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第33話 ミランダリィとの会話

カンダーグの町までは普通は馬車で13時間。ハヤテに引っ張ってもらってるオレならその半分も掛からないと思う。昼から出発したが、カンダーグには夜までには十分到着できると思う。

街道はあるがキチンと舗装できている訳でも無いし、通常の馬車なら平均時速10キロも出て無い。荷台や客車に乗ってる者の事を考えずに馬車馬を飛ばしたとしても20キロがせいぜい。そんなスピードで飛ばしたら今度は馬が持たない。その為、魔物に引かせたりする馬車も存在するようなので、ハヤテに引かせてもそんなに目立つ事は無かったみたいだ。元々馬に似た龍だしね。

軽く走ってるみたいだけどハヤテが引くスピードは、スピードメーターのデジタル表示に30キロをと出ている。

でも、幌馬車モードの荷台の中に座ってる2人は快適に過ごせてるみたいだ。

昼から出発したが夕方にはカンダーグの町に辿り着けるんじゃないかな。


『馬車さん? ミランダリィさんとお話しするんじゃなかったの?』

『そうなんだけどさぁ、言い出すタイミングが難しくて』

シルビアが気を使って言ってくれた。でもシルビアには言ってなかったんじゃ・・・

『あれ? わかってた?』

『うん、そんな事だろうと思ってた。でも王都キュジャーグには入らないからね』

全部見透かされてるなぁ、本当に8歳か? 将来旦那になる人が可哀相だよな。

『私が言ってあげようか?』

『それは助かるな、お願いするよ』

『わかった』

荷台に乗っていればオレのテレパスで話せるはずだし、オレにはもう『念話』があるから荷台に乗って無くても人間を話せるはずなんだけどね。今の所、試す機会が無かったからわかんないけど。


「あのねミランダリィさん」

「なぁに? この馬車って凄く快適ね」

「実は私、この馬車さんに助けられてここまで来たの」

「馬車さん?」

「そう、この馬車さんはお話しができるの。ボルトもハヤテもキューちゃんも(みんな)馬車さんの従魔なの」

「馬車の従魔? それってどういう事?」

「馬車さん、説明してあげて」


き、緊張するなぁ。

『は、は、はじまめして。馬車です』

あ、噛んじまった。はじまめしてって言っちまった。

「え!? なに? だれ?」

「馬車さんよ。馬車さんが話せるって言ったよ」

『そうなんです、馬車ですが話せます』

ミランダリィが周りをキョロキョロしている。流石に馬車が話してるとは思えないんだろう、誰かいるのか探しているようだ。

「シルビアちゃん、何のイタズラ? こんな事して楽しい?」

ミランダリィは理解できなくてシルビアのイタズラだと思ってるようで少し苛立っている。

『シルビアを怒らないでやってくれ。シルビアは本当の事を言ってるだけなんだ。本当はミランダリィさんに話し掛けるつもりは無かったんだけど、シルビアの事で相談があったから仕方なく話し掛けてるんだ』

「ふーん、シルビアちゃんの事でね。わかったわ、どんな話し?」

シルビアが何か企んでいて、それが言い難くてこんなやり方を選んだとでも思ったのだろうか、乗った振りをしてくれた。オレにとってもその方が都合が良い、まずは話を聞いてもらわないとな。


『まずはお礼を言いたいな。シルビアを迎えに来てくれたと聞いたよ、ありがとう。ミランダリィさんはいい人なんだね』

「いいえ、どういたしまして」

『そこで相談なんだけど、シルビアはあなたと一緒に行きたくないって言ってるんだ。母親が死んだ時に酷く辛い思いをしたらしいんだ』

「それは私も覚えてるわ、あの時の王国のやり方には私も納得してないわ。でも、今はそんな事を言ってる時じゃないのよ、あなたが魔王の手下に狙われてるのよ」

やっぱりシルビアが言ってると思ってるな。


『そんな事を言ってる場合なんだよ。オレは2年前に何が起こったかは聞いて無い。でも6歳の女の子に向かって、母親が死んだ事を馬鹿にして笑うような奴らがいる所に送り出すつもりは無いんだ。その事を解決しない限り、シルビアだって絶対あんたには付いて行かないぞ。それならオレ達がシルビアをこのまま守ってやるよ。でもね、本当はシルビアを人間達の所に戻してやりたいんだ、ミランダリィさんに連れて行って欲しいんだよ』

「そんな事があったのね、でも守るって言っても相手は魔人なのよ、敵う訳ないじゃない」

ミランダリィはずっとシルビアを見ながら話している。まだシルビアが何かしてると思ってるんだろう。

『魔人か、魔人ならうちのボルトが今日も倒したよ。うちにはまだハヤテもキューちゃんもいるからシルビアを守ってやれる自信はあるんだ』

心なしか馬車のスピードが上がった気がした。いや上がっていた35キロになってる。ハヤテも聞いてたのか、ちょっと嬉しかったんだな。

キューちゃんもキュキュって鳴いてる。

キュキュ『ボクも昨日倒したんだよー』

「え? 今度はだれ?」

念話でも声の違いは分かるからね、キューちゃんの『念話』も聞こえたんだろう。

「ミランダリィさん、昨夜の魔人はこの子が倒したの。私は倒した振りをしただけ。キューちゃんも強いんだよ」

キュキュキュー

キューちゃんもご満悦です。シルビアがフォロー入れてくれた。

「この子が・・・この小さな魔物が魔人を倒した・・・しかも話してる・・・」


ハヤテが急に馬車を止めた。

『どうしたんだ?』

『ほぉ、ハヤテにも分かったようだな』

ボルトが言って来る。

キュキュ『ボクもわかったよー』

『次は自分の番ですね。主様、【バング】を外してください』

『え? なに?』

『この気配は魔人が現れたようです、行っていいですよね』

『魔人なの? どこ?』

オレの【サーチ】範囲には見当たらない。こいつらの気配察知ってどんだけ凄いの。半径5キロ以上離れててもわかるって・・・

でも、また来たってことは次も来る可能性があるんだよな。目的は何なんだろう?

【バング】をはずしてハヤテに聞いてみた。

『ハヤテ、その魔人って捕まえて目的が聞けないかなぁ、このままじゃ何度も来ちゃうよ』

『ええ、そりゃないですよー、自分だってやっつけたいですよー』

『そんな事言わないでさ、頼むよ。目的を聞いたら倒しちゃってもいいからさ』

『なんで自分の時だけー』

『ハヤテには難しいかもしれんな、我が代わってやろう』

『む、難しい訳無いじゃないですか、やりますよ、任せてくださいよ』

ハヤテが慌てて訂正する。

『今回はハヤテに任すよ。ボルトはミランダリィさんもいる事だし、出て来て護衛をしてくれよ』

『御意』

影から大きなボルトが出て来た。オレ達はいつもの事だけど、ミランダリィさんは凄っごく驚いてるね。そりゃそうだろうな、高さ5メートルって大型の魔物の倍だもんな。確かに威圧感があるよなぁ。


『じゃあ、行って来るぜ!【疾風】』

竜巻を纏ったハヤテが一気に遠ざかって行く。オレの前にはボルトが立ってるからシルビアやミランダリィさんはには見えなかったかもね。

「シルビアちゃん、この虎の魔物・・・大丈夫なの?」

「ボルトは仲間よ、あの首輪もネコみたいで可愛いでしょ」

「可愛いって・・・」

やっぱりボルトが照れている。耳も後ろに向いてるし、めっちゃ聞いてたね。

え? もう帰って来た。

前の方から竜巻が近付いて来る。間違いなくハヤテの【疾風】だろうね。

あれ? 竜巻の中に何か一杯入ってるような・・・

竜巻がオレの目の前で止まった。

ボトボトボト、ドサッドサドサドサッ

ハヤテが【疾風】を解除して竜巻が収まると竜巻に捕らわれていた魔物がたくさん落ちて来た。さっきボルトが倒した魔人とは少し違うが、あれが魔人だろうと思うものも1体混ざっていた。身体の色は同じ緑色だけど、鱗の様に見えるのは葉っぱだった。尻尾も木だった。

『ただいま戻りました。どうですか、自分も殺さずに捕えられるでしょ』

『確かにできてるね、でもおまけも多いね』

『一緒にいたので、ついでです』

『ボルト、あれが魔人?』

『御意』

『拘束できる?』

『御意』

ボルトが【影操作】で魔人を影に落としていく。地面から魔人の首だけが出ている状態になった。なんか風呂に入ってるようにも見えなくはない。

『他の魔物は排除でいいんじゃない? 回収はオレがするから止めを刺してよ』

「私もやるー」

シルビアも荷台から降りて魔物に止めを刺していく。止めを刺された魔物はオレが回収&解体。結局魔物は30体程いた、すべて止めを刺してオレが回収した。魔物は全部体長1メートルぐらいのネズミの魔物だった。止めを刺される前に出てた名前はビッグキラーラットだった。

さてと、この魔人から色々教えてもらわないとね。


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