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第182話 SSショートショート

誤字報告ありがとうございます。



 メキドナで試作車を渡して戻って来たが、馬車ダンジョンにはメイドのミーナしかいなかった。

 全員、出払っているみたいだ。

 オレからの頼み事もあるだろうし、獣人国の世話もまだ残っているだろうから、一郎やメイド達はまだ忙しそうだ。


 一郎の場合はブレインと悪巧みをしているので自業自得な所はあるけどね。


 ボルトも戻って来るなりどこかへ出かけて行ったから、今いるのはハヤテだけ。ミーナは馬車ダンジョン内で忙しそうにしてるからな。

 ま、ここにいてオレからしてもらいたい事も無いし、ハヤテの食事ぐらいはオレが出してやった方が喜ぶからいいんだけどね。


 いつも通り、もの造りをしながら、資料整理がてら、今回ワンワード王国で複写した本を読み直していると大きな思い違いをしていたんじゃないかという考えが頭に浮かんだ。

 思い違いというか考え足らずだったかもしれない。


 今回、自動車や飛行船を開発しているのは、神様に会うためだ。

 日本の便利文化を取り入れれば神様が干渉してくるんじゃないかという発想からなんだけど、やり過ぎた国は神様に滅ぼされてたんだ。

 という事は、オレ達が開発した乗り物を各国に浸透させてその国が発展すれば、滅ぼされるのはオレ達じゃなくてその発展した国という事にならないか?


 オレだって滅ぼされる気は無いから、神様と会えたらその時に話ができればなぁって思ってたぐらいなんだ、「もうやりません」とか言ってね。他の国を巻き込むわけにはいかないよな。

 じゃあ、開発するだけで他の国には関わらないようにするの? それだと意味が無いよな、神様だって現れないかもしれないし。


 また振り出しに戻る、か。

 でも、開発は続けよう。出すタイミングがあるかもしれないしね。



◇ ◇ ◇ ◇



「これはまた大きく作ったのねぇ、何人乗りにしたの?」

 こちらは飛行船開発担当の二人、ゴディバとハーティ。


「五〇人乗りだよ」

「五〇人って事は無いでしょう。これなら五〇〇人ぐらいは乗れそうよ」


 でも、この子は天才ね。直径二〇メートルほ大きいプロペラを四つ付けて全て上向きにしてるのね。出力調整で上げ下げするわけね。残りの小さめの直径一〇メートルの四つのプロペラで操作性を持たせるのか。よく考えてあるわ。

 これなら五十人とは言わずもっと乗れそうだけど。


「それは無理だよ、だって武器を積んだもん」

「武器? どれだけ積んだの? 相当スペースがありそうだけど」

「弩弓を1000個と特大弩弓を四つ、ゴンドラの底に超特大弩弓を一つ付ける予定」

 確かにそれなら五〇人乗れれば御の字ね。


「ゴディバはどんなのを作ったの?」

「私のはこれ」

「え? あ、そうなるの。それもいいね、私も使いたーい」

 リュックのように背負った背中からシャキンシャキンと出て来る四つのプロペラ。

 私は携帯用のものを作ったの。


 さ、試運転をして上手く行けば主様に報告ね。



◇ ◇ ◇ ◇


「3、2,1、ゼロ」

「わあぷ!」

「夜魔斗わあぷします!」


「やったー! わあぷ成功です!」

「おめでとうシマ君」

「いえ、ナナ艦長、ボクはペペットです」

「私はナナではない。オキタだ」


 完全になりきっている彼女達だが、大きさだけは本物そっくりに約二六〇メートルで完成させた。

 姿かたちも似せて作られた戦艦は、この世界では類を見ない大きさだ。

 この世界の船は大型艦でも所詮は帆船、全長一〇〇メートルが精々だ。


 そういう意味では、大きさだけは凄いものになったのだが、この夜魔斗は大きいだけのただの張りぼてだ。

 一応、回転装置でスクリューは付けたので、速力だけはそれなりに出るが、波動エンジンは積んでいない。だからわあぷもできないし、次元波動を放射する事もできない。


 では、なぜ彼女達がわあぷを成功させたか。

 それは一郎に頼んで超巨大な転送魔法陣を描いた石板を海底に沈めたからだ。

 そんなものは流石に一郎でも何個も作れないから一対だけしか作っていない。


 魔石(中)を三〇〇個仕込んだ巨大な石板を海底に沈めておき、その上を通った時に船内から魔力を起動させ転送するという、まったく無駄な、非常にコスパの最悪な転送方法で遊んでいるだけ。今後、その巨大な石板が増える事は無いだろう。



◇ ◇ ◇ ◇



 ここは忍者屋敷。

 ではなく、十数年ぶりに帰って来たら倒壊していた家をゴブリンメイド達に建て直してもらったセンの屋敷だ。

 見た目は普通の武家屋敷。

 武家屋敷という時点で、この世界では普通では無いのだが、日本の武家屋敷という事なら見た目は普通の平屋の母屋と離れの道場があるだけの立派なお屋敷だった。


 元々敷地面積はそう広くない土地に建てているが、それはシルビアやミランダリィさんの勇者屋敷と比べての話。平屋建てで建坪100平米なら十分に広すぎる。本来住んでるのはセン一人なのだし。


 今は入り浸るようにシスターズプラスが毎昼にはほぼお邪魔していた。が、今は誰も見当たらない。

 道場には誰もいないし、どの絡繰りの部屋にも誰もいない。

 あとは裏手にある井戸辺りだが、見慣れない新しく出来た地下への階段があった。


 シスターズプラスは階段を下りた所にいるようだ。


 ここは、彼女達の作ったダンジョン。

 ダンジョンと呼んでいい物かどうかは分からないが、地下迷宮で魔物が湧き、ボスがいればダンジョンと言えるのではないだろうか。


 始まりは屋敷の仕掛けに飽きたシスターズの要望に応えられなくなったゴブリンメイドのシロとクイナとジュリアの三人が困り果て、苦肉の策として地下に大きなアトラクションを計画した事から始まった。


 初めは広い大きな空間を地下に作り、そこに建物を建てて行く予定だったのだが、シスターズが「まだ~?」と何度も覗きに来るので、地下二階層にしてみた。

 それを見たライリィが「ご主人様のダンジョンみたいなのニャ」という言葉を聞いたシルビアが試しに持っていたダンジョン核を置いてみた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 ダンジョン核を置いた途端、地下空洞のダンジョン化が始まったのだ。

 ダンジョンがどうやってできるかはよく知られて無いが、ダンジョンの心臓はダンジョン核である事はよく知られている。

 他所にあったとはいえ、心臓部でもあり頭脳でもあるダンジョン核がこの場を自分の場所と決めてしまえばダンジョンは出来るようだ。

 但し、何の制御も無いダンジョンだ。侵入者の排除のみに魔物を生み出すダンジョンの出来上がりだ。


 偶然とはいえダンジョンを作ってしまったBASHAの従者たち。

 一度地上で集合し、では早速魔物退治で楽しもうとはならなかった。

 まだ出来たばかりの若いダンジョンでは、超弱い魔物しか生まれない。ゴブリンベビーやミニスライムなど、普通に歩いていて間違って踏みつけるだけで死んでしまうのだ。

 そこで彼女達は考えた。「もう一個出せば強い魔物が生まれるのではないか」と。


 シルビアがもう一つダンジョン核を出すと、雑魚モンスターが増えた。

 効果はあったようだが数が増えただけで、魔物の強さが上がる訳では無いようだ。

 しかも、一つ目のダンジョン核の産んだ魔物が、二つ目のダンジョン核の産んだ魔物を食べているのだ。

 その劣勢の二個目のダンジョン核が弱ったような気がしたライリィが似ているからという理由だけで魔石をダンジョン核に与えた。

 すると魔石を吸収したダンジョン核が少し元気を取り戻したような気がした。


 いずれもライリィの勘だし、他の者には変化は分からなかったが、ダンジョン核が魔石を吸収するというのは誰も知らない事実だった。

 ライリィのファインプレーはまだ続く。ライリィが魔石を与えた方のダンジョン核が生み出した魔物が攻勢に出だしたのだ。

 これもライリィの勘だ。他の者の目には魔物の区別なんてつかない。どの魔物がどっちのダンジョン核が産んだ魔物かなんて誰にも分からない。


 だが、ライリィが魔石を与え続けると変化があった。

 魔物のランクが上がったのだ。

 これにはシスターズから歓声が上がった。

 嬉々として魔石をダンジョン核に与えるシスターズ。


 普通、こういう事は分かってもやってはいけない。魔物は人類の敵である。その魔物生み出して、更に魔物が強くなったからと言って喜ぶシスターズはどうかしてると思う。が、今は止める者がいない。

 喜んで次々と魔石を与え続けるシスターズ。


 すると、とうとう竜が生まれた。下位種の飛竜だったが、一気に二つのダンジョン核の戦いが一方的になり始めた。

 どっちが優勢なダンジョン核かは分からないが、負けてはいけないとどちらとも構わず更に魔石を与えるシスターズ。


 どんどんと龍種も生まれ出し、上手く戦いが拮抗して来た。

 ここで彼女達は気が付いた。


 自分達が戦えない、と。


「つまんない」とさっさとダンジョン核を収納したシルビア。

 湧いた魔物は消える事は無かったので、シスターズで掃除をし、地上へと戻るのであった。


――――――――――――――――――――――――――


すみません、風邪をひきました。


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