半分ぐらいシルビアが抜けてるけど、それでも他の2人と大きくは違わない。ボルト達から比べると・・・それはちょっと可哀相か。比べる対象が悪いとは思うけど、皆の安全を思うとシルビア、ライリィ、ルシエルの実力では安全だとは言い切れない。

 それならいっその事ミランダリィさんに任せて3人共置いて行くか。


 向こうで誰かと話さないといけないかもしれないけど、今日の【馬車王】の感じからすると帽子さえ脱げば認識はしてもらえそうだよな。

 あとは、挨拶と『はい』と『いいえ』でどこまで通じるかだな。『念話』を使ってもいいんだけど、話している感じではないからねぇ。

『念話』は耳で聞いているって感じはしなくて、頭に響いてくる声って感じだから、話してる気でいる人には違和感があるからな。

 引き受けてはみたものの、困ったねぇ。


 もう夜も遅いので、翌日に話す事にした。


――明けて翌日


 いつものように町はずれで朝食を皆で摂った。

 最近は、もう宿では食事をせず、オレが朝昼晩の全部の食事を出している。皆、オレの出した料理しか食べなくなったのだ。

 別に構わないんだけど、オレとずっと一緒とも限らないんだよ? 大丈夫かね、将来が心配だ。

 美味しいって食べてくれるのは嬉しいし、食材のストックも相当ある。それはいいんだけど、他所の料理が不味くて食べられないって言いだしてるから心配なんだよな。


 それは今は置いといて、遠征メンバーだな。

 結論から言うと全員参加になってしまった。

 シルビアは当然の如く行くって言うし、ライリィはボルト様に付いて行きますって言うし、ルシエルはご主人様にどこまでもお仕え致しますって言うし。パルは元々参加させる予定だったし、そうなるとミランダリィさんだけ残る訳にもいかず全員参加になってしまった。


 冒険者ギルドに寄り、少し町を離れる事を伝えに来た。

 シルビア率いるキャリッジ冒険団(って事になってる)はAランクだから、町を長期で離れる時は報告するように言われている。


「姉御、今日はどうなさったんですかい」

 テンプレ担当のゲルバがシルビアの元にやってくる。

 このゲルバは、2度に渡りシルビアに助けてもらった事で、シルビアの舎弟(自称)になった。1度目は町の外で魔物に襲われている所を、2度目は魔人の種を植え付けられてギルマスに斬られそうなところを助けた。もちろんシルビアは無視してて、ゲルバを舎弟と認めた覚えは無い。

しかもこのゲルバ、テンプレ担当らしくライリィとルシエルが採取依頼で訪れた時にも絡んでいる。ベタな奴だ。


 その時はすぐにキャリッジ冒険団だということを受付の女性がゲルバに説明し、事なきを得た。ルシエルが切れかかっていて、受付の女性もゲルバの命の危険を感じたようで、介入して来たようだ。

 因みにこの受付のお姉さんは、最初にシルビアの担当もしてくれたミニッツという20代後半に見えるが、美人のお姉さんだ。名は体を表すというが、このお姉さんミニッツという名前なのに胸は明らかにミニでは無い。ビッグだった。所謂ボインというやつだ。そこは今関係ないか。


 インザーグ達の姿も見えた。

 インザーグ冒険団は西のダンジョンの40階層まで挑戦しているが、未だに40階層のフロアボスを倒す事ができないらしい。

 西のダンジョンは東のダンジョンと違って50階層のダンジョンで、10階層毎にフロアボスがいる。

 10階層ゴブリンキング。20階層ハイオーク。30階層オークキング。40階層ウェアウルフロード率いるウェアウルフ100匹の群れ。50階層キングギガースとキングギガースを守護するギガンテス10体。


 40階層はCクラスのウェアウルフウェアだから、BランクとCランクで構成されているインザーグ冒険団なら100匹いても何とか倒せる実力は持っている。しかしウルフロードが率いてる為、元々群れでの集団攻撃が得意な狼の魔物であるウェアウルフの統率の取れた攻撃に苦難しているそうだ。しかも群れの中にはウェアウルフの上位版の変異種でブレスを吐くものや回復系スキルを使うものまで混ざっているそうで、いつも半分ぐらい倒したあたりで諦めて戻って来るそうだ。

 インザーグ達はもう5回挑戦したが、毎回なんとか逃げ帰って来れてるようだ。

 それというのも、本来はフロアボス戦が始まると普通はそのフロアからの移動はできなくなるようなんだけど、この40階層だけはウェアウルフを50体倒せば39階層への階段が現れるそうだ。但し、一度39階層に戻ると、すぐに40階層に行ってもウェアウルフの数は元の100匹に戻ってしまうらしい。

 ダンジョンとは不思議に満ちた空間のようだ。


 現在西のダンジョンに挑戦中の冒険者達は、この40階層を突破できないパーティが3組いて、その3組が現在の先頭集団だとインザーグが自慢げに話していた。


 もちろん過去には50階層を制覇したパーティもいた。

 その内の1組がここのギルマスのゲーリックだそうだ。

 ゲーリックは単独でこのダンジョンを制覇し、その実力が認められてギルドマスターに就任した実力者だった。最終的な冒険者ランクもAランクの強者である。


 今回、報告に来たのはギルマスのゲーリックにではなくてアーサー事務長にだ。

 ギルマスは脳筋だからこういった報告はアーサー事務長にする方が早い。

 今回もアーサー事務長に報告をしたいのだけど、シルビア達の周りにはゲルバ冒険団やインザーグ冒険団をはじめ、他の冒険者達も集まって来るから報告ができない。

 シルビアもライリィもルシエルも、ほとんど冒険者達と話すことはない。その代わりにミランダリィさんが話し掛けられると気さくに答えるから、最近凄く可愛くなってきたライリィや妖艶さが増して来たルシエルにお近づきになりたい冒険者達が寄って来るのだ。


 ライリィは虎系の獣人で雷人だけど、前衛には非常に邪魔な胸が最近更に大きくなって来ている。もはや犯罪レベルだ。金髪銀目の童顔で可愛らしい顔立ちが冒険者達にうウケている。

 ルシエルは左目が黒、髪の毛の左半分も黒色。右目は金色、髪の毛の右半分も白色で、天族と魔族のハーフだから元々妖艶な雰囲気はあった。

 おどおどしてた初めの頃と違って、最近ではお姉さんぶってライリィやシルビアの面倒をよく見ている。大分しっかりしてきた。毎朝、荷台を磨く日課も欠かさずやってくれている。レベルが上がった事も影響しているのか、落ち着きのある雰囲気になって来た事もあり、妖艶さに磨きがかかって来た。顔立ちも凄く美人だ。

 ダブついたワンピースを着ているので普段は分かりにくいが、たまに手を腰に当てて困ったポーズをする時には身体のラインが分かるので、しっかり栄養が行き届いて来たなって思ってしまう。ライリィほどでは無いが、ルシエルもスタイルは抜群にいい。

 オレはいつも見てるから知ってるんだけどね。


 これだけ注目を集めてるのに本人たちは自覚が無いようで、東の森で鍛錬が終わると素っ裸になり、風呂に入って(はしゃ)いでいる。まぁ、まだ子供だという事だね。

 オレって、ほら、目を閉じれないじゃん! 目を閉じたいんだけどさぁ、閉じれないから仕方が無いよね~♪


 初めのうちはキューちゃんにお願いして水魔法と火魔法の複合魔法で作ったお湯を、土魔法で作った風呂に入れていたが、最近は自分達で造るようになった。

 女と魔物だけのパーティとはいえ、オレもいるんだけどね。

 確かに東の森に人間が入って来る事は無いけど、ミランダリィさんまでオレの前で遠慮なく風呂に入るとは思わなかったよ。

 確かにおれは馬車だけど、男なんだよ。ミランダリィさんにはもうちょっと恥じらいってのを教えてやってほしいんだけどな。


 あ、報告だったな。出会った時からの成長を考えると、つい回想に入っちまうんだよな。ホント3人共仲が良くて明るくなって来たから余計に感じてしまうんだよな。


 アーサー事務長にはトーラス伯爵から連絡は来てたようで、態々報告に来なくても良かったようだ。「無事に帰って来て下さい」と言われ冒険者ギルドを後にした。



 そのまま町を出て幌馬車モードで西のワンワード王国を目指した。

 地図があるから距離や地形はわかる。これなら通常馬車で国境まで2~3か月かかるだろう。今回のキュジャリング王国軍3000名も3か月掛かったとトーラス伯爵が言っていたが、歩兵もいる事を考えれば相当早い行軍だったと思う。

 ここは異世界、魔法というものがある。体力強化や回復魔法を駆使し、約2000キロを3か月で移動したんだろう。

 道はずっと平坦では無い、山もあれば谷もある。川もあれば森もある。食料調達の為に魔物や獣を狩る時もある。

 そんな道程を魔法も使うとはいえ3か月で行軍したのは軍のレベルの高さが伺える。


 でもオレとハヤテなら、急ぎ目で時速40キロで走ったとして、1時間で40キロ走破できる訳だから、1日10時間走ったとして400キロ。途中、トラブルがあったとしても1週間あれば辿り着けるな。


 結果、一晩で到着しました。


 夜の間にハヤテの【疾風】で飛んでもらいました。4時間も掛からず何のトラブルも無く、2000キロを飛びました。うまく追い風にも乗れたようです。

 今は、明日キュジャリング王国軍との合流のため、みんな寝ています。

 ・・・・なんだかなぁ・・・。


 うちの連中はいつもオレの予想の遥か上を行くね。

 嬉しいんだけど、なんか納得いかない場合が多いよね。


訂正:ゲルバが弟子⇒舎弟

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