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第184話 目立たなかった理由

すみません。

次話が途中だったのに出てしまいました。

お見苦しい所をお見せして申し訳ありませんでした。


誤字報告ありがとうございます。



 精霊女王の言葉が気になったので、一度開発を任せてるメイド達の様子を見回る事にした。


 精霊女王の言った事は事実だったと驚いたけど、メイド達の知恵というか探究心には舌を巻いた。

 ドローンって作れるんだね。しかもあんな巨大なドローンで自在に空を駆け巡るなんて、凄いとしか言いようがない。

 スピードはハヤテには及ばないものの、空でも自由に動き回れる自在性は、他の魔物でも真似できないんじゃないだろうか。


 一人用ドローンも素晴らしかった。これならパラシュートの代用として脱出用としても使えるし、回転装置の内部の羽に改良を加えれば無音で飛べるんじゃないかと思ったよ。隠密部隊が食い付きそうなアイテムだった。


 精霊女王から量産をしなければいいって言われたから、今の所これ一台だけど、更に改良をしてくれと頼んでおいた。



 船担当のナナには呆れた。もう開いた口が塞がらなかったよ。

 夜魔斗ね、確かに夜魔斗だったよ。しかもナナって呼んでも儂はオキタだ、って。なり切りすぎだって。

 ペペット達四人チームも付き合わされて大変だったな。


 大体、船は大型艦はいらないんだよ。戦争するならいるのかもしれないけど、収納バッグがあるんだから輸送船だったら沈没しなければ小型船でもいいぐらいなんだよ。

 スクリューだけは評価してあげたけど、他は褒められたもんじゃ無かったね。



 自動車ぐらいはいいって精霊女王も言ってたから、自動車は量産体制を作ってもらおうかな。

 列車がどう評価されるかは、精霊女王に聞かないとな。

 どうせ、またすぐに来るだろうしね。


 自動車部門にお願いしてたものも良い物ができたみたいだった。

 回転装置に使う風魔法を付加した魔石だけど、流石にキューちゃんにばかり頼めないから、もっと簡単にできるものを考えてほしいと言ってたんだ。

 そしたら筒のような魔道具を作ってくれていた。魔石をセットするだけで魔力が尽きるまで風を出し続けるものだった。

 これなら少し大きくなってしまうが、その分回転装置を大きくすればいい。筒の形もカーブを持たせて回転装置内にピッタリフィットするように作ってくれてたから言う事なしだった。


 自動車担当の三人には、量産体制を作ってくれと頼んでおいた。

 できればどこかの国を巻き込んで、その国に作らせられるようにしてくれた方がいいと注文も付けておいた。


 営業は今回はシスターズに任せる事にした。

 キュジャリング王国をルシエルとライリィに任せ、エイベーン王国をシルビアとメイビーに任せようと思う。

 ワンワード王国はブレインでもコウメイでも誰でも良さそうだ。獣人でもいいかもな、その方が獣人の心証が良くなるかも。

 セイシャロン王国も入れるとなるとセンとシルビアが適任のような気がするので、シルビアがエイベーン王国を終わらせてから行かせればいいか。


 ランバルダル公国には自動車はいらないだろ、周りは砂漠だらけなんだし。どうせなら夜魔斗を買ってくれないかな。

 一応、帆は無くスクリューで走るんだから、この世界のものよりは優れものだと思うし、もしかしたら需要があるかもしれないよな。

 問題はナナが手放すかという事だな。

 確かにクオリティは高かったよな、どうやって作ったのか凄く気になる所だよ。

 また『メイドのお仕事』とか言われてはぐらかされるのも嫌だから聞かないけどね。



 今後の予定を話し合うために全員集合してもらった。

 態々呼んだんじゃない。馬車ダンジョンでの夕食の時に、食事が終わったら話があると言っただけ。


 でも、ちょっと多すぎない?

 キャリッジ冒険団がいるのは分かる、だって自分達の家なんだから。一郎とメイド達もまぁ分かる、ナナも含め、研究チームも夜はいるからね。

 ブレイン一派がなぜいる? しかも獣王とその側近達まで何でいるの? さっきまでいなかったじゃん! お前達は呼んで無いし!


「主様~? お呼びですか~?」

「……呼んでない」

「またまた~。全員集合って聞いたよ?」

「キャリッジ冒険団の全員集合だ」

「やっぱり僕達も呼ばれてるじゃない」


 どういう事? 従者って言うとブレインやブレインの部下たちでオレが名付けしたのも入ると思ってキャリッジ冒険団にしたんだけど、ブレインもキャリッジ冒険団? しかも僕達?

 あっ! こいつ冒険者ギルドのトップと知り合いとか言ってなかったか? まーた何かやりやがったな!


「まさか勝手にキャリッジ冒険団に登録したんじゃないだろうな」

「そんな事するわけないよ~、僕が作ったのはクランだよ。キャリッジ冒険団の下部団体でね、三チーム作ったんだ。僕を筆頭にコーチマン冒険団、一郎を筆頭にバトラー冒険団、コウメイを筆頭にポスティリオン冒険団。クラン名はもちろん『キャリッジ』、キャリッジ冒険団の傘下に三チーム作って、獣人を目立たないようにそれぞれに少しずつ入れたんだよ」


 何勝手な事ばっかりやってんだよ! お前、オレ達が目立たないようにって獣人国を作ってくれたんじゃなかったの? これじゃ目立っちゃうじゃん!


「これでいくら目立ってくれても大丈夫だから。クランのトップなんか表に立たない限り誰がやってるかなんて分かんないもんなんだよ。それから、依頼達成報告や素材買い取りはワンワード王国の冒険者ギルドでやってね。あそこなら、どんなレア素材でも大袈裟にならないように言ってあるから。他所の国で受けた高ランク依頼の達成報告だって目立たないように処理できるからさ」


 こいつ、どんだけ世界を牛耳ってんだよ。恐ろしすぎるわ。


「それとさ、あと、こいつらにも名前を付けてやってくれない?」

 ブレインが四人の魔人を並べて紹介した。

 三人はコウメイやベンケイに似た感じの魔人だけど、一人は明らかに異彩を放っていた。

 赤髪をしてたのだ。


 またか……なんで名付けになるとオレのとこに来るんだよ。自分達で付ければいいじゃないか。

 と、拗ねて見ても、結局はいつも名付けをさせられるんだよな。

 仕方が無いので、話が全部終わったら名付けてやると約束した。



 やっと今日の本題に入れるよ。

「ルシエル、ライリィ、シルビア、メイビー、ついでにセンとパル。お願いがあるんだ」

 ブレインとばかり話してたから暇だったんだと思う。おしゃべりをしてたようで、名前を呼ばれて驚いてたようにこっちに注目してくれた。ついでにと言われたセンとパルは文句を言ってたけどね。


「まず、今メイド達が乗り物を開発してるんだけど、ミーナとジニーとローリィが担当してる自動車を各国に売り込んでほしいんだ。その為にも、どんなものか見せてもらって、できれば自分達でも運転できるようになってほしいんだよ。どんな商品か分かって無いとが売り込みできないからね。そして、生産工場を各国に作って……」

「主様~、そういうのは僕達に任せてほしいな~。クラン『キャリッジ』の中でも有名になるのは、こっちの下部三チームにするためにも丁度いい仕事みたいだしさ。主様達はそういう事をしないでさ、自由にやってくれればいいんだよ」


 またまたブレインがしゃしゃり出て来る。

 ブレインの考えを聞いてなるほどとは思うが、オレの意図は少し違うから反論させてもらおう。


「たしかに目立たないようにするにはブレインの意見は合ってると思う。でも、目立ちたくないのはオレやボルト達人外の存在であって、シルビア達シスターズは逆に目立ってほしいんだよ。同じチーム内で矛盾してるからいつも困ってるんだけど、今回はシスターズだけを目立たせるいい機会だと思ってるんだ。だから、シスターズにやってもらおうと思ってるんだよ」

「え? そうだったの? それは初耳だよ~。だったら一緒にやって、シスターズはそのリーダーって事にしよっか。その方が確実じゃない? でも、なんでシスターズを目立たせたいのか聞いてもいい?」


 あれ? 言って無かったかな? ま、言う機会も無かったし、言ってないな。

「シスターズの、特にルシエルとライリィには結婚して人間として幸せな家庭を築いて欲しいと思ってるから、もっと交友関係を広げてほしいと思ってるんだけど、中々上手く行かなくてね」

「そういう事~。確かに主様のステルス性は凄いよね。どの国でも一部の人間を覗いて全員キャリッジ冒険団の事を覚えてない人間は多かったよ。ま、その分、僕も仕事が楽だったんだけどね~」


 ガーン! マジか。今までは出来る限り目立たないようにしたから、行く先々でも目立ったのはシルビアのエンダーク王国ぐらいだと思ってたけど、オレの事を忘れてる? ステルス性が高い? マジか、そんな理由で目立って無かったの? それなら獣人国なんて作る必要無かったんじゃないの?


 いきなり新事実を突きつけられて言葉が出なくなる。

 思い当たる事は結構ある。王城にも行って、あれだけ目立ったキュジャリング王国ですら、あれから特に何も干渉して来ない。エンダーク王国は王様が押さえてるのかもしれないけど、ドワーフ王国やセイシャロン王国ですら何も言って来ない。


 オレ達が冒険者だと知ってるだろうから、冒険者ギルドを介せば連絡が取れる事も知ってるだろうに、何も言って来ないって事は、用が無いか忘れられてるかだ。

 いや、きっと用が無かったに違いない。うん、そうに違いない。

 高ランク依頼だってたくさん冒険者がいるんだ、誰かがやってるはずだよ。


 そう自分に言い聞かせて、ようやく落ち着きを取り戻した。


「うん、じゃシスターズのフォローを任せようかな?」

 まだ本調子では無かった。


「主様? それはそれで受けるけど、彼女達の相手を見つけて来ようか? 厳選して一〇〇人ぐらい集めれば一人ぐらいいいのがいるんじゃない? もちろん彼女達の好みはちゃんと聞くからさ」

「それってお見合いか?」

「そうだね~、この大陸全部から集めれば、それぐらいのお見合い相手はみつかるんじゃない?」


 お見合いというキーワードに身悶えだすルシエルとメイビー。ライリィも頭をかいてちょっと照れている。シルビアだけは平常モード。

 だが、このお見合いというキーワードに反応したのはシスターズよりボルトだった。


『ブレイン! お主、なかなか気が利くではないか。ライリィの相手は我も見極める! 特に厳選して選定するのだ』

 なんでボルトがそんなに張り切ってるの? オヤジか? ボルトに選定されたら誰も残らないんじゃない?


 その後、ブレインとボルトで話が盛り上がり、ブレインがトリップ中のルシエルとメイビーに何とか聞き出してる間に魔人達に名付けを終えて、自動車の件は任せる事にした。


 因みに名前は、赤髪以外は女だったから『ラン』『スー』『ミキ』にして、赤髪は男だったから『クッシャン』にした。


 お見合いか、本人達も乗り気みたいだからいいかな。


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