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第34話 魔人の目的

ボルトの【影操作】で拘束されている魔人はハヤテの【疾風】に捕まっていたため、まだ目を回している。

ボルトが拘束してくれてるし、ハヤテもキューちゃんもいるから聞きたい事を聞いてやるぞ。



名前: ナインティーン・キューベック

分類: 魔人(樹)LV43

HP:810/1310 MP:1333/1333 ATT1366 DFE1346 SPD1321

スキル:【武器】2/10【魔法】7/10【念話】3/10【隠形】7/10【感知】5/10

武器:【剣】1/10【鞭】6/10【拳】5/10

魔法:【火】1/10【水】5/10【木】9/10【土】7/10

ユニークスキル:【樹操作】

称号:魔王の使い



うわぁ、魔王の使いだって。前のサーシェリー・キューベックには付いて無かったと思うんだけどな。キューベックって同じ姓だけど、兄弟? 姉妹? なのかな?

『そろそろ聞きたいんだけど、まだ目を覚まさないのかなぁ』

『我にお任せを』

ギャー! 魔人が悲鳴と共に目を覚ました。

『え? 何したの?』

『影の内側を無数の針のようにしました』

うへ? アイアンメイデンみたいな感じ? 痛そ~、HPもちょっと減ったね。

「なんだこりゃ。う、動けない」

『目覚めたか。今から我が主がお主に質問をする。魔人よ、正直に答えるのだ!』

「お、お前は雷獣か!? なぜ雷獣がこんな所にいるんだい。うわっ、こっちは疾風龍!? なんだいこの状態は。それになんだいこれは! あたいは捕まってんのかい」

『そうだ、我に捕えられている。正直に質問に答えるのだぞ』

魔人が目を閉じた。

「ギャー! 何するんだい! 痛いじゃないか!」

『お主が下手な事をすればそうなる』

「わ、わかったよ、それで何が聞きたいんだい」

『ボルト、どうかしたの?』

『此奴めが、攻撃をしようとしましたのでまた刺してやりました』

『攻撃?』

『御意、此奴は樹を操る能力を持っておるようです。その能力で攻撃をしようとしておりました』

さっき周りの樹が動いた気がしたけど、気のせいじゃなかったんだ。

『そんな能力もあるんだね、オレも気を付けておくよ』

『御意、それは我にお任せください。主殿は早く質問を』

『わかった、ありがとう』

これは聞きやすくなったね。拷問とか尋問ってやった事なんて無いからどうしようかと思ってたんだ。

『魔人、ナインティーン・キューベックか。お前達ってなんでこっちを襲って来んの?』

「誰だい、誰があたいに質問してんだい」

魔人がキョロキョロ今の質問の相手を探してる。

『誰でも良かろう、早く主殿の質問に答えぬか』

「痛てー! 痛いって。言うよ、言うから刺すなよ」

またボルトが刺したんだな。

「あたい達はそこの女に用があるんだよ。勇者の嫁なんだろ? 前に下っ端が【ファッシネイト】で操って聞きだしたんだからわかってんだよ。勇者の子を助けに行くってのがわかったんで、エイベーン王国にはサーティーンが行ってるよ。ここは下っ端が誰かに倒されちまったからフォーティーンが見張ってたんだけどさ、連絡が途絶えたからあたいが様子を見に来たって訳さ」

見張ってた魔人ってボルトに倒された奴の事だろうな。

『お前が来た訳はわかったけど、なんでミランダリィさんが襲われなきゃならないんだ?』

「そりゃ勇者関係の人間だからさ。魔王様からは勇者の子を攫って来いって言われてんだ。こいつに化けて人間の町に入れば勇者の子も連れ出せるって訳さ」

『なんで勇者の子を攫うんだよ?』

「そんな事知らねぇよ、魔王様からの命令だからさ。勇者の子が何人いるかも、もうその女から聞きだして分かってるからな、後は人間の町に入るのにその女が必要なのさ」

理由は知らないのか。でも目的は勇者の子を攫うって事か。後はこいつらの仲間の事だな。

『お前達の仲間は何人いるんだよ?』

「あたいらナンバーズは19人だよ。下っ端までは何人いるか分かんねーよ」


19人も魔人がいるの? しかも下っ端は含まれてないんだ。サーシェリー・キューベックはナンバーズには入って無いんだったら魔人って何人いるんだ?

フォーティーンってのはボルトがやっつけた奴のようだから、あと18人の魔人か。

こいつもナンバーズらしいからあと17か。

いくらボルトやハヤテやキューちゃんがいても厳しいよなぁ。

でも、こいつらってシルビアの事を良く知らないんじゃないか?

『お前達ってエイベーン王国にいる勇者の子の事って知ってるの?』

「知ってるさ、シルビアってんだろ? 8歳の女の子だってな、よく知ってるだろ」

なぜか自慢げに話すナインティーン。目の前にいるシルビアには全く関心は無さそうだ。

うん、バレてるのは名前と歳だけだね。じゃあ、狙われるのはミランダリィさんだけか。

「お前達ってどうやって連絡取ってるの?」

「そりゃ、念話・・・・」

ナインティーンはそこまで言ってハッとなった。

ブシッ! シュバー! バシッ! ドガッ! ブシュッ! バシュッ! ズガンッ!

「ギャーー」

ボルト、ハヤテ、キューちゃんの一斉攻撃が魔人を襲った。

何この容赦ない攻撃は。


チャラチャラチャーン

《戦闘経験値が上がりレベルが64になりました。ロープを出すことができます。各ポイントがアップしました。》ゴトン!

《【フェロモン】が2強化されました。》

《光魔法【投影】を獲得しました。》


『え? 急にどうしたの?』

『此奴、今『念話』で仲間に連絡を取ろうとしましたので排除しました』

『そうですね、今のは間一髪でしたね』

『ボクにもわかったよー』

そうだったんだ、みんな容赦無いね。でも聞きたい事は大体わかったよな。

倒された魔人はボルトの影から出されたのでオレが回収&解体。


チャッチャカチャッチャチャッチャカチャッチャジャーーン!

《魔石(特大)を手に入れました。あと3個です》

だから何まで?

・・・・・・。


もういいや、それより急がないとな。

『ハヤテ、早くしないと次の町に門限までに着かないよ。ちょっと急ごう』

『わかりました。【疾風】で行きますか?』

『今日はミランダリィさんがいるから辞めておこうね』

『わかりました。』

飛んだらビックリするだろうから、辞めた方がいいよな。


「ミランダリィさん、どうしたの?」

口を開けたまま、ずっと驚いた顔になってるミランダリィにシルビアが尋ねる。

ミランダリィもハッと我に返ってシルビアの方を向いた。

「何なのこれは。色々驚き過ぎて何に驚いていたか忘れそうになるわ。さっきのは魔人よね?」

「そうね、魔人だったよ」

「あれって魔人を捕まえて来たのよね?」

「うん、ハヤテが捕まえて来たよ」

「さっきの魔人が疾風龍って言ってた、あの馬みたいな魔物の事よね?」

「そうよ」

念話が聞こえてたんだ。そうなんだよな、念話って1対1で話したい時って他の者には聞こえにくいようだけど、全員に話したい時って全員に聞こえるよな。さっきの念話だとミランダリィさんにも聞こえてるか。


「あんなに簡単に魔人を捕まえて倒してしまうって・・・。しかも私もレベルが上がったわよ?」

そうか荷台に乗ってたもんね、シルビアの時と同じだね。

「それは馬車さんのおかげだと思う。私もそれでレベルが一杯上がったもん」

「馬車さんねぇ・・・」

やっぱりまだ信じられないみたいだね、当たり前だと思うけどね。でも話をしないとな。

『ミランダリィさん、オレの事は信じられないだろうけど、皆が強いのはわかってもらえただろ?』

「そうね、それは分かったけど・・・」

『さっきの話しに戻すけど』

おれは集中してテレパスに切替えミランダリィだけに聞こえるように話した。

『シルビアに聞こえないように話してる。よく聞いてくれよ、シルビアの母親の葬式で1番笑ってバカにしたのはあんたの子供らしいぜ』

「えっ!」

ここからは念話に戻す。

『今の王都の環境だったらシルビアが行きたくないって言ってるんだ。ミランダリィさんから見て環境が変わると思うかい?』

「・・・無理ね。勇者の家族という事で好待遇だから、態度が大きな人ばかりね。それは私も感じてたわ。特に子供達は・・・」

『しっ!』

そこは黙っててほしいから慌てて止めた。

『さっきの魔人の話しも聞こえてたかい?』

「ええ、全部聞いたわ」

『それならシルビアがまだ名前しかバレて無くて、今はミランダリィさんがシルビアを巻き込んでるって事はわかるよね』

少しキツイようだが、ハッキリ言ってやった。

「そうね・・・。ダメねぇ、私って。昔からよく先走っちゃって、皆にも迷惑かけてたわね。またやっちゃったかしら」

うん、ここに来たのもその先走った性格が原因だろうから、もっと自重してほしいね。

「じゃあ、ここからは別行動にしましょうか、その方がシルビアちゃんも安全そうだし。そうね、そうしましょ」

『だから、その先走った考えを改めた方がいいんじゃない? また魔人に捕まって、今度は王都にいる奴らに迷惑をかけるよ』

「・・・確かにそうね、ごめんなさい」

素直だね、美人だしなんかいいね。でも人妻なんだ、変な気を起こすなよオレ。あ、その前に馬車だったか。・・・・。

『冒険者ギルドの依頼もあるし、王都までは一緒に行った方が安全だよ。オレ達がこのまま送ってあげるから、それまでシルビアを迎え入れられるように何か考えてくれない?』

「わかったわ、何かいい方法を考えてみるわ」

『じゃあ、それまでは一緒だから、装備を提供するよ。ちょっと待ってね』


『ウシュムガル』の剣、レザーアーマー、小手、ブーツを作って出した。

レザーアーマーはシルビアの物とお揃いだけど、シルビアのミニスカートに対してミランダリィの物は短パンを選んだ。

前の地龍は緑ベースだったのに対して、ウシュムガル系の装備は黒と赤とダークグリーンとダークグレーの斑だけど、やっぱりミリタリー柄になってて女性が着るとコスプレみたいな感じがする。

ミランダリィさんも顔もスタイルもいいので凄く格好良い。いつでもレイヤーデビューできるぞ。うん・・・いい。

あんまり迷彩にはなって無いかもしれないけど格好良いのならOKです。


あっ! そういえば鍛冶屋に頼んでたシルビアの装備を取りに行って無いよ。オレが造れるようになってシルビアにも装備させたもんだから忘れてたなぁ。もう今更戻れないし諦めるしかないか。また戻って来た時に思い出したら取りに行くかぁ。


ハヤテには急ぎ気味でと言ったので、時速40キロで飛ばしてくれた。

それでもハヤテも平気だし、荷台の2人も快適だったようだ。

昼過ぎにメキドナの町を出て、夜7時に1つ目の町カンタークに着いた。

魔人の後も魔物が何度か出てきたが、ボルトが露払いをしてくれるので、ハヤテの走りには支障が無かった。ボルトが倒した魔物はオレが走りながら回収。


アーサー事務長が言ってた伝説もボルトに聞いてみた。

『なあボルト、お前って収穫の喜びを連れてくる魔獣なの?』

『なんの話でしょうか』

『いや人間の伝説の中で出て来る雷獣って収穫の喜びを連れて来るんだって』

『ほぉ、それは初めて聞きました。我ら雷獣は人間と関わりを持った事はありませんでしたから』

『だよねー、そうだと思ってたよ。シルビア、騙されちゃダメだよ』

『え~! じゃあ、ボルトは伝説の魔獣じゃないの?』

『あ、一度あるかもしれませぬ。関わりという程ではありませんが』

『どういう事?』

『沼の主を倒した先人がおりまして、その沼の主は川へ水が行かないように堰き止めていたようで、沼の主を倒すと川は元通りになり、それまで堰き止められていた沼には沢山の沼の主の食い残しがあってそれが良い肥料となり、その川の周辺は豊作になった事があるという記憶があります』

なんて都合の良い物語なんだ。それが伝説になったって?

『それをまた後の世代の雷獣が近くを通った時に人間と話す機会があり、また同じ事をしたともあります』

それって雷獣の能力じゃねーし、ただ魔物を倒しただけだし。

伝説ほど当てにならないものは無いね。


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