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第24話 護衛依頼

アーサー事務長に付いて2階のマスタールームに入った。2階にマスタールームがあるんだ。ここって3階建てだよな、マスタールームって最上階にあるもんだと思ってたよ。

「やあ、おはよう。呼びつけてしまってすまないね、シルビアちゃんだったね。」

「!・・・おはよう。」

ギルマスの横で綺麗な女性が会釈をしてくれた。

うーん、オレもいるんだけどね。【馬車長】はやっぱり影が薄いんだね。

大きなギルマスの執務用机が奥の正面にあり、その前にある4人掛けの立派な応室セットに隣り合わせて座っていた。ギルマスの後ろには秘書らしいお姉さんも立っていた。なぜこの世界は美人揃いなんだ、なんでこんな時にオレは馬車なんだよー!


「あなたがシルビアさんですか? 昨夜、あなたに助けて頂いた者です。護衛に雇っていた冒険者が倒されてもうダメかと思った時、あなたが現れて助かりました。本当にありがとうございました。」

テンプレじゃーん。何くれんの? 期待しちゃうよ。

「実は昨夜遅くに町に着いたそうなんだが態々朝早くから依頼にお越しくださっていてな、話を聞いたら馬車に乗った小さな女の子に助けられたと話していたので来てもらった訳だ。お嬢ちゃんで間違いないと思って呼び出したんだが。間違ってないな? こちらの奥方様がお礼を言いたいということだったんだが。」

シルビアが頷いて肯定した。

「はい、昨夜は本当に助かりました。私は馬車に乗っていたので、護衛の冒険者が全員倒された時は、もう本当にダメかと諦めました。そこに魔法の雨が降って来て小さな女の子がカーシーを倒したのですから凄く驚きました。驚いている間に護衛の冒険者が馬車を出してしまいましたので、お礼も言えず今ゲーリックさんに探して頂こうと聞いていた所なのです。」

「・・・・。」

? シルビアの様子がいつもと違うな。でもこの女性って・・・・いいっ!?

「そういう事だ。用事も終わったから、もう行っていいぞ。」

「・・・・。」

「! ギルマス! あ、あの、Aランク昇格の件は・・・・。」

シルビアがずっと黙ってるのでアーサー事務長が気を使ってくれたみたいだ。

「おお! そうだったな。もちろん昇格でいいぞ、細かい事はお前に任せてるからな。昨日の分だけでも十分だったんだが、それ以上というか東の森のダンジョンに行ったんだってな。Sでもいいんじゃないか?」

「ギルマス! ちょっちょっと!」

「ああ、守秘義務だったな、すまんすまん。」

「まぁ、この女の子がAランクの冒険者なのですか? 凄いのですねぇ。私はミランダリィ・サークルフォーです、こんな将来有望な冒険者と知り合えて幸運でしたわ。私はまだこの町に滞在しますから、いつでも訪ねて来て下さいね。」

「奥方様、今日はお忍びでしょう。お名前は・・・。」

「いいのです。名前を言わなければこのシルビアさんもどこへ行ったらいいかわからないじゃありませんか。是非ともいらしてくださいね、シルビアさん。」

「・・・・うん。」

「Aランクなのでしたら、今回の依頼もシルビアさんにお願いしたいぐらいですわ。冒険者ギルドの依頼は指名制度ってありませんの?」

「もちろんございます。双方が同意すれば指名依頼となりますが、通常の依頼に加え指名料を加えて頂くため少し割高になります。」

急に話に入って来たギルマスの後ろに立っているお姉さんをシルビアが眺めていると。

「失礼しました。申し遅れました、私はギルドマスターの秘書、マリーブラと申します。」

「私からはお願いしたいですわね。」

「シルビアさん、如何ですか?」

「・・・わかった、受ける。」

ありゃ、勝手に受けちゃった。別にいいけどね、どうせここでオレがしゃべっても誰も聞いてくれねーし。じゃあ、なぜ付いて来るんだってか、そりゃいくらしっかりしてると言っても8歳の女の子1人で行かせられないだろ・・・・すんません、何もできないただの野次馬です。

「まぁ、ありがとう。依頼の件はこちらのゲーリックさんから聞いてくださいね。私は屋敷で待っていますから。」


そう言ってミランダリィ・サークルフォーと名乗った女性は先に席を立って秘書のお姉さんと部屋から出て行った。ギルマスも見送りに行ったようだ。

俺達が入った入り口から出たが、上に上がって行ったように見えた。3階にも何かあるんだろうな。

でもミランダリィ・サークルフォー? 誰だそれ? 【鑑定】だとサーシェリー・キューベックってなってたぞ。レベルもステータスも高かったな、シルビアよりは低かったけど冒険者の関係者なのか? なんで偽名使ってんの? 誰も気付いて無かったみたいだけどなぁ、シルビアには教えておこう。

『シルビア? さっきの人の名前。』

『うん、バレちゃった? やっぱり態度に出ちゃったかな。』

『・・・・。』ここは知ってるフリをしておこう。

『あの女の人知ってるんだぁ。向こうは気付かなかったみたいだけど、私の事知ってるはずなんだけどなぁ。』

『どんな知り合いなの?』

『お父様のパーティの人の奥さん。』

『えええ! 勇者パーティの嫁?』

『やっぱり知ってたのね。でも違うよ、お父様のパーティは4人共勇者なの。』

そういえば、勇者の子って聞きにくくて言って無かったな。

『ゴメン、中々うまく言い出せなくて。でも、それなら勇者の嫁って事?』

『そうよ、だから私も会ったことがあるの。お話しもした事もあるよ。でも私の事は覚えて無かったみたい。』

『いつ頃会ったの?』

『お父様が魔王討伐に出た後だけど、2年前ぐらいかな。』

2年前かぁ、微妙だなぁ。6歳から8歳ってそんなに変わらないか。シルビアもしっかりした子だけど6歳の時の記憶か。オレだったら自信が無いな。6歳の時の事なんて覚えてねーわ。名前も覚えて無い・・・。

『さっきの人って名前がミランダリィ・サークルフォーで合ってる? サーシェリー・キューベックじゃない?』

『サーシェリー・キューベックって誰?』

『さっきの女の名前だよ。偽名使ってたみたいだけどな。』

『ええ? 見た目もミランダリィさんだったよ。』

『しかも人間じゃ無いからおかしいな、とは思ってたんだけど、誰も何も言わないからオレも言わなかったんだ。』

『【鑑定】したのね。人間を【鑑定】するのって礼儀に反するからしちゃいけないって教わったよ。ダメじゃん馬車さん。』

勇者の教えって奴ですか、そんなこと言っても見てるだけで勝手に出て来るし。

『オレの【鑑定】って自動で出ちゃうんだ、魔力も使わないからバレてないと思うよ。』

『そうなんだ。でも人間じゃ無いってどういう事?』

『魔人って出てたよ。勇者の嫁って魔人なの?』

「魔人!!?」

「どうかしましたか? シルビアさん。」

シルビアが急に大声を出したのでアーサー事務長が心配して聞いて来た。

「ごめん。なんでもない。」

ちょうどギルマスと秘書も戻って来た。

「待たせたな。」

ギルマスはさっきと同じソファに座り、秘書はまたその後ろに立った。

「じゃあ、さっきの続きだ。先程のご婦人は然るお方の奥方様でな、護衛依頼のお願いに来られた。詳細をマリーブラ頼む。」

このギルマスいつも全部丸投げだよな。でも信頼は厚そうだし、尊敬もされてそうだよな。確かにシルビアよりちょっと強いみたいだけどね、すぐに追い抜いてやるよ。

脳筋ってやつか? カリスマ的存在の脳筋、でもバカじゃギルマスは務まらないだろ? 勉強脳じゃないけど賢いって奴かな。


依頼の詳細は秘書のマリーブラが説明してくれた。

さっきのミランダリィ・サークルフォーと名乗る女性を護衛して王都キュジャーグまで連れて行く、という単純なものだ。

南のベイナンという港町からこのメキドナ経由で王都キュジャーグを目指しているそうだが、お忍びという事もあり騎士の護衛を付けていないそうだ。

今回は、ゲルバ冒険団が1日護衛という事で請け負ったのだが、昨夜の事もあり護衛の冒険者ランクを上げる相談に来ていたという事だった。お忍びだから高ランクの冒険者を付けると怪しまれるのでDランク冒険者を1日交替で付けて来たらしい。ゲルバ冒険団は隣の町のカンタークに迎えに行って、昨日の朝からこちらへ向かっていたそうだ。


んー、辻褄は合って無くも無いけど、なんで? っていうところがあるよなぁ。

出発は明後日の朝という事なので、Aランクカードに変わった冒険者カードを受け取って冒険者ギルドを出た。

ゲルバ冒険団に話を聞きたければ夜にはミーティングルームで飲んでるはずだと教えてくれた。


冒険者ギルドを出てから何を聞いてもシルビアは話さなかった。

『なぁボルト、魔人って何? 人間じゃ無いの?』

シルビアに聞いても何も話さないからボルトに聞いてみた。

『魔人ですか、さっきの者の事ですな。魔人とは魔物より上位の存在で強い者が多いですな。我には敵いませんが。』

ボルトは分かってたんだ。しかも自分アピール。

『さっきいたねー。』

キューちゃんにも分かってたんだ。

『大したことない奴だったけど、1人いましたね。』

ハヤテもか。町中での念話は守ってくれてるな。

『ハヤテよ、魔人を侮ってはならぬ。奴らは元の姿に戻ると本来の力を発揮するからな。今は人間に化けておるようだから大した力も出せぬようだがな。』

そうだったんだ、でも人間からすると上位になる力を持ってたぞ。シルビアには負けてたけどな。

『魔人って人間を襲わないの?』

『申し訳ございません、分かりません。』

そうか、みんな人間の町って来ないからわからないよな。シルビアがしゃべってくれないから分からないよ。オレじゃ他の人間とも話せないしな。


今日1番の目的であるアクセサリー屋に着いた。シルビアはここまで何も話してくれなかった。

うっほーい、またハーフエルフのサンだー。

「いらっしゃーい! お? シルビアじゃないか。昨日あれから行くって言って無かったか?」

「うん、行ってきた。」

「え? どこへ?」

「ガイゴとレッドエイトの糸袋だよね。」

「ああ、そうだけど。」

もうこのやり取りが面倒だ。ガイゴとレッドエイトの糸袋を1つずつ出してやった。

「えええ!?」

「これで作れる?」

「なんで持ってんの?」

サンがガイゴとレッドエイトの糸袋を見て驚いている。

「ちょっと待ってくれ。」

サンはブツブツ言い始めた。

「よしわかった! あたいに細かい事は分かんない。」

なんか吹っ切れたみたいだ。

「糸袋がここにあるんだ、あたいは作るだけ。でも、デカいって言ってたよな。これ1個で足りるかなぁ。」

ガイゴの糸袋を更に10個出した。

「・・・・これだけあれば足りるよ。」

「すぐにできる?」

「そうだなぁ、夕方までには出来るからその時精算しようか。」

「わかった。」

「雷獣の為の伸縮する首輪だったよな。」

「うん。あと馬車を引いてるハヤテとこの子の分もいるかな。」

そう言って【馬車長】の肩に乗ってるキューちゃんの頭をなでる。

キュキュ

「わかったよ、全部魔石付きにすんのかい?」

『どうする?』

『何かいい事あるのか?』


「魔石を付けると伸縮するだけじゃないの?」

「ほんと何も知らねーんだなぁ、それでもBランク冒険者か?」

「さっきAになった。」

「え、A―!? あんたAランクになったのかい!」

「うん。」

「Aランクってこの町に2人しかいないんだぞ? あんたで3人目か。まぁ、雷獣だしな、そうなんだろうさ。」

なんか1人で納得してる。

「それで魔石付きって?」

「ああ、それだったね。魔石付きのアクセサリーは付加魔法が付けられるんだ。素早さアップとか防御アップだと効果はそんなに高くないけど、毒とか麻痺とかなら耐性をもってなくても毒無効とか麻痺無効の付加魔法を付けたアクセサリーを身に付けておけば安心じゃん。自慢じゃないけどうちの店の場合は、毒耐性(中)とか(大)じゃなく毒無効だからね。」

「へー、サンって凄いんだ。」

「まー、それほどでも・・あるけどよぉ。」

サンが鼻をこすりながら自慢する。

「魔石には他にも攻撃魔法の補助をしたり回復魔法を付加して徐々に回復させたり色々できるんだぞ。なんせ魔力の塊だからな。もちろん今回の首輪も魔石に魔法を付加するんだよ。そうだ、レッドエイトの糸袋ももっと持ってんだろ? 出してくれよ。」

ハーフエルフのお望みとあらば任せなさーい。レッドエイトの糸袋を10個出してやった。

「うひょ~! 凄いねー、ホントに持ってたよ。これで当分仕入れなくて済むよ。」

「あと魔石だね。」

あ、そうか。前と同じでいいか。5センチ角の赤い魔石を2個出した。

「なんでも持ってるね。うちとしちゃーありがたいんだけどね。じゃあ後はやっとくからまた夕方に来なよ。」

「うん。」

また夕方に来ることにしてアクセサリー屋を出た。


ハーフエルフのサン・・・・いい。



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