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第40話 それぞれの確認

誤字報告ありがとうございます。



2人を荷台に上げシルビアとミランダリィさんに紹介する。

シルビアとミランダリィさんにはボルトの繋がりのある子が奴隷にされてたので買って来たと説明した。「奴隷だからと言って差別しないで仲良くしてやってほしい」と付け加えた。

ミランダリィさんは奴隷がどんな奴らか分かっていながら快く了承してくれたが、シルビアは奴隷って言葉は知っていたが、奴隷がどんな奴らかあまり分かって無いようだ。でも、その方がいいかもね、シルビアより少し上の歳に見えるが普通に仲良くやってほしいもんね。

ヒョコっと顔を出した妖精にはシルビアもミランダリィさんも食いついた。

妖精を見てキャッキャッと燥ぐ2人だったが、捥げた羽を見て2人は優しく撫でてあげていた。


獣人の子はまだ眠ったまま意識を取り戻していない。気絶なのか睡眠なのか分からないが、命に別状は無さそうだ。

先にこの場を離れよう。

ハヤテに引いてもらい宿に向かった。妖精の羽もまだ千切れた状態なので【回復(ヒーリング)地帯(ゾーン)】を発動しておく。

今の内にボルトに確認しておこう。


『ボルト、この子で合ってる?』

『主殿、ありがとうございます。この子でございます』

『ボルトの所縁の者って言ってたけど、どういうつながりがあるの? この子は獣人だよ』

『御意、それには説明が必要でございますな』

ボルトが説明を始めた。


『雷獣は雷獣を残せません。雷獣は死んだら次の後継者にその能力と記憶を引き継ぐため、消滅します。骸も残りません。しかし、子を繁殖させる事はできます。その子達には雷獣の記憶や能力は引き継げませんので、ごく平凡な子が生まれます。しかし稀に隔世遺伝なのか雷獣直径の子孫に特殊な能力を持って産まれる子がおります。それは【八雷神(やくさいかづちのかみ)】というユニークスキルと決まっております。』


ボルトが雷獣に進化したのはサンダータイガーからだよな。だからその雷獣の能力というか意志みたいなものを進化によって引き継いだんだから、子孫って訳では無いのは分かるよ。1時代に1匹っていうのは記憶も引き継ぐからなんだろうね。

八雷神(やくさいかづちのかみ)】ですか、なんか凄そうだね。


『この【八雷神(やくさいかづちのかみ)】ですが、非常に強力で攻撃的なユニークスキルで、使う者によっては世界を滅ぼしかねません。今までに3度、このユニークスキルを持った者が現れた事があります。いずれも雷獣が【八雷神(やくさいかづちのかみ)】を持つ者を倒しています。雷獣には雷が効きませんので、雷獣がその子の善悪を見定めて判断した結果でした』


世界を滅ぼす程の力ってどんだけだよ。しかもそれを倒す雷獣も凄ぇーな。


『それでこの子がその【八雷神(やくさいかづちのかみ)】を持つ者なのか? オレの【鑑定】には出て無いけど』

『それは・・・今後出るかもしれませんし、出ないかもしれません。ただ、可能性のある子は雷獣である我には分かるのです』

『その可能性がある子ってことは雷獣の子孫って事になるんだよな』

『御意、どの世代の雷獣かは分かりませんが、雷獣の子孫で間違いございません』

『雷獣の子孫なのに獣人ってどういう事なの?』

『それはどういう意味でしょうか?』

『いや、獣人ってそもそもどうやってできるの?』

『獣人とは人間と獣系の魔物との混血でございます』


そこがわかんないんだよなぁ、元日本人としては。染色体って全部違うって思ってるから有り得ない話なんだよなぁ、犬と猫を掛け合わせても子供は出来ない訳で。魔物なんだから何でもありなのか? ファンタジーの世界だしな、そういう事で無理やり納得しよう。

魔法もあるんだし、この世界ではオレの理解を超えているものばかりだしな。大体オレなんか馬車だしね。

このオレから見たらこの不思議な世界の人間でも、生まれ変わったら馬車になってたなんて誰も信じないからね。


しかし話が大き過ぎるよ、馬車のオレには関係ないからね。なーんもできないし。

ボルト、任せたぞ。



この子はまだ目覚めないな。先にこっちの2人に話をしようか。

『まずは天魔人の子。お前どうする?』

荷台に乗ってるからオレの念話でもテレパスでも聞こえてるはずだ。荷台に乗って無くても念話が通じる事はさっき妖精で証明されたからね。


【鑑定】

名前: なし

分類: 天魔人(混血)LV8

HP:23/33 MP:51/55 ATT34 DFE31 SPD32

スキル:【魔眼】0/10【天眼】0/10【武器】1/10【魔法】1/10【念話】0/10【隠形】2/10【感知】1/10

武器:【剣】1/10【槍】1/10【弓】2/10【杖】2/10

魔法:【火】1/10【水】3/10【木】2/10【土】1/10【闇】0/10【光】0/10

ユニークスキル:【――】

称号:


元の名前はルシエルってわかってんだけどな。


「誰?」

天魔人の子はシルビアとミランダリィさんを見るが、2人はキューちゃんと妖精に夢中になっていて天魔人の子の方を見ていない。

『お前を奴隷屋から買った者だよ』

「どこにいらっしゃるのでしょうか?」

『どうせ信用しないだろうけど、オレは馬車だよ』

「馬車? そういう設定なのでございますね」

え? なんとかプレイとかじゃないからな。でも、勘違いしててもらった方が話ができるか。


『そう、馬車だよ。それでな、オレはお前を奴隷として置いておくつもりは無いんだよ。できれば解放してやりたいんだが、今のお前だと弱いからまた捕まるか魔物にやられそうじゃないか。それで、少し強くなるまで一緒にいるか?』

「育成に放置でございますね、かしこまりました」

『な、なんか勘違いしてない?』

「ご主人様のご要望通りかと」

『違うわ! オレが聞いてんのは、お前がここにいてもいいと思ってんのか、それとも逃げたいと思ってんのかだよ』

「逃げるなんてとんでもございません」

天魔人の子が急に震え出した。逃げるというキーワードに過敏に反応していた。


『すまん、言い方が悪かったみたいだ。もう少し強くなるまで一緒にいればいいよ』

「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうござ・・・・・・」

天魔人の子は泣きながらいつまでもお礼を言い続けた。


「あー! 馬車さんが虐めたー」

『いや、虐めてねーし』

「女の子を泣かしちゃダメなんだよ」

『だから虐めてねーし』


シルビアが天魔人の子を慰めてくれた。

シルビアの方が小さいのにね、ありがとうシルビア。そういえばこの子達何歳なんだろ? 落ち着いたら聞いてみようか。

服がボロボロだったから着替えるように言って服を出してやった。ゴトン!

オレが出せる服は1種類だけ。黒の長袖シャツに黒のズボン、デザインは普通。ポケットも無し。

この世界でも違和感が無い服だった。明日、こっちの獣人の子と一緒に服屋に連れて行って、ミランダリィさんにコーディネートしてもらお。


次はこっちの妖精だな。こっちも元の名前はディーディパルって分かってるんだよなぁ。


【鑑定】

名前: なし

分類: シルフィ(風の妖精)LV4

HP:22/22 MP:47/47 ATT14  DFE13 SPD36

スキル:【隠形】1/10【念話】0/10【武器】1/10【魔法】2/10【気配感知】1/10【魔力感知】1/10

魔法:【風】2/10【召喚】1/10

ユニークスキル:

称号:


うん、弱いね。羽はオレの【回復(ヒーリング)地帯(ゾーン)】の影響なのかHPが回復する事で治ったのかわかんないけど、もうほとんど治ってるね。


『妖精さん、お前はどうする? 約束通り逃げてもいいけど、その首輪が邪魔だよなぁ』

「そやねん、この首輪をどうにかせんとアカンわ」

やっぱり、こんな可愛いちっちゃな妖精が関西弁って違和感が・・・


この奴隷の首輪ってどうにかなんないのかなぁ。

『ミランダリィさん、この奴隷の首輪ってはずせないの?』

「奴隷商なら外せるんでしょうけど、他で外せる人っているのかしら」

『付けるとこを見たんだけど、闇魔法を使ってるみたいだったんだ。魔法なら外せるんじゃないの?』

「そうね、闇魔法なら同じ闇魔法の上位のレベルか、同程度の光魔法で外せるかもね」

じゃあ、今は保留かな。キューちゃんは光も闇も魔法が使えるけど、大したレベルじゃないしね。

アクセサリー屋のサンなら何か知らないかな。


宿に着いても獣人の子は起きなかった。


妖精と天魔人の子はシルビアとミランダリィさんと一緒に宿に連れて行ってもらった。獣人の子は起きたら話があるので置いてってもらった。


宿泊モードになって様子を見ていると、夜中の12時を過ぎた頃に獣人の子がやっと起きた。

「お、お、おなかが・・・」

『おっ、やっと起きたか。おなかがどうした、痛いのか?』

「お、おなかがすいた」

そりゃそうだな、3日以上食べて無いんだもんな。HPは回復しても腹は減るだろうな。

『ご飯を出してやるからちょっと待ってろ。先にパンでも食べてればいいよ』

ゴトン! パンを出した。

「あ! パン!」

獣人の子はパンに飛びつくと夢中で食べ始めた。

うぐっ。


そうだろうね、喉を詰めたんだな。ゴトン! 水を出してやった。

今度は夢中で水を飲んでいる。

パンを一気に食べると「もっと!」って言ってる。

料理ができたので出してやった。3日も食べて無いから野菜スープを2人前出してやった。

獣人の子は一気に食べきった。「もっと」ってまだ言ってたけど、少し休憩してから出してやるから先に話をしようと言うとキョロキョロした後に正座をして姿勢を正した。

「どなたか知りませんが、ありがとうございます。ごちそうさまでした」

へー、行儀のいい子だなぁ。これならボルトも心配いらないんじゃないか?


【鑑定】

名前: なし

分類: 獣人 (ホワイトライガー)LV7

HP:35/35 MP:30/30 ATT37 DFE28 SPD33

スキル:【体術】1/10【武器】0/10【魔法】1/10【念話】0/10【隠形】1/10【気配感知】1/10

体術:

武器:【剣】0/10【槍】0/10【弓】0/10

魔法:【火】1/10【水】1/10【木】0/10【土】0/10

ユニークスキル:【――】

称号:


元の名前はライリィだったよな。薄く出てるもんな。そのまま名前を付けてやったらどうなるんだろ?

他の2人は解放でいいけどこの子の場合は、ボルトが面倒を見るんだから名前はあった方がいいよな。


『君さぁ、自分の名前は覚えてる?』

「名前・・・・」

獣人の子は俯いて考え込んだ。やっぱり思い出せないんだ。奴隷にされた時に名前を消されたんだな、あそこにいた奴隷も天魔人の子も妖精も皆そうだったもんな。

『やっぱり覚えて無いんだな。どうする?』

「何がですか?」

『君の場合はボルトといないといけないらしいから、名前はあった方がいいと思うんだよね。あ、ボルトってオレの仲間ね』

「ボルト・・・・?」

『そっか、知らないよな。ボルト、出て来てやってよ』

『御意』

ボルトが影から出てきたので、オレも宿泊モードから荷馬車モードにチェンジした。

ボルトも空気を読んだのか、1番小さな2メートルの大きさで出てきてた。


それでも獣人の子は衝撃を受けたようで、大きな目をしたまま動かない。

息してるか?


「ら、ら、雷獣様? 雷獣様ではありませんか!?」

『うむ』

『雷獣を知ってんの?』

「はい、生まれた時から『我血筋は雷獣の直系だからもっと誇りを高く持て』と言われて育ちましたから。私はそういう両親が嫌で堪りませんでしたが。それに、雷獣様とは繋がりを感じます」

ボルトも言ってたもんな、繋がりか。ちょっと羨ましいな。オレにもいんのかね、繋がりのある奴って。運命の馬とか? ・・・・いやだ。


『それならボルトと一緒にいるって事でいいよな。ボルトもそれでいいんだろ?』

『御意』

「ボルト様とは雷獣様の事ですか?」

『そうだよ』

「雷獣様と一緒? どういう事ですか?」

『君はさぁ、奴隷屋にいたんだよ。覚えてる? 奴隷屋にいた君をオレが買ったんだ、ボルトのお願いでね。だから君の面倒はボルトが見てくれると思うよ』

『あ、主殿』

「雷獣様が・・・・ボルト様が一緒にいてくださるのですか!」

獣人の子は嬉しそうに満面の笑顔で目を輝かせてボルトを見つめている。

『そうだよ』

『主殿』

『なんだよ、いいじゃん。この子も嬉しそうだし頼んだよ、ボルト。ついでに名前も付けてあげたら? 元の名前はライリィっていうみたいだけど、消されちゃってるみたいだからね』

『我に獣人の子の面倒が見れるとは思えませぬ。それに名付けは主殿にお願いします』

『えー、世話も名付けもオレに丸投げ? じゃあボルトは何をするんだよ』

『我は狩りや戦い方を教えます』

『それだけ? ちょっとズルくない?』

「私はお邪魔なのでしょうか」

悲しそうに獣人の子が言ってくる。

寂しそうに呟く獣人の子にボルトが慌てて弁解した。


『じゃ、邪魔な訳などあるわけ無かろう。全て我に任せればよい。我らには主殿が付いておられる、すべて主殿に委ねればよい』

えっ? 結局丸投げ? ボルトに料理や服は期待できないから仕方が無いか。


『わかったよ、じゃあ名前だな。オレが名付けるんだな』

『御意』

名前は元のライリィでいいだろ? 知り合いに会ったときに別の名前だとおかしいもんな。

あれ? でもこれって馬車の従者になっちゃわない?


ボルトも獣人の子も期待して目を輝かせている。なんでボルトもなんだよ!

この状況で辞められないよなぁ、知らねーぞ。


『君の名前は元の名前のライリィにするよ、ライリィと名付ける』

《SPはどれだけ消費しますか?》

あ、そんなのがあったな。全部消費したら進化するんだったよな。それなら進化をした方が得なんだし、全部消費するよ。馬車の従者って称号になる、せめてもの罪滅ぼしだよ。

《わかりました》


SPを全部消費したので、正面と荷台以外が見えなくなる。

荷台にいるライリィが、バチバチバチィ! と稲妻を纏い眠りについた。ボルトの時より電気の量が多くないか?

寝具を出してライリィに布団を掛けてやった。

再び宿泊モードにチェンジして、夜は更けていった。


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