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第35話 カンタークの町

街道から少し西の森側に入った所にカンタークの町があった。町に入る前に食事を済ませておく。ミランダリィさんから絶賛された今日のメニューは肉じゃがだ。どの素材のどこを使ってるのかナビゲーターに聞けば教えてくれるけど、作り方は知らないし、詳しく教えてもらわなくても美味しければそれでいいのだ。オレが食べる訳でも無いしね。


カンタークの町にも門はあったので【馬車主】で冒険者カードを見せて入門する。

言っておきますが、御者台にはずっと【馬車主】がいたんですぜ。誰も気付いて無いと思いますんで、敢えて言っておきますぜ。

シルビアとミランダリィさんも冒険者カードを見せて入門許可を貰った。ハヤテとキューちゃんは首輪をしてるから問題無し、ボルトはオレの影の中。

町は高さ2メートル厚さ30センチ程度の土を強化させた塀を少し間隔を開けて二重にして囲んでいた。メキドナの町の塀に比べるとお粗末な塀であった。大型の魔物が来たら1発で壊されてしまいそうだ。

規模としても1辺が3キロ程度しかないので、メキドナの町と比べてもかなり小さな町だった。村と言ってもいいぐらいだ、でも建物は多いな。

町の中央に大きな屋敷があるぐらいで、あとは大きな家も無かったが、意外と店が多かった。宿屋も何軒かある。

メキドナの町から1番近い町だからかな、近いと言っても馬車でも片道で1日仕事だもんな。歩けば2日は掛かりそうだし、補充や宿泊のために店が多いのかもね。

店が多い理由はすぐにわかった。この町には表門と裏門の2つの門しか無かったが、裏門から出た所には広大な畑が広がっていた。裏門側は塀の高さも低く、途中からは板塀になっていて魔物避けというよりは、ここから畑が始まりますというような仕切りのような役割のものに感じた。その板塀が延々とどこまでも続いていた。この町は少し西の森に入った所から始まるため、町に入るまで見えなかったのだ。

たぶんここで作られた野菜なんかがメキドナの町で消費されるのかな、店も野菜や果物を売ってる店が多かったしそうなんだろうな。でも、あんな板塀で効果あるのかなぁ。

ミランダリィさんとシルビアには宿で泊まってもらい、オレは畑に興味があったから裏門の近くで休むことにした。キューちゃんはシルビアに付いて行った。

『主様、今日はここで朝までいるつもりですか?』

『そう思ってたんだけど、何か都合が悪い?』

『はい、この木の塀から嫌な臭いが出てまして、あまり近付きたく無いですね』

へぇ、なんか出てるんだな。オレは匂いはわからないからな。

『じゃあ、少し離れててもいいよ、オレは畑が見たいから朝になったら迎えに来てよ。ボルトもいるからいざとなったら助けてもらうし』

『はい、分かりました』

ハヤテはさっさとシルビアが泊まってる宿の方に走って行った。シルビアと念話で連絡を取って宿の厩舎にでも入れてもらうつもりかな。

『ボルト、お前は大丈夫なの?』

『御意、影の中までは影響ありません。その木の塀からは聖水の気配がしますな。ハヤテもそれが嫌だったのでしょう、彼奴(あやつ)もまだまだですな』

『聖水?って何?』

『聖水とは魔物対策として人間が作った水です。どういう訳か、その水に触れると我ら魔物はダメージを受けたり行動に障害が出たりします』

人間とは関わりが無いって割りに人間の事も意外と知ってるよな。

『どうやって作るの?』

『それは知りません』

そこは知らないんだ。でも、この木の塀があるから安心して畑が作れるんだな。この世界の人間も色々頑張ってるんだな。

オレのいた世界は魔物なんて出なかったからな。但し、戦争は各地で沢山起こってたよな。ESPにロボットだもんな、特にロボットなんか戦争の為に進化していったようなもんだったもんな。あの時に運搬車兼ミサイル砲台さえ暴走しなければなぁ。あいつでさえ攻撃力を持ってたのに、オレって何? そろそろ武器が使えるようにならないもんかね。でも攻撃が出来るようになるって事は戦う事にもなり兼ねないよね、それはパスしたいよなぁ。複雑だ。

その夜は、どんな作物を育ててるのか興味があったので、見える限りの畑の作物を観察した。オレのいた世界の物と大差は無かった。

人間が作るとこうなるんだ。前に野生の野菜を見た時は凄っごく大きかったんだけどなぁ。品種改良でもしたのかな、確かにあの野生の野菜は収穫が大変そうだったな。鎌だと切れないような茎してたもんな、収穫に剣って・・・無しだわ。


時間も夜9時を過ぎて閉店の店が多くなってくる。この町の閉門時間も夜8時だった。

最後の飯屋の明かりが消えると5人の冒険者達が店から出て来た。

「もうちょい飲ませてくれたっていいじゃねーか、金は持ってんだよ」

静かな町に男たちの怒鳴り声が響き渡る。もう誰も道を歩いて無いし、家の明かりも所々消えている家もあった。もう寝ているんだろうな、テレビや娯楽も無いんだろうし、暗くなったら寝る。シンプルでいいよな。


『むっ』

『どうしたボルト』

『そこの人間共から魔石の気配がします』

あ、それって冒険者ギルドからの依頼だったやつか、すっかり忘れてたよ。魔人の種を植え付けられてるかもしれない冒険者の調査と植え付けられてたら魔人の種となってる魔石の回収だったな。

『あいつらに魔石が植え付けられてるの?』

『どうやらそのようです』

『取れる?』

『御意、お任せください』

ボルトは影から出て来ると音も無く冒険者達の前に一瞬で詰め寄った。さすがネコだ。

この辺りの建物は平屋が多く、2階建ても僅かに数軒ある程度。冒険者達の前に現れたボルトは5メートルある。平屋の屋根の高さよりも大きいのだ。

そんな魔物が突然目の前に現れたら、結果は・・・うん、気を失ったね。

「ひっ!」パタン。と倒れた5人の冒険者達。

ボルトが倒れてる冒険者の腹に前足の爪を1本出して触れると、その冒険者から魔石が出て来た。口から出たのでは無くいつの間にか倒れてる冒険者の胸の所に魔石があった。

何やったの? 凄い事をやってるんだろうとは思うけど意味がわかんないね。

魔石の回収は収納するには届かないので、ボルトに戻って来てもらって引いてもらい5つの魔石を回収した。回収したらまた裏門の方に戻ってもらい少し場所を変えて冒険者達から遠くなる位置で止めてもらった。冒険者達はそのまま放置だ。

冒険者達の名前も確認できた。シェイ、ドンブ、ガッソがDランク、エルロ、ミュルがEランクの男だけの5人のDランクパーティのメンバーだった。


オレの【鑑定】には3段階ある。画面で・・・いやいや視線で捉えた者は初め、種類とレベルが出る。例えばシルビアで言うと【人族:LV51】という文字がシルビアから線が出て文字が表示される。その後に名前があると【シルビア(人間):LV51】となる。そのままジッと見てると詳細が出て来る。勝手に出て来るので止めようがないんだけど、何人何体いても理解できてしまう。全方向の画面に表示される視線も全部理解できる。そういう意味では優秀なオレである。うん、人間にはこんな事はできないね。いや、馬車だって普通はこんな事はしませんね、だって意志がないんだもん。


『さっき何やったの? 魔石が胸の所に出て来たみたいだったけど』

『あれは魔力操作の初歩の初歩です。人間は魔力が希薄ですので、魔石の出す魔力が読み易いですから、少し魔力を込めてやるだけで魔石の位置を操る事ができます。後は魔石を外に出してやるだけです』

『ふ~ん』

魔力ね、操作ね、どうやるんだろうね。俺にもMPがあるんだから魔力があるって事なんだろうけど、わかりませんね。

初歩の初歩ですか、オレはそこまでも行き着いて無いって事ね。

『魔力操作ってどうやるの?』

『主殿はもう完璧に操作されてるように見受けられますが』

え? そうなの?

『でもあんな事、オレには出来ないよ』

『わっはっは、またそんなご冗談を。我を騙すにしてももっと上手く騙して頂きたいものですな』

いや、ホントにできないと思うんですが・・・・できるのかな? やった事は無いけどできるのかもね。いや、全く出来るイメージが湧いて来ないんだけど。まぁいいか、どうせオレがやる事も無いだろうしね。

夜の間にこの町での依頼も終わったし、明日ここの冒険者ギルドに行って報告をすれば達成でいいんだよね。


翌朝、ハヤテに迎えに来てもらい、シルビアたちと合流し冒険者ギルドを探した。

ミランダリィさんが宿で冒険者ギルドの場所を聞いててくれたので、場所はすぐに見つかったが、ここで合ってるの?

教えてもらった場所には平屋建ての小さな家があった。冒険者ギルドって小さな看板もあった。これって普通に住んでる家じゃないの?

中に入ってみると窓口が1つの受付があった。中には1人だけ男の人が座っていた。ここの職員って1人なのか?

住居じゃ無かったね、一応冒険者ギルドみたいだ。でも出張所みたいだな、依頼も大してあるわけじゃ無さそうだ。

受付ではミランダリィさんが代表して話してくれた。昨夜の事は既に伝えてある。

メキドナの町の冒険者ギルドからの依頼書と冒険者のリストを見せてシェイ、ドンブ、ガッソ、エルロ、ミュルから魔石を取った事を報告した。

証拠として魔石を出して確認してもらい、確認後は「売らない」と言ってもらって再度収納。

達成報酬として金貨5枚をもらった。

すぐに次の町まで移動すると言って冒険者ギルドを出ようとしたら、受付の男に引き留められた。受けて欲しい依頼があるそうだ。

依頼と言っても次の町まで2人運んでほしいという事だ。馬車のチャーターって事だね。

次の乗合馬車が来るのが5日後らしく、チャーターできる馬車を探している2人がいるので運んでほしいというものだった。馬車本来の使い方だね、それ合ってるよ。残念だけど合ってるよ。

ミランダリィさんがオレに同意を求めて来たが、断る理由も無いので依頼を受ける事にした。報酬は前金で2人で金貨1枚、馬車代にしたら破格だそうだ。乗合馬車なら1人銀貨10枚だそうだから、銀貨100枚で金貨1枚って教えてもらったから5倍の料金だね。

すぐに呼んでくるから待っててくれと言われて待っていると、2人の若いカップルと一緒に職員が戻って来た。待ってる間、冒険者ギルドは誰もいない状態だったが、訪問者は無かった。田舎か!

2人のカップルを乗せるとすぐに出発して町を出た。


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