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第28話 ミランダリィ

第27話のタイトルをこっちのタイトルにして、第27話のタイトルを変更しました。

翌朝も開門と同時に入門し、宿屋を目指した。ボルトはオレの影の中。

入門する前にボルトとハヤテの食事は済ませておいた。

シルビアも朝食を終えるとキューちゃんを頭に乗せて宿屋から出て来た。

「おはよう」

『おはようシルビア、今日はどうする?』

『どうするって?』

『護衛の依頼は明日からだから、今日は何か冒険者ギルドの依頼でも熟すか? それとも町をブラブラするか?』

『あのね、その依頼無くなったと思うわ』

『どういう事?』

『昨日ね、行ったの。ミランダリィさんに会いに』

『え!? 何してるんだ、危険だから辞めろって言っただろ』

『それでね、キューちゃんが魔人を倒したの』

『え?・・・・』

『それで本物のミランダリィさんが見つかってキューちゃんの首輪をあげたの』

なんかややこしい事に巻き込まれてないか? 何て無茶な事するんだよシルビアは。

魔人に会いに行ってキューちゃんが魔人を倒したって・・・

んー、今イチわからん。

『それで? 結局どうなったの?』

『ミランダリィさんは無事よ、今は安静中だって。それよりキューちゃんの首輪をあげちゃったの、ゴメンね』

『首輪はまた造ってもらえばいいけど、無茶な事するんじゃないよ。それに謝る所はそこじゃないし』

『じゃあ、アクセサリー屋さんに行く?』

スルーですか。ま、今回は無事だったしね、大目に見てもいいか。それにサンのとこだろ。

『サンのとこか、んー行きましょう!』

『何張り切ってんの?』

『別に』


オレ達はアクセサリー屋に向かった。

《【馬車長】のレベルがMAXになり【馬車主】になりました》

おお! レベルアップした。でもこの頭に馬車って付いてる奴ってダメな奴じゃねーの? 今度は認識されんのかなぁ。

アクセサリー屋はもう開いていた。この町の店っていうか冒険者ギルドも含めて、朝早くから開いてるよな。他の町もそうなのかな? 夜はどこも早そうな気がするけどね。

「おはよう」

「いらっしゃい、シルビア。また来てくれたんだ」

「おはよう」

【馬車主】に言わせてみたがサンは全くこっちを見ない。やっぱりか! 買い取りの時でも1人の時は会話してくれるんだけどなぁ。シルビアといると認識されないよなぁ。

「キューちゃんの分の首輪をまた造ってほしいの」

「ん? どうしたんだい?」

「人にあげちゃったから」

「あげたのかい! 売れば結構いい値が付いただろうに」

「いいの、また造ってくれる?」

「わかったよ、糸袋はあるから魔石を出しなよ」

前回と同じ5センチ角の魔石を出した。

「じゃあ、今回も魔石が持ち込みだけど、糸袋はこっちのを出すから製作費も合わせて金貨6枚にまけとくよ。それともまた糸袋を出すかい?」

ガイゴの糸袋を1つ出した。

「ひゃ~まだ持ってたのかい。じゃあ、前回と同じ金貨1枚だ。出来上がった時に首輪と交換でいいから用意しててくれよ」

「わかった」

「昼までには造っておくよ」

「うん」


アクセサリー屋を出るとシルビアがミランダリィさんの所に行きたいと言い出した。

シルビアの話では、もう魔人の危険は無いらしいので行ってもいいかな。状況も確認しておきたいしね。

トーラスという人の屋敷に着き門で待っていると中から門番が出て来た。

今は荷馬車モードなので荷台に居るシルビアを確認した門番がシルビアに声を掛ける。

「やや、シルビアちゃんじゃないか、昨夜の活躍は聞いてるよ。今門を開けるからね、旦那様からシルビアちゃんが来たらすぐ通すように言われてるから」

そう言って門番は門を開けてくれた。荷馬車モードのオレがハヤテに引かれて門を通って行く。馬車が入って来る事に気が付いた執事が出て来た。

こちらも荷台に乗っているシルビアに気が付きオレが入り口の前に止まると駆け寄って来た。

「シルビア様、お待ちしておりました。朝一番に冒険者ギルドにもお泊りの宿屋にも使いの者を出したのですが、入れ違いになったようでした。トーラス様がお待ちです、どうぞお入りください」

なんかシルビアが凄く歓迎されてるよな、昨夜キューちゃんが魔人を倒したって言ってたけど、シルビアが倒した事になってるのかな?

シルビアが荷台から降りて執事に案内されて屋敷に入って行く。オレも【馬車主】の肩にキューちゃんを乗せて付いて行った。

【馬車主】になって前よりもっとスムーズな動きができるようになったけど、言葉は増えなかった。いつになったら人間と会話かできるのやら・・・。は~

案内された部屋は寝室だった。

「おはよう」

「おはよう」

誰も聞いて無いかもしれないけど、【馬車主】にも一緒に言わせた。

「おはようシルビアちゃん、いやシルビアちゃんは失礼だな。シルビアさん、昨日は本当に助かった。改めて礼を言わせてもらうよ、ありがとう。君は命の恩人だ」

なんか凄い事になってるな。トーラスがシルビアに握手を求めてる。

「ミランダリィさんは? あ、ミランダリィさん」

握手は無視っすか、シルビアって興味無いと普通にスルーするよな。

「あら、シルビアちゃん? 本当にシルビアちゃんなのね」

ミランダリィはもう起きてたようで、椅子に座って診察を受けてたようだ。

シルビアを確認するとシルビアの方に駆け寄って来た。

「あなたどうしてそんな冒険者みたいな装備を着てるの?」

「今は冒険者なの」

「え? いいの? マクヴェルが怒らない?」

「だってお父様はいないもの」

「確かにそうね。でも、あなたの無事な姿が見れて良かったわ。心配してたのよ。」

「もう大丈夫なの?」

「私? 私は平気よ。なぜトーラス伯爵の所にいるのか分かんないけど、身体は元気よ」

ミランダリィがそう言って力こぶを作る仕草をする。

「そう、良かった」

トーラス伯爵と聞いてシルビアがトーラスや執事に視線を移すと

「そうだったな、キチンと自己紹介をしてなかったな。私はトーラス・メキドナ、このメキドナの町を含めた周辺の領主をしている伯爵だ。西と東のダンジョンも私の領地なんだ。だから昨夜の魔人は私を狙って来た者かもしれない。巻き込んでしまったみたいで申し訳なかったね、しかも魔人を倒してくれるとはな」はっはっはー

トーラスは魔人を倒した事が嬉しそうだ。

「トーラス伯爵から聞いたけど、昨夜私も助けてくれたんだよね。私が助けに来たはずなのにね、逆に助けられるとは思わなかったわ」

偽物と大分イメージが違うよな。かなり砕けた感じの人だったんだな。でも、シルビアがバーゲストに連れ出された原因とか事情を知ってそうだよな。

「私を助ける?」

「そうよ、うちの子は王都キュジャーグにいるから安心なんだけど、あなたはエイベーン王国にいたでしょ。私も元冒険者だし、旦那は勇者じゃない? 旦那に剣を教えたのは私なのよ、すぐに抜かれたけどね。だから私があなたを助けに行こうとしてたのよ」

「どういう事? 何から助けるの?」

「あなたの所にも行かなかった? うちは旦那から従魔のズラトロクが来たけど、マクヴェルは確かバーゲストじゃなかったかしら?」

「バーゲストなら来たよ。でも何も教えてくれなかった」

「バーゲストはどうしたの?」

「いなくなった。たぶん死んじゃったと思う」

「それじゃあなたここまでどうやって来たの?」

「馬車に乗って来た」

「そうじゃなくて。まぁいいわ、ここからは私が守ってあげるから一緒に王都キュジャーグに行きましょうね」

なんだ、保護してくれる人がいたんだ。それならもう安心だな。別れっていうのは突然に来るもんだな。

『馬車さんも行く?』

シルビアが念話で聞いて来た。

『オレが行っても仕方が無いだろ? オレにはボルトやハヤテがいるから大きな町は避けた方がいいと思うんだよね。』

『じゃ、私も行かない』

『何言ってんだ、シルビアは大人と一緒に居た方がいいって。それにこの人はシルビアを守ってくれるみたいだぞ。知り合いなんだろ? 一緒に行けよ』


「どうしたの? シルビアちゃん」

「私・・・行かない」

「どうして? 何か理由でもあるの? 今あなた達は凄く危険な立場だから王都キュジャーグに避難しておかないと安心できないわ。王都キュジャーグなら守ってもらえるけど、他の町じゃ心配だわ」

「私が危険な立場ってどういう事?」

「ホントに何も聞いて無いのね。でもここじゃ・・・」

ミランダリィがそう言ってトーラスや執事を見渡す。

「後で事情を説明してあげるから、私と一緒にいてくれない?」

「おお、何か秘密のお話ですかな? 我々は席を外しますので、ここで話しをしてください」

トーラスが気を使って提案した。

「トーラス伯爵、申し訳ありません。少しの間で構いませんので、シルビアちゃんと2人きりにさせてください」

「わかりました、では我々は少し部屋から出ていましょう」

全員部屋から出て2人きりになった。いやいや【馬車主】はいますぜ。なぜ誰も気付かない。さっきもミランダリィと目が合ったと思ったけど、「この子ならいいわ」って言ったよね。それって【馬車主】の肩に乗ってるキューちゃんの事だろ? それなら【馬車主】もわかるだろ! 【馬車主】になって余計に影が薄くなってるよ。



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