表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/204

第39話 奴隷屋

仕事の都合で今週から投稿の間隔が長くなりそうです。

すみません。

出来る限り頑張りますのでよろしくお願いします。

いつもボルトに町中で食事をあげる時には町の中心から大分離れた塀の方にやって来てあげている。家も疎らだし人通りも少ないからだ。

ボロい家も多くスラムの様な貧民街のイメージのある地域だ。スラム街と言っても差し支えないだろう。

南北の居住区でも塀に近くなるにつれて活気が無くなって行くが、ギルドが多い東寄りになるともっと酷くなる。南東と北東がスラム街になっている。

スラム街には裏の商売も多く存在する。南東のスラム街には色街が多いようで、冒険者も含めまだ人通りが多いが、今いる北東のスラム街は人通りも少なく非常に寂れている。

だからボルト達の食事をするのに丁度いいんだけどね。

そんな中の更に路地を入った所に奴隷屋があった。

町並みも怪しげな雰囲気だし、路地には絶対に入りたくないと思える所に、その店があった。たぶんオレが人間だったら絶対にこの路地には入って行かないだろうな。でも、ボルトの頼みだ。行ってやるぞ。


シルビアとミランダリィさんには馬車で待っててもらって、【馬車主】だけで行ってみた。【馬車主】だったら危なくなっても消すだけでいいから。交渉が難しいが、まずは様子を見てみないとね。

奴隷屋の前に来たが、小さく『奴隷各種取り扱いあり』と紙に手書きで書かれたものが貼ってあるだけで、中は見えない。

勇気を振り絞ってドアを開けて中に入った。【馬車主】になって動作は色々できるようになったからドアぐらいは開けられる。

中に入ると左右に檻があり、2~3人ずつ奴隷が入れられていた。色んな種類の人が入っていた。全員足枷が付けられている。

【鑑定】ではハーフエルフやドワーフ、獣人でも色んな種類がいたし人間もいた。小さな羽が生えた女の子(妖精族ってなってた)もいたし、人より魔物と呼んだ方がいいような者までいた。

ただ、【鑑定】では名前はあるんだが、文字が薄くなっている。【錬金】で項目を選べない時と同じ感じだ。


『ボルト、今店に入った所だけど、どこにいる奴だ?』

『そこではありません。下にいるようです』

下? 地下って事か。


奥から男が出て来た。黒ずくめの服を着て丸眼鏡を掛けていた。身体も丸としか表現できない体型をしていた。

「ドアが開いたようだったが・・・」

【馬車主】を3秒ぐらい見ていたから「こんにちは」と挨拶してやると、

「あ、お客様でしたか。いらっしゃいませ」

【馬車主】1人でも影が薄くなってんな、ずっと見てたのにね。

「本日はどんな奴隷をお探しですか?」

うん、困ったな。言えるセリフが無いな。ここにいれば指さすだけでいいと思ってたのに地下って想定外だ。

仕方が無い出直すか。でも、シルビアとミランダリィさんにはこんな場所を見せたくないな。それなら通訳を1人買うか。害が無さそうなのは・・・・

【馬車主】でさっきの妖精を指さした。金貨20枚となっていた。

「おー、これはお目が高い。この妖精は昨日入荷したばかりでございまして、まだまだ粋が良いんですよ。手や足を捥いだとしても、すぐに死ぬ事はございませんよ」おーほっほっほ

奴隷商がイラっと来る笑いをしている。

確かに元気ではあるようだが、4枚羽のうち2枚を毟り取られていて飛べなくしてあるようだ。見た目が痛々しい。

「それでは代金の方ですが、金貨30枚となっております。先にお支払い頂いても宜しいですか」

「いいえ」

金貨20枚ってなってるじゃん。【馬車主】で書いてある価格を指さす。


「おーこれはこれは、奴隷を購入されるのは初めてでございましたか。これは奴隷の価格でございまして、奴隷を購入される場合はその場で奴隷紋を付けるか奴隷の首輪を付けなければいけません、そうしなければ逃げられてしまいますから。この妖精の場合は小さいので奴隷紋を付けると全身に付ける事になってしまいますので死んでしまいます。奴隷の首輪も小さすぎて特殊な造りになっておりますので、少し割高になっております。ご納得いただけましたでしょうか」


そういうルールがあるのか。知らないから騙されてるのかどうかも分かんないよ。【馬車主】だと値段交渉や文句も言えないしね。

「はい」

「ご納得頂きありがとうございます。それでは金貨30枚、頂いても宜しいですか?」

「はい」

金貨30枚を出した。オレのいる場所からは直線距離で10メートル程度だから届いた。

「ありがとうございます。それでは奴隷の首輪を持って参りますので、しばらくお待ちください」

そう言うと奴隷商は奥に消えて行った。


その間に妖精に『念話』を送ってみる。まだ試した事は無いが『念話』ってスキルで持ってるから出来ると思う。

『妖精さん、聞こえるか? 名前はディーディパルかな?』

この子も名前が薄くなってるんだよな。

「誰? 誰が話してんの? ディーディパルって誰の事や?」

妖精って話せるんだ、しかも関西弁って・・・。妖精が関西弁って違和感アリアリだな。でも名前が薄くなってるから名前を呼んでも通じないみたいだな。


『妖精さん、オレが君を買ったんだけど、1つお願いを聞いて欲しい』

「あんたもあいつらの仲間か?」

『あいつらが誰の事か知らないけど、1つお願いを聞いてくれたら逃がしてあげるよ』

「えー! 逃がしてくれるん? ホンマに!」

『声が大きいよ』

「あ、ごめーん」

『じゃあ、1つお願いしてもいいかい?』

「うん」

妖精が頷いた、お願いを聞いてくれるようだ。逃げたいのが1番なんだろうけどな。


『この奴隷屋には地下があるみたいなんだけど、その目の前にいる奴は言葉が話せないんだ。そいつを地下に行けるように奴隷商に言ってくれないか?』

「それぐらいならお安い御用やで、任せといて。でもホンマに逃がしてや」

『ああ、分かってるよ。じゃあ、頼んだよ』


妖精との交渉が終わると奥から奴隷商が戻って来た。

「それでは妖精にこの首輪を付けます」

奴隷商は人間の指に巻き付けるぐらいのベルトを持っていた。

「はい、妖精ちゃん大人しくしててね。ここで暴れると後でグッフッフ、分かってますよねー」

妖精はブルッと震えて硬直した。酷い事をされているのかもしてないな。


「はい、付け終わりました。これで後は契約になります。貴方様のお名前をお伺いしても宜しいですか?」

お? また難題を。名前かぁ、どうしよう。

「いいえ」

「お名前を教えて頂きませんと奴隷契約ができません。この妖精を諦めますか?」

「いいえ」

どうしたもんかねぇ。冒険者カードを出してみる?

冒険者カードを出して見せてみた。

「ん? Eランクのボドウィン様でございましたか、冒険者だったのですね。それでは今から奴隷契約をいたしますので、この水晶に手を置いて頂けますか」

また名前が変わってるよ、どういう仕組みなんだろうね。

【馬車主】の手を水晶に置いた。


『闇に潜む精霊よ負界より眠りを覚まし妖精にボドウィンの枷を填めよ【コントラクト】』


くっ、不覚にもこのおっさんが格好良く見えてしまった。


「はい、これでこの妖精はボドウィン様の物となりました。他には必要ございませんか? こういう妖精で宜しければまだまだございますよ」

「はい」

「おお、まだご所望でございましたか。ではこちらに付いて来て頂けますか」

「こ、こ、この人は地下に行きたいって言うてはります」

妖精が勇気を振り絞って言ってくれた。

おー、ありがとう。よく言ってくれたな。手に乗せていた妖精を肩に乗せ換えた。


「地下ですとぉ? どこでその情報をお聞きになったのでしょうか」

奴隷商の雰囲気が変わる。警戒されたのか、奴隷商の目つきが鋭くなった。


おーほっほっほ

奴隷商がいきなり笑い出す。

「そういう方でございましたか、これは失礼いたしました。高額な特殊奴隷をご要望の方でございましたのですね。ではご案内いたしましょう」

高額って言わなかったか? どのぐらいするんだろう。まだ金貨1500枚以上はあるけど、それを超えると出直さないといけないな。


地下室に案内されると雰囲気が一変する。さらに薄暗くなっていて獣の唸り声も聞こえて来る。オレは匂いは分からないが、動物園みたいな獣っぽい匂いもしてるんだろうな。

妖精は怖がって【馬車主】の脇の下に潜り込んでくる。服の中に入ろうとしたけど入れなかったみたいだ。羽が捥げてて上手く飛べないから何度か落ちそうになっていたよ。【馬車主】って服を着てるんじゃなかったのか。


『ボルト、地下まで来たぞ。どんな奴だ?』

『見た目は分かりません。我が行けばすぐに分かりますが、行っても宜しいか』

『それは無理だよ、階段もボルトが通れるほど大きく無かったし』

こんな所にボルトが来たら大騒ぎになっちゃうよ。探すしかないか。


「強い物から便利な物まで何でも取り揃えております。夜のお供まで揃えておりますよ、お気の済むまで存分にご覧ください」

確かに上より色々いるよ。この獣人なんかシルビアに近いぐらいのステータスを持ってるよ。LV65だし。なんで捕まってるんだよ、これだけ強かったら捕まる事無いんじゃないの? こっちもユニークスキル【水】って持ってるし、便利だと思うな。それでも金額は金貨100~500枚か、予算内に収まりそうだ。


んー、見ててもピンと来ないなぁ。

『あ、ボルト。今妖精といるんだけど、【馬車主】と一緒にいる妖精はわかる?』

『御意、分かります』

『それなら妖精と探してる奴って近くにいるか分かるんじゃない?』

『御意、今歩いている方向からすると左奥に気配を感じます』

『左奥ね』


あれ左奥なんて無いぞ? あ、扉が閉まってるんだ。扉を開けてっと。

「あっ、ボドウィン様。どこに行かれるのですか? そちらに奴隷はおりませんよ」

扉を開けると檻が1つだけあって、その中にボロボロになって今にも死にそうな獣人が入っていた。今も気絶してるのか、眠っているのか、反応が無い。

【鑑定】で名前は薄くなってるがライリィとなっている。獣人 (ホワイトライガー)LV7か。HP 4/35、このまま放って置いたら死にそうだ。


「あー、そういえばおりましたねぇ。廃棄決定で3日前から食事も与えておりませんでしたが、まだ生きておるとはしぶとい奴め。ささ、ボドウィン様はこちらで奴隷を見てやってください」

「いいえ」

「え? どうされました? まさかこいつを買うっていうんじゃありませんよね。こいつはボドウィン様に相応しいとは思えませんよ」

「いいえ」

「こいつを買うのですか?」

「はい」

「しかしですねぇ、こいつを売るのはご勘弁願いたいのですが。もう死にかけてますからね、売ってすぐに死んだとあっては私の信用に関わりますから。他の物にしませんか?」

「いいえ」

「どうしてもこいつを買うと言うんですね」

「はい」

「わかりました。それではこいつは差し上げましょう。奴隷紋のお代として金貨5枚で差し上げます。その代り、別の奴隷を1人買ってください。それで私も折れましょう」

「はい」

「おお、ありがとうございます。それでは奴隷紋の準備を致しますので、奴隷を選んでおいてください」

「はい」

奴隷商はまた準備の為に、この階の奥に入って行った。上とは別なのかな?


他の奴隷を選べって言ったって、別に奴隷なんていらないから逃がしてやる前提で選ぶか。

さっき奴隷商が使ってた魔法って闇魔法だと思うんだよな、魔法の中に【闇】ってあったし。それなら闇魔法が使える奴なら書き換えとかできないかな。


あっ、こいつ【光】も【闇】も持ってる、キューちゃんと一緒だ。まだ0/10なんで開花してないけど、将来有望だな。こいつにしようか。



名前: なし

分類: 天魔人(混血)LV8

HP:23/33 MP:51/55 ATT34 DFE31 SPD32

スキル:【魔眼】0/10【天眼】0/10【魔法】1/10【念話】0/10【隠形】2/10【感知】1/10

武器:【剣】1/10【槍】1/10【弓】2/10【杖】2/10

魔法:【火】1/10【水】3/10【木】2/10【土】1/10【闇】0/10【光】0/10

ユニークスキル:【――】

称号:


ユニークスキルも何か開眼しそうになってるよな。今のままじゃダメだけど、少しレベルが上がったら逃がしてやろう。

名前は薄くルシエルと出てるな。


奴隷商が準備を整え戻って来た。

「お決まりになりましたか?」

「はい」

天魔人に向かって指を差す。

「ほぉ、ボドウィン様はやはりお目が高い。この子は天人と魔人の混血でございまして、将来有望な子でございます。育てれば色々と役に立つ魔法を覚えてくれる事でしょう。それでは先程の子とこちらの天人族の子で合わせて金貨260枚頂けますでしょうか」

「はい」

金貨260枚を出した。

「ありがとうございます。それでは奴隷紋を付けますので少しお待ちください」

喉のすぐ下あたりに魔法陣の様な模様を筆で描き、奴隷商が呪文唱えた。


『闇に潜む精霊よ負界より眠りを覚まし天魔人にボドウィンの枷を填めよ【コントラクト】』


ちくしょう、やっぱり格好いいぞ。見た目はあれだけど、呪文を唱える姿は大好きだ。


ホワイトライガーの獣人にも同様に奴隷紋を描いて呪文で契約する。

おいおい、この呪文ってダメージ受けてるよ。もうHPが2しか残って無いぞ。

天魔人の子にホワイトライガーの獣人の子を背負わせ、急いで戻って来た。

取り敢えず、急いで回復だ。

『キューちゃん、急いで回復してあげてほしいんだ』

キュキュ『わかったー』

荷台に乗せる前にキューちゃんに回復魔法を掛けてもらった。

ふー、なんとか間に合ったみたいだ、危なかったなぁ。



店を出た後の奴隷商は

「おーほっほっほ、お得意様ができたかもしれませんねぇ。あの冒険者の・・・はて、名前は? 冒険者の・・・冒険者? 奴隷は売れてますねぇ、お金もありますが・・・」

奴隷商は誰に売ったのかもう覚えて無かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ